ナイト・オブ・ザ・リビング・デッドのレビュー・感想・評価
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4K映像で体感する、記念すべきゾンビ文化の夜明け
キング牧師が銃弾に倒れたのと同年に公開された本作は「夜8時なのにまだこんなに明るいのね」という他愛もないセリフから始まる。若い兄妹が家族の墓参りを行う中、遠くからゆらゆらと近づく初老の男。そして人類とゾンビとの記念すべきファーストコンタクト。かつて学生時代に見たビデオテープはかなり粗い画質だったが、4K修復版では町の住人たちから成るエキストラまで鮮明に見渡せるし、逃げ込んだ一軒家で顔を合わせる7人の生き残りたちの個性や、なかなか折り合えない目の前の男との分断をどう埋めるのかに四苦八苦する表情も新鮮だ。そして主導権を握るのがアフリカ系の男性という点には公民権運動の影響を少なからず感じる。かけ集められた10万ドルという製作費で、結果的に250倍以上の利益をたたき出したという本作。これがなければ、その後のゾンビ文化は生まれなかったことを思うと、我々はもっと足繁く本作を巡礼すべきなのかもしれない。
ちゃんと怖い初めのゾンビ
言わずとしれたゾンビ映画の始祖であります。「走るゾンビ」「巨大なゾンビ」「踊るゾンビ」…まぁいろんなゾンビを観てきて、ゾンビ映画史に興味を持ち本作にたどり着いたわけです。
その意外性に富んだ内容に驚かされました。てっきりゾンビ中心の映画かと思いきや、極限状態に追い込まれた人間達の醜い争いが描かれていました。結構長い尺使って。そしてこれが面白い!誰かを応援しようとかいう気になれないくらい、お互いに足を引っ張り合ってウダウダあーだこーだ言い争います。どうしようもなく役に立たない虚無姉さんが一番マトモなんじゃないかと思う始末。人間って面白いですね。
もう一つ驚いたのが地下室!今ではおなじみのゾンビ映画あるあるの一つだと思うのですが、地下室の存在はやはり魅力的。そこで行われるゾンビとの凄惨な殺し合い…最高じゃないですか。後のゾンビ映画に影響を与えたのも頷けます。
中盤までは人間同士の争いがメイン、後半はいよいよゾンビとの戦いとなるわけですが、その最中でも諍いが絶えません。「いい加減仲良くなさい!」と思って観ていると、状況は最悪な方向へ…。後味の悪いエンディングは意外でした。
グロ描写も少し有り。当時としてはかなりショッキングな映像だったのでは?BGMも気持ち悪さに拍車をかけてくれます。
ゾンビのジャンル的には「ウロウロゾンビ」といったところでしょうか?こう書くと全然怖くなさそう(笑)ですが、終盤はきっちり怖がらせてくれます。この作品で既にゾンビ映画たるやいかなるものかを確立させていたのは凄いです。
ゾンビ誕生の歴史的作品にして原点!
本作は、ジョン・A・ルッソの原作をジョージ・A・ロメロ監督により映画化されたのですが、まさにゾンビ映画の原点となった、歴史的作品となりました。1968年に作られた作品ですが、まさにこの時代に死体が歩く、そして人を食べるなんてことは、誰もが想像すらしていなかった時代ですから、タブーを打ち破った作品でもあります。
現在では、ゾンビ映画なんて当たり前で量産されている状況ですが、その生みの親がジョージ・A・ロメロ監督。歴史的作品は、マスターフィルムがニューヨーク近代美術館に永久保存されていることでも有名です。
さて本作ですが、いわゆるゾンビの原点となった作品なのですが、『ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド』→『ゾンビ』→『死霊のえじき』で、のゾンビ3部作といわれています。(この後にもゾンビ映画作られてはいます)邦題では分からないのですが、原題だと『Night of the Living Dead』→『Dawn of the Dead』→『Day of the Dead』となっており、ゾンビ映画=of the Dead(オブ・ザ・デッド)も、ここから来ています。
今見ると、「ゾンビ怖くねぇ~」ってのが第一感想です。
それもそのはず、怖い映画なんてほとんど無かったこの時代、低予算で出した結論は、人間の顔に白塗りでゾンビの出来上がりです!でも、低予算でも特殊メイク使わなくても、"伝説"を残せるんです!
