「いぶし銀の魅力を湛えたハードボイルド犯罪映画」突破口! garuさんの映画レビュー(感想・評価)
いぶし銀の魅力を湛えたハードボイルド犯罪映画
原題は、主人公の名前であるCharley Varrick(チャーリー ヴァリック)。 主人公のチャーリー役にウオルター・マッソーを据えた映画であり、 つまり、マッソーという俳優の魅力を軸にして創られた作品と言うことになる。
マッソーは、1920年生まれで、この映画が公開された1973年時点で53歳。 実際、見た目はオヤジだが、これを逆に頼もしさに見せるところが、この俳優の力量なのだろう。 激しいアクションシーンはないものの、冷静沈着に危ない状況を淡々と突破していくハードボイルド風のたたずまいが、 実にカッコイイ。 各映画賞で主演男優賞や助演男優賞を受賞した経歴をみると、演技力の高さは、そもそも折り紙付きのようだ。
監督のドン・シーゲルは、クリント・イーストウッドと組んだ作品が多く、ダーティハリーは特に有名。 この「突破口!」は、その次作品で、主人公をフィーチャーした作りは同じ。 マッソーがイーストウッドよりひとまわり年齢が高い分、作品全体から受ける印象は渋くなっている。 ハラハラドキドキの銀行強盗を、落ち着いて楽しめる作品?と言ったらいいだろうか。 個人的には、ダーティハリーよりもこちらの方が好きだ。
同監督が手掛けた作品には、他にもボディスナッチャーなど面白い佳作が多い。 登場人物の個性の描き方が上手く、 神経の行き届いた細かい演出が状況にリアリティを与え、観客を物語から離さない。 娯楽作品を常にハイレベルで創れる、腕のいい職人だと思う。
コメントする