「りりぃ」夏の妹 kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
りりぃ
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まだ兄だとは気付かないでいるとき、『シルバー仮面』のテーマ曲を歌いながら歩く素直子と鶴男。なぜシルバー仮面なのか?この後、石橋正次が『アイアンキング』に出演しているところも興味深い・・・おい。
沖縄が日本に返還された直後に撮影された映画。ストーリーそのものは全く面白くないし、桃子が鶴男に惚れてしまって、素直子と鶴男を会わせたくないという心理が働くところもりりィの演技不足によって心に訴えてくるものがない。それよりも戦争時代への懺悔の意味を込めて“殺されたい男”を演ずる殿山泰司と、“殺したい男”の戸浦六宏の構図が面白い。沖縄返還に絡めて、沖縄での戦争について語っている場面が序盤に多く登場する。さらに沖縄語も紹介され、現地の会話がドキュメントして挿入されている・・・さっぱり理解できない(恥)。そして、日本人と沖縄人といった言葉も使われ、それぞれの意識の違いがちょっとだけ描かれてもいる。
決して暗くなる映画ではなく、素直子の父親(小松方正)にしろ、鶴男の父親の可能性のあるもう一人の男(佐藤慶)にしろ、もちろん殿山泰司にしろ、エロ話が大好きな男たち。再婚を考えている女性の前でも平気で「今夜は女を買おうかな?」なんてほざいてるくらいだ。かつて友人の妹として紹介された大村ツル(小山明子)にしても関係のあった2人の男を相手に適当な女を演じていた。売春防止法が成立する以前は人口100万の都市に売春婦が1万人もいたという事実。アメリカに占領されていたことの哀しみも、こうした猥談によって消え去ってしまいそうだ。
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