また、すばらしいところは、ゾンビ映画ではありますが、ゾンビそっちのけでいがみ合う人間描写です。人間が7名ゾンビに囲まれた家に取り残され、地下室で待機VS地上待機、外に出て逃げるVS家で助けを待つ、などの意見の対立ばかりで協力心全くなし。そして、バービー人形みたいな、おねーさんのやる気のなさったらありゃしない…。
ロメロ御大のゾンビ映画は、一貫してゾンビはおまけで醜い人間の姿を描いていますので、他のゾンビ映画とは一線を画しているのです。
本作で、もう一つ忘れてはならないのが音響効果です。低予算でも、音響効果を使って十分に怖さを出しており、最初の方は、無声映画かとも思えるくらいですが、要所要所で発生する音が恐怖を出してくれます。この時代ならではの技術ですね。
ラストもスッキリさせてくれない!地獄の夜を生き残った黒人男性。助けを求めて窓に近づいた瞬間に眉間に突き刺さる銃弾…。そう、ゾンビと間違われ射殺されてしまうのでした。
死者が蘇り生者の肉を喰うというゾンビの定義を作り、後世に、多くのゾンビ映画を産む作品でした。
ゾンビ伝説ここにあり!
偉大なるジョージ・A・ロメロ監督‼️
偉大なるジョージ・A・ロメロ監督‼️あなたはゾンビとは何たるかを教えてくれました‼️生者の肉を喰らうことを教えてくれました‼️動作がスローなことも教えてくれました‼️脳を破壊したら倒せることも教えてくれました‼️ゾンビに噛まれた者もゾンビになることを教えてくれました‼️おかげでよくも悪くもたくさんの後輩たちがその恩恵を受けて様々なゾンビ映画を作りました‼️でもどの作品もあなたの作品には遠く及びません‼️孤立した一軒家に立てこもる人々、外から忍び寄るゾンビの群れ・・・これだけの設定で不安感と緊張感を全編にみなぎらせるテンションもスゴいです‼️最近のホラー映画にありがちな馬鹿な若者たちがキャッキャとはしゃぐ描写がないのも素晴らしいです‼️モノクロで撮影されたドキュメンタリータッチにもシビれます‼️さりけなく物語に人種差別や放射能汚染といったテーマが含まれているのも深いです‼️そして救いようのないラストシーンにもホント震撼しました‼️このような素晴らしい作品をデビュー作でモノにしたあなたの監督としての手腕に脱帽です‼️今でも大人気の ''モダンホラー" というジャンルは、あなたのおかげで映画界に定着しました‼️本当にありがとうございました‼️
そんなんで蘇る能?
1968年公開。蘇る死体、噛みつかれることで感染、理性の喪失、緩い動作、不死身、頭部破壊でのみ死ぬ、人肉を喰らう、等々。現在のゾンビ映画の基本法則を作った映画として歴史に残る映画。って言うことで、半分は勉強のつもり、半分は時間つぶしで鑑賞しました。
基本、怖くないです。音楽で盛り上げて、音楽でビビらす、昔の映画です。特撮もへったくれもありません。パリピの死亡フラグも無し。演出のもたつきもあり、イライラしてしまうのは、昨今の現代技術を駆使したゾンビものを見慣れた現代人としては、しゃーないでしょ?
