「この30年間、私達は何を見ていたのだろう。」ニュー・シネマ・パラダイス bloodtrailさんの映画レビュー(感想・評価)
この30年間、私達は何を見ていたのだろう。
午前十時の映画祭で、ほぼ30年振りに見た。言葉にならない。何か書こうとしても筆が進まない、全く。己れの語彙と表現力の貧困を、ただただ痛感させられるんだけど...
「映画は芸術だ」と何回でも言いたくなるくらい素晴らしい。どの一瞬の静止画も、カメラの動きも、セリフも役者さんも脚本も、もう何もかも。この映画を構成する、どんな小さなピースであっても愛おしく、懐かしく、切なくて、なんでもない場面で泣いていたり、笑みがこぼれたりしている。
ベランダの手すりに置かれた鉢植えと地中海から吹き込む風にたなびくカーテン。シチリア島のアパートの窓から見下ろす地中海。受話器を握る老母。最初の瞬間から、その画のすばらしさに引き込まれます。こんなにキレイだったっけ?30年前の自分が、如何に無造作にスクリーンを眺めていたかを思い知りました。
映写室から飛び出しでジャンカルドの広場に映し出されるバスターキートン。盲目となったアルフレードとサルヴァトーレが扉の前に腰かけて話をする構図。30年振りに見る荒れ果てたパラダイス。
もう、どれもこれもが胸を打つもの。なんなんだろ、この素晴らしい感性。この30年間、私たちが見て来たものは何だったんだろう、って思うくらい。
エンニオ・モリコーネの主題曲「Cinema Paradiso」もしかり。超えられない。「映画音楽」として、これは超えられない。映写室に映し出される、数々の「クライマックスシーン」のバックに流れる「Cinema Paradiso」の素晴らしさ!エンニオ・モリコーネは、この後「海の上のピアニスト」も作曲するんですよね。凄い人だよ、全く。
完全版より、俺はオリジナルの方が好き。
この映画は劇場で観て欲しいです。午前十時の映画祭、もうしばらくやってます。この映画を見ずに死ねるか!って言うくらいの名画。だと言います、言いました!
きりんさんへ
共感&コメントありがとうございました!
モリコーネ、亡くなられたんですね。今調べたら、ゴールデングローブ8回、アカデミー賞は名誉賞含めて7回も受賞されてるんですね。
天国の日々も、ピアノの前でスコアを書いてる姿が思い浮かんでしまいます。
〉完全版より、俺はオリジナルのほうが好き
同意します、
映画の編集者の力を認識したのはこの映画が初めてでした。(監督としては辛くて耐えられないでしょうが)。
エンニオ・モリコーネ、7月6日に亡くなりましたね・・
bloodtrailさんへ。
コメントありがとうございます。
すごく心を揺さ振られました。
普遍的な物語構成にノスタルジーと映画愛の味付けを施すことで生まれた名作だなと思いました。
“「天気の子」犬のお父さん問題”…今世紀最大の難問ですね(笑)