突破口!のレビュー・感想・評価
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一風変わった銀行強盗もの
アメリカ映画は西部劇の時代から銀行強盗ものが好きですね、数多作られてきたので新たな工夫は、主人公が脱力系の中年おやじ、襲うのも田舎の銀行、彼は元曲芸飛行のパイロットという設定で見せ場はカーチェイスならぬ車と飛行機のチェイスと来ました。
人殺しせずに金を盗むだけならば多少は主人公たちに感情移入できたのでしょうが強盗殺人犯ですから醒めた目で追ってしまいます。どう見ても喜劇の方がお似合いのウォルター・マッソーさんですから、やたら人が死んだり、策略をめぐらす映画のトーンに合いませんが、それが狙いなのでしょう。原題Charley Varrickは主人公の名前、このキャラが全てということでしょう、突破口とは毎度ながら陳腐な邦題です。
強盗ものなのに銀行の裏稼業をめぐる闇を描いて社会派風、映像も子供が遊んでいたり、のどかな牧場など抒情的かと思えば娼館が出てきたり、薔薇の花束で秘書を釣ったりドン・シーゲル監督の多才ぶり、気の多さが伺えます。秘書役のフェリシア・ファーさんはマッソーさんの盟友ジャックレモンの奥さんで共演も多いから見せ場を作ったのでしょう。
マフィアの洗浄資金76万ドルというと、1973年は変動相場に移行した年なので270円/弗で約1.8億円、そうたいした額でもないので殺し屋も一人きりだったのでしょうかね。
組織が本気だったらこうはいかなかったし、マフィアは騙せても素性が割れているので警察に捕まるのは時間の問題、折角の飛行機なのですから地上戦で使わず、普通ならすんなり海外へ高飛びですが、まあ、警察よりマフィアの方が怖いと言うことでしょう。
仕掛け満載の犯罪映画で、主人公の頭のよさに痺れる。おじさんなのに...
仕掛け満載の犯罪映画で、主人公の頭のよさに痺れる。おじさんなのにモテるのも分かる。敵の秘書をたらし込むのがかっこいい。子分がアホで若々しいのもよかった。
殺し屋も人当たりがいいのに人でなしみたいな得体の知れない不気味さでよかった。彼はなぜ娼婦を見下しているのに娼館に泊まっていたのだろう。
そんな野良犬みたいな人々が元気にしている一方で人生を大切に地元で地味に生きていた銀行のおじいさんが自殺してしまうのが気の毒だった。
タフにふてぶてしく生きたいものだと改めて思わされる映画だった。
お勧め
簡単に強盗できるのは小さな地方の銀行ということで、強盗に入ったが、実際には途方もない現金が入っていた。だれかの隠し金ということで、その持ち主から命を狙われるようになる・・・。最後のどんでん返し。そうだ、忘れていた。彼の元の職業は・・・だったな。
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