にしてもです。
取りあえずは、死体が蘇るカラクリについての説明がある点。女子供も見逃しませんし、最後の最後で、あーなってしまう情け容赦無さ。などなど。シナリオ的には、結構面白かったし、こんなところも、現代ゾンビもののひな形になってるんだなぁ、なんて感じました。
「民間警備隊」がゾンビ駆除です。州軍は名前だけ登場するも、連邦軍は出て来ません。1968年と言う微妙な時期だけに、そこは配慮したんだろうなぁ、って事で。
面白かった。意外に。
【”熱帯夜の夜はホラー映画だね!”とゾンビ映画の礎になった今作を観たら、ドキュメンタリータッチで製作された、人種差別や、放射能汚染を暗喩した、皮肉を塗した映画だった。】
■父の墓参りにやってきたバーバラと兄のジョニーは、突然蘇った死体に襲われる。
ジョニーを殺され、バーバラは命からがら近くの民家に逃げ込む。
そこに黒人青年のベンが飛び込んでくる。
ベンは家のドアと窓を補強し、2人は助けがくるのを待つことにするが…。
◆感想<Caution! 内容に触れています。>
・民家には、実は白人カップルのトムとジュディ。そして、白人家族のクーパー一家も地下室に隠れていた。だが、彼らはギリギリまで黒人のベンとバーバラを助けずに地下室に居る。
ー 民家を取り仕切っているのは、黒人のベンである。白人の人々は、トムとジュディにように、ベンの指示に従うか、クーパーの様に保身に走るか、茫然と成り行きを見ているバーバラである。-
・民家の周りを取り囲む”リビング・デッド”達。漸く、トムとジュディはベンと共に近くに止めてあったピックアップトラックに給油し、脱出を図るが・・。
■ハリー・クーパーは、そんな状況下でもベン達に協力せず、地下室に立てこもる。だが、娘のカレンは”リビング・デッド”達に噛まれており・・。
ー 非常に、シニカルな展開である。
更に言えば、ラジオから流れるアメリカ東部で起こっている状況を刻々と流すドキュメンタリータッチの手法が、効果的である。-
<ラスト、夜が明け人々が”リビング・デッド”の残党狩りに出るシーンも印象的である。一人生き残った黒人のベンを、”リビング・デッド”とみなし、撃ち殺す白人中年男性。
今作後、ゾンビ映画が世界中に拡散して行った事は、周知の事実であるが、礎となった今作は、人種差別、放射能汚染など、様々な暗喩を含んだ作品であった。>
これが原点
ゾンビ映画の原点。今作の設定が今も使われている。
欲望のままに人間に食らいつくゾンビの姿が印象的。
生き残ろうと戦う者、自分勝手な者、誰が生き残るのか読めない。ただ、女性陣がとにかく足を引っ張る、ヒステリック。この設定は今だったらダメ、ただイライラする。
まさかのラストに唖然とした。
この後味の悪さは予想外過ぎた。
頭から尻尾まで詰まった恐怖、しっかり練られたストーリー。
子供の頃に夢中になって見ていたテレビ番組「ミステリーゾーン」を思い出しました。あれ、ホントに面白かったよなあ。
この映画も同じように面白かった。いわゆるB級映画にカテゴライズされるんだろうけど決して安っぽくない。ゾンビ映画の原点にして金字塔(これは少しオーバーかな?)というだけのことはある。始めから終わりまで通して続く恐怖と不気味さとパニック。ラストもなかなかです。「そう来たか」という感じですね。
原点にして、頂点…ではさすがになかったが
ご存じロメロ御大による、「人を襲うゾンビ」の始祖鳥。
ゾンビ映画の基本は本作の時点でほぼ確立されていて、それゆえ「分かりきってる」展開も多いのですが、それもまた「原点に触れている」感が増して個人的にはヨシ。
また、まだ特殊メイクとかが未発達な分、かえって「ご近所のご遺体がそのまま動いてる」感じがして結構新鮮でした。
あと、元祖ゾンビ、結構機敏なんですね…
まぁ55年近く昔の映画ですし、展開の間延び感や時系列のおかしさ、全体的な古臭さとかはどうしても拭えませんが、やはりホラー好きとしてはおさえといて損はない一本かなと。
4Kはいろいろくっきり
基本パターンの確立、という意義の大きな作品ですね。
4K化に伴い、改めて観てみたらば、ここに全てが詰まっていました。
特に、身勝手な判断で身を滅ぼすとか、せっかく生き残っても無駄になるとか、皮肉たっぷりなのが今に生きていました。
4K6今までと違って、「最近撮影したの?」と言いたくなるくらいくっきりシャープ。
だから、頭を撃ち抜かれて二度死んだはずの、ゾンビの目がキョロキョロ動いているのもクリアに見えました(笑)
古典
いいとか悪いとかではなく、古典…
ここからあのゾンビが羽ばたいて行ったのかと思うと、感無量…
しかし、ゾンビ映画当たり外れが激しすぎるねぇ…
この時代に白黒は上手いことやってますね。
ボヤっとゾンビ、恐怖でさえあればいいですからね。
ここから始まったゾンビに敬意を表して!
