トム・クルーズ 栄光の彼方に
1983年製作/91分/アメリカ
原題または英題:All the Right Moves
スタッフ・キャスト
- 監督
- マイケル・チャップマン
- 製作
- スティーブン・ドイッチ
- 製作総指揮
- ゲイリー・モートン
- 脚本
- マイケル・ケーン
- 撮影
- ヤン・デ・ボン
- 音楽
- デビッド・キャンベル
1983年製作/91分/アメリカ
原題または英題:All the Right Moves
そして家族の愛に包まれたければ。
観ているのが恥ずかしくなるほどの高校生の青さ、それを取り巻く家族や恋人の愛に包まれます。
原題は『All the Right Moves』。
英語に疎い私はこれが日本タイトルの訳になるのかわからないけれど、何かで読んだ知識だと意訳らしい。ああ、でも、フットボールでスカウト来る自分に酔いスカウトと駆け引きして、お父さんに「大丈夫か」と心配されるのに「まあ、みてて」と言いきっちゃう傲慢さ=栄光を過信しているステフ、でもつまずいちゃった(^_~;…そういう意味では『栄光の彼方』にあるものを描いたんだろうなと思いました。
「えッそういうオチってあり?」というラスト。
でも、フットボールの監督からの提案もらった時点でもう、今までのことどうでもいいってポジティブシンキング。未来が開ければ何でもいいのさ(^^)v。彼女や家族の期待でもあったし(^^)v。元々謝って関係取り戻したい監督だし。自分が悪いことしたことわかっているし。最後の毒づき=「皆一緒って言ってたのに!!!」というステフの主張わかってくれたのだし。全部結果OK(*^^)v。
この街出なきゃ、このままででは終われないという焦燥感がリアルに迫ってくる。
ステフにとってはフットボールの選手でさえ自分の夢を叶える踏み台。自分の身長ではプロで通用するとは思えない。だから大学で大好きな機械工学勉強して、ただの労働者にはなりたくない、それは希望=家族の期待でもある。
それはただの夢・野心とかではなく、それはある意味死活問題、切実。
父や兄の仕事、兄の失職、リサが大学で勉強したいのに奨学金を貰う以外には進学できないと言う現状他をしっかり描くことで、ステフの焦り・絶望をリアルなものとして実感できました。チームメイトは生活費稼ぎに泥棒して捕まっちゃうし。この街にいたら未来はない!!!。出なきゃ!!!。
アメリカンドリームがあんなにもてはやされるのはこういう背景があるのかと衝撃を受けました。また、大学進学を目的として軍に入隊する人も多いと聞いたことがあるけど、こういうことかと。
筋だけ追えば、他にもある話。
それでも、臭い・どこにでもある・痛い青春映画にならなかったのは、勿論トム様の演技が等身代の高校生を演じていて「あるある」感を醸し出していたことに加え、背景や家族の置かれた状況をしっかり描いたからだと思います。青春映画というより、アメリカの現状を描いた映画?
フットボールの監督の有様は「大人げなぁ(;一_一)」と思ったけどね。家を襲撃された反撃としては共感できます。「家族は守らねば、家族を脅かしたあいつは許せない」そりゃ当然だわ。日本の都市部のようにすぐ警官が飛んできてくれるわけではなし。ご近所さんが守ってくれない、周りは森という現状ではね。
なんて堅苦しいこと考えなくても、青春のキラキラ満載。
『タップス』は目いっぱい青春の危うさをこれでもかと示してくれたけれど、こちらの方が素直に感情移入できました。初めての恋人との関係とか。ももひきなんてどうでもいいの。そんなものさえ目に入らないくらい、もう舞い上がっているんだから。しかも、以前のイケイケの自分じゃない「俺ってダメ男」位に思っている時の彼女のお誘いなんだから。初々しいトム様、それだけでも必見★。
トム様だけじゃなく、リサ、父・兄もいい味出してる。
自分が大学進学したいけどできない夢をステフに託して、監督の奥さん説得しちゃうリサが可愛い。「会えなくなるのでは」という奥さんの問いに、自分のことだけ考えればステフが大学進学しないで街に留まればずっと一緒にいられるのに、リサはステフの願いが叶うように動く。街を出ることは自分の夢でもあるから。リサ、抱きしめたいよ。
ステフが大学進学に打つ手なしで部屋でふてくされていた時、父親に「僕のこと、恥ずかしいんじゃない」と尋ねると、父は「自慢の息子さ」という場面(思い出し引用。間違っていたらm(_ _)m)。
このやり取り聞くだけでも何回も観たい。
兄も弟の才能妬むどころか、ステフが悪者扱いされると喧嘩してしまう。
そんな家族愛がほのぼので心がぽかぽかしてしまいます。
よくある映画と言われてしまえばそれまでだけど、心が疲れた時に観るといいかも。