「「自分のすることを愛せ」」ニュー・シネマ・パラダイス komasaさんの映画レビュー(感想・評価)
「自分のすることを愛せ」
何度見ても心を揺さぶられるのは、トトに自分を重ね合わせてしまうからだろうか。映画を観ながら、来し方行く末を思い巡らせてしまう。
トトが帰ったと、ほつれる毛糸を引きずりながら外へと駆け出す母。夫を待ち続け息子を待ち続けた母、この作品で最も美しいシーン。トトが大切にしていた物が丁寧に保管された一室。都会で疲れた息子がいつ帰ってきても良いように、そして再び送り出せるようにと用意していたんだと思う。
久しぶりの帰郷でうける喪失感、疎外感、年老いた親を目にしたときの罪悪感。同時に自分が如何に愛されていたかを知る喜び、気恥ずかしさ、後ろめたさ。8ミリフイルムで蘇るかつて本気で愛した人の記憶。非日常となった故郷での時間は、様々な感情と思考をともなってトトの冷めきった心を蘇らせていっただろう。
そしてアルフレードの形見のフイルム。これは彼が旅立ちの日にトトに伝えた「自分のすることを愛せ。幼い時にあの映写室を愛したように」という言葉を形で表したものだ。失われていたトトの心の最後のワンピース、粋で心のこもったプレゼント。
…
私が最も好きな映画の音楽は、今も昔もアルフレードのフイルムとともに流れるこの曲です。マエストロに心から感謝
コメントする
りかさんのコメント
2024年8月22日
いい作品ですよねぇ。
モリコーネが本作の音楽を手がける時、大変楽しんで作っておられたようです。聞いた者も心踊る💃🩰🕺音楽と作品に浸りきります。映画館で鑑賞されてラッキーです。
talismanさんのコメント
2024年8月20日
コメントありがとうございます!毛糸のシーンはこの映画を何回か見てやっと気がついた場面です。母親はいつでも息子が大好き、息子をわかっている。それがひしひしと伝わりました。