その昔、ゾンビ3Dなるものを見た(赤青のメガネで!)のはあれなんだったんだろう…
カラーだったら…
かなり昔の映像をリマスターしている感じが醸し出されている。
コロナ感染を彷彿とさせられたのは、僕だけ😅ゾンビが人を噛み、感染して噛まれた人もゾンビとなり、感染していない人の肉を…。しばらく肉はいいかなといった気持ちになる。
ストーリーもしっかりしていて、ホラー感だけでなく、展開も楽しめました‼️今だったらシリーズ化されるはず。
なぜにモノクロなのかと思ったら…。
今年177本目(合計453本目/今月(2022年6月度)24本目)。
(※「異世界かるてっと あなざーわーるど」を見た後に向かったのですが、この映画のレビューの需要はないと思うので飛ばします)
始まるとほぼモノクロというタイムスリップしたような映画。あれ?映画館間違ったかな?(大阪市にはよくモノクロ映画をリバイバル放映する映画館があります)と思ったのですが、映画館を間違えるわけないですし(シアター番号を間違えることはあっても)。
多くの方がいわゆる「ゾンビ映画のはしり」と書かれているのもなるほど納得、というところです。また、「相当」前なので(1968年らしい)、今とは考え方の違う部分(特に一部の字幕にやや配慮は足りない)や、そもそも「映画描写上のテクニック、技術が今ほど発達していない」という部分もあるので、現在の2021~22の観点で見ると、どうしても「古い映画だなぁ」という印象「だけ」は受けます。
ただ、この映画をきっかけとして今日にいたるまでいわゆるゾンビ映画(ほか、隣接するようなものも含む)ができたのだと思えば、そのはしりとなったいわゆる「原点」を見ることができた点で有意義であったし、「昔はこんなのだったのだなぁ」という点も(同じ日本で、日本の映画館で放映されているとしても)(時代変化による)文化の違いを知ることができてよかったです。
逆に言えば「ストーリーというストーリーが存在しない」、換言すれば「ネタバレのしようがない」という点はいえますが、この映画の公開意義は結局「今日も放映されているゾンビ映画(隣接する分野も含む)のはしりとなった50年くらい前はどうだったのか」という点を知るという「なつかしさ、古いもの探し」という点にあるのは明らかで、「ストーリーがよくわからない」というようなことを論じるものではなかろうと思います。
特に減点要素もないので(ただ、今日の映画館の一般的な放映スタイルからすると、いつ始まっていつ終わるのかが不明瞭な点は言えます。無理やり今日の映画館に入れたため、映画館固有の「これから始まりますよ」とか「これで終わりですよ」とかとなぜかバッティングしたり、それらが飛ばされていたりしたが、仕方がない。勝手に元フィルムをカットして放映すると著作権上の問題が起きるため)、フルスコアにしています。
やっぱりラストは強烈。
絶望的なラストがとにかく記憶に残るロメロゾンビ。4Kでモノクロ映像もくっきり。改めて見直すとこんなに迫力ある作品だったんだなー、と再発見。今と違ってグロさなんか微塵もないけどこの盛り上げ方はさすが。人種問題やらなんやらあるかも知れないけれど純粋に魅入られる。
実質的には、日本初上映のようで…
今更、評価をする必要などない作品。もはや御本尊であり、人類のアーカイブであるから、この作品に関しては語ることなど何もない。「見た!」、「まだ、見ていない!」それだけのこどだ。そして、図らずもこの作品が一つのジャンルを作り、現在においても新しい作品が生み出される事実を確認し、この作品がMoMAの所蔵品となっていることも併せて理解してもらいたい。余談として、これまでイベントやフェス等で上映されたことはあっても、劇場での公開は今回が初めてのようである。ちょっとした驚きである。
ジョージ・A・ロメロ初監督作品
ジョージ・A・ロメロ監督デビュー作品。ちなみに世界的に有名な所謂ゾンビは数年後に発表。Wikipediaの情報が正しければ『地球最後の男』(未来社会で『アイ・アム・レジェンド』としてリメイク)がオマージュ的作品。
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