デビッド・クローネンバーグのシーバースのレビュー・感想・評価
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面白かった!
この映画はゾンビ映画の一種だと思いました。
一般的にゾンビ映画が確立されたのは1978年の映画「ゾンビ(ドーン・オブ・ザ・デッド)」からですがこの映画はそれより以前の1975年に作られています。
もちろん作中には「ゾンビ」という単語はでず、代わりに寄生虫が出てくるためゾンビ映画ではないのですが、内容は完全にゾンビ映画です。
寄生虫に操られた沢山の人間がゆっくり動いてまだ感染してない人間を集団で襲うシーンはまさにゾンビ映画そのものです。
ストーリーは「とある島に謎の殺人事件が発生。どうやら犯人の博士は寄生虫を研究していてその寄生虫は人間の臓器の役割をすることができるという利用価値が高いもの。しかしその寄生虫がだんだんと人から人へと移っていき大惨事へ…」というもの。
この映画は公開当時は「なんて酷い映画だ!」と不評だったみたいですが、現在のゾンビ映画が溢れた昨今では非常に面白い映画だと思います。現在では当たり前になっている表現も当時では衝撃的だったのですね。
歴史的価値のある一作。
この作品がある意味クローネンバーグが最も一般向けに作った?
ある閑静なマンションで起こる寄生虫による侵略を描く。突拍子もない展開が続くが主人公(冒頭から度々登場するという点と、映画メインビジュアルとなっているという点で)の寄生されているがなんとか衝動を抑えようとする葛藤が一つの軸になっており、感染者の変化を見ることができて映画として観やすさに一役かっている。まさか物語を引っ張ることになるとは思わなかった医者の中盤からの活躍には驚かされた。
寄生されると性的衝動を抑えられなくなるというエロティシズムと、ウネウネ動く寄生虫のビジュアルはクローネンバーグ作品そのものだが、単純に楽しませてくれる演出や、正攻法なホラー、ストーリーの分かり易さは一般向けなのかも?と思った。
クローネンバーグ流、ゾンビ映画
初のメジャー作品
シーバース(1975)
原題:Shivers
:Frissons
:The Parasite Murders
:They Came from Within
(公開場所・時期で、異なる原題が多数。後2つ思い出せない😣)
製作国:カナダ
監督:デヴィッド・クローネンバーグ
撮影:ロバート・サード
キャスト
ポール・ハンプトン…ロジャー
ジョー・シルヴァー…ロロ・リンスキー
リン・ローリイ…フォルシーサ看護婦
アレン・マジコフスキー…ニコラス
全てが揃い快適な生活が約束されたスターライナー島にある巨大マンション。
内陸と橋一つで結ばれたそこはまさに陸の孤島。
新たな入居希望者が訪ねて来た朝、15階の一室では1人の男が少女に襲い掛かっていた…
クローネンバーグによる初の商業デビュー作品。
日本での劇場公開はなく、TV放映が最初でした。
その時のタイトルがこれ
「SF人喰い生物の島/謎の生命体大襲来」
💣💣💣💣💣ドカーーーン‼
凄いセンスです😓
本作は大襲来でもなければ、人喰い生物でもありません😓
完璧な詐欺タイトル😓
…でも観ちゃうんだよなぁ😅
テレ東マジックに引っ掛かってしまう自分がチト愛らしい😅
さて、TV放映に際し、凄まじいタイトルを付けられた本作ですが、冷静に考えてみると、TVで放映出来た事自体が奇跡です💦
だってこれ、とある生物に寄生された人間は、露骨な色情魔になっちゃう作品なんですもん😨
ドスケベがドスケベを増やして行く😓
あっという間に巨大マンションは色情狂とド変態が渦巻く素敵なパラダイス😅と化してしまいます😨
露骨なセックス描写はないものの、全編淫靡な雰囲気が漂います。
冒頭でのオッサンと少女のバトルからして卑猥。
争う最中にスカートがめくれ、露わになる太ももと下着…😓😓😓
冒頭だけでも、その淫靡さがメチャンコ伝わってきます。
クローネンバーグ曰く「社会で抑圧されている人は囚われの身であり、エロくなる事で人間性を取り戻す」んだそうです😅
本作に関して、ゾンビ物と捉えている批評が多いですが、「巨大マンションの住民が暴徒と化し、棟全体が無秩序状態に陥る」という設定は寧ろ、高層マンションの住人が食人鬼へと変貌するJ・G・バラードのSF小説「ハイ-ライズ」からの影響が大きいと思われます。
監督は後に同作家の「クラッシュ」も映画化しておりますし、多分バラード好きです😂
粗削りながらも、監督の嗜好は健在。
物質としての「肉」に異様な迄の拘りをみせ、その「肉」が持つ「内部」構造を徹底的に剥き出しにしようとするスタンスはこの頃から垣間見る事が出来ます。
廃盤になった国内DVDは90分。
米国で発売された110分版での再発を強く望んでいます
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