「驚異のナンセンスギャグ映画」毒薬と老嬢 KENZO一級建築士事務所さんの映画レビュー(感想・評価)
驚異のナンセンスギャグ映画
フランク・キャプラ監督作品の中でも特に
大好きな「素晴らしき哉、人生!」
の前作として初観賞。
しかし、ヒューマンドラマの「素晴らしき…」
と異なり、
驚異のナンセンスギャグ映画だった。
慈善事業と称して毒酒殺人を続ける二人の
老姉妹、それだけでかなりぶっ飛んだ設定
だが、そこにハチャメチャなメンバーが
集まってのドタバタ劇という、
もう常識を遙かに凌駕した展開で驚いたが、
解説で舞台劇の映像化作品と知って納得。
舞台の映像化作品として、
ブロードウェイの映画化作品や、
深作欣二の「蒲田行進曲」、
黒木和雄の「父と暮せば」などを思い浮かべる
が、成功した映像化作品は
多くは無いように思う。
多くを製作した三谷幸喜も舞台以上の作品を
残せなかった。
隠喩とディフォルメの世界の舞台の映像化
成功のためには、
リアリティは、と感じている暇を与えない
位の高度な演出手法の駆使か、
舞台の枠を大きく飛び出す映像手法が必要
かと思うが、
後者の典型が「蒲田行進曲」であり、
この作品は前者の代表作と思えた。
正にキャプラ監督の才能が
遺憾なく発揮された作品ではないだろうか。
幸いにも私は、この類い希なる才能の持ち主
がこの作品の2年後に監督した、
ヒューマンドラマとしての傑作
「素晴らしき哉、人生!」
を観れていたことになる。
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