「【ドゥニ・ヴィルヌーブの最新作の先のストーリーが気になる人へ】」デューン スーパープレミアム 砂の惑星・特別篇 ワンコさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5【ドゥニ・ヴィルヌーブの最新作の先のストーリーが気になる人へ】

2021年10月15日
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通常版のレビューでも書いた通り、この原作「砂の惑星」は、昨今の宇宙物理学の最新の情報を取り入れたり、哲学的に昇華されたSF小説と比べて、大味に感じられるかもしれないが、物語としてよく考えられたSF大河小説になっていると思う。

個人的には、シェイクスピアやギリシャ神話の戯曲のような構成やテンポのように感じる。

家柄、領主同士の対立、後継ぎ、愚鈍な王、昔ながらの家臣、預言者然と振舞う占い師、裏切り者、既得権益の維持に躍起な組織、これに、合理主義と神秘主義の対立、合理主義と非理性主義の対立、リーダーと部下の信頼と対立、血筋、裏切り、暗殺、復讐などの要素をちりばめて重層的な物語展開になっているのだ。

そして、ポールがフレメンを率いるところは、実は、イスラムのムハマンドにヒントを得ているのではないかと思う。

西洋的な社会の知識を持ちながら、砂漠の民を率いるのだが、一神教であるキリスト教を知り、ムハマンドは、アッラーを一神教としてイスラム教を強大に組織化していくのだ。

そして、それぞれの物語が個性を持って主張され、特にフレメンについては、理解を深めるようにアレンジされている。

そして、この3時間を超える長尺版は、過度な編集前の通常版とちょっと異なっていて、あらすじを追うより、もう少し場面場面を楽しめるようには思える。

キャラクターや空間、宇宙船デザインはデヴィッド・リンチならではだし、若かりし頃のパトリック・スチュワートやスティングを見られるのも楽しい(パトリック・スチュワートは、昔からおっさんのように見えるけどね(笑))。

ただ、それでも、このSF大河小説の金字塔を映画として表現するには、時間は圧倒的に不足しているように思える。

まあ、だから、ドゥニ・ヴィルヌーブの最新作は、前編が2時半の、前後編になっているのだろう。

だから、もし、先のストーリーが気になる人は、大変に読み易くなった新訳版の「砂の惑星」1-3巻を読むことをお勧めするし、映画だったら、可能であればデヴィッド・リンチの「DUNE(長尺版)」をご覧になられた方が良いように思う。

僕、ドゥニ・ヴィルヌーブの最新作「DUNE」、期待してるんですよ!マジで!

デヴィッドリンチに敬意を表して、ちょっと加点😁

ワンコ