「黒澤版「勧進帳」」虎の尾を踏む男達 しゅうへいさんの映画レビュー(感想・評価)
黒澤版「勧進帳」
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DVDで鑑賞。
歌舞伎の演目で有名な「勧進帳」が題材ですが、オリジナルのキャラに扮したエノケンのコミカルさのおかげで、義経一行の醸し出す哀しい雰囲気に滑稽さが加わっており、コメディーとしても楽しめる作品なのが特徴だな、と…。殆どセットで撮影されていて、舞台劇を観ているような感覚になりました。
大河内傳次郎の弁慶が硬派で堂堂としているのに対して、エノケン演じる強力の動きがとても軽妙でコミカル。そのアンバランスさが絶妙で、かなり笑えました。後の「乱」での一文字秀虎と狂阿弥の関係に似ている気がしました。
安宅関の場面。弁慶が何も書かれていない勧進帳を読むスリルもありましたが、義経への彼の忠誠心が涙を誘いました。
役人の富樫が、義経一行だと気づいていながら関所通過を許すところに、人の心の美しさが垣間見えるようでした。
この後に彼らの辿る運命を知っているだけに、ラスト・シーンになんとも言えぬ寂しさが漂って、深い余韻が残りました。
[以降の鑑賞記録]
2018/02/11:DVD
※修正(2024/06/09)
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