デッドゾーンのレビュー・感想・評価
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Another Satisfying Cronenberg Joint
A Cronenberg film based on Stephen King material turns out to be a wildly apt combination. A series of bizarre events led underlined by a simple future-reading premise, dissentingly a potential atomic bomb. A thriller like no other really. Walken plays a role you might not be used to seeing him as. Aged like a fine wine, but quite fresh in this nightmare political climate we live under.
視えてしまうのも良し悪し
スティーブン・キング原作の触れると“何か”が視えてしまう男の話。
視えてしまうが故の主人公の切なさが沁みる作品。
主人公がデヴィット・ボウイに見えて仕方がなかった…。
100分少々の尺なので観やすいです。
悲しきサイキッカーの物語。
勧められアマゾンプライムビデオで鑑賞。
クローネンバーグ作品を見るのはフライ、ビデオドローム、スキャナーズに続いて4作目。
一見すると地味な印象ながら、一本の映画として無駄なく纏まっていて面白かった。
まず何と言っても目に留まるのは、そのオープニングのクールさだ。
印象的なタイトルロゴの表示。
若きクリストファー・ウォーケンの登場。
今後の展望を予感させる恋人とのデート。
彼の人生を大きく変える事故の発生。
昏睡状態からの目覚め。
…とここまでを僅か10分で描き切る。
怒涛の展開にあっという間に惹きつけられた。
クローネンバーグ映画というとバイオレンス描写が衝撃だが、本作はそういった表層的要素を超えた深い魅力に溢れていた。
人間ドラマ、SFとして実に硬派な内容であり。原作がスティーブン・キングというのも頷ける。しかしこれをビデオドロームと同時並行で作ってたというのだから驚きだ。
主人公を取り巻く環境の変化。
彼自身の精神の変化。
これらがストーリーの中核となるわけだが、これは"肉体の変容"を描いてきたクローネンバーグだからこそ丁寧な描写に成功したのだと思う。
彼にとって肉体の変容も精神の変容も同一のテーマなのかもしれない。
主人公役はクリストファー・ウォーケン。
彼の若く悲しげな佇まい、どこか不健康そうな中にも見える信念。物言わぬ彼の存在感が、本作の切ないストーリーをより印象的なものにしているのは確かだろう。
本作が残酷なのは、未来に起こる惨劇を見通す事が出来ながらも、それを阻止するには自分自身が行動を起こすしかない点にある。
そしてその行動にはリスクが常に付き纏う。
もし自分にそんな能力が備わっていたら…そんな事を想像せずにはいられない。
監督と原作者と主演と悪玉の役者二人の強い癖
恋人だった彼女が"特別な日"と最期には"愛している"って、良く出来た理想とも取れる女性像。
グロい特殊効果を発揮せずにクローネンバーグがドラマ性の強い演出を、題材にしてもピッタリで原作はスティーブン・キングと、相性が良さそうな二人でもある。
ライフルの弾が落ちる場面と、変えた先の未来を見せる映像が好み。
悲しい物語ではあるが、悲観的にはならないような、もっとスケールを派手にしてリメイクされたら、本作は少し淡々と過ぎる呆気なさが。
クリストファー・ウォーケンの魔力✨
アカデミー助演男優賞を「ディア・ハンター」で取って以来、クリストファー・ウォーケンは個性的な役が多かったけれど、この作品では冷たく美しい顔立ちが悲劇的なストーリーを唯一無二なものにしていたと思う。
カナダの美しい景観と、情感豊かな音楽も素晴らしかった。
30年ほど前に観てからDVDも購入、もう何回見たか分からないほど好きな作品です。
誰にも見えず抗えない未来という死角(デッドゾーン)
勝手にキング原作映画特集その6。
今回は『デッドゾーン』。
ドラマにもなってたし、タイトルをご存知の方も多いのでは。
交通事故で5年もの間昏睡状態だった男、ジョニー・スミス。
彼が眠りから覚めた時、結婚を約束していた恋人は
彼の元を去り、両親は年老い、そして彼自身は……
『触れたものの過去や未来が見える』という
人間離れした能力を身に付けていた。
5年の歳月で失ったものの重さと、自分を
化け物扱いする周囲の視線に苦悩するジョニー。
ある日、スティルソンという議員候補の政治集会に
偶然居合わせたジョニーは、彼の手に触れた瞬間、
その男がもたらす恐ろしい未来を目撃してしまう——
主演は『ディア・ハンター』の名(怪)優C・ウォーケン、
監督は『スキャナーズ』の鬼才D・クローネンバーグ。
なぁんかひとクセありそうな組合せ。
だが本作、監督の個性が良く出た映画とは言い難い。
まず、監督特有の人体損傷描写(人間をひとつの
物体として捉えるような冷たい観察眼)は殆ど無い。
原作がメロドラマ的要素が強い事もあり、いつもの
低体温な雰囲気も控え目。また、原作の内容を
そつなくまとめあげてはいるものの、そのぶん
各エピソードや人物の掘り下げは淡白で情感に乏しい。
彼もまた原作再現で精一杯になってしまった感じなのかなあ。
しかし、それら不満点を払拭するほど
素晴らしいのが主演ウォーケンのナイーヴな演技。
理不尽な運命へのやり場のない怒りを他人にぶつける弱さ、
自身の力に怯えながらも、それを人の為に活かそうとする優しさ、
とうの昔に失った恋人と再会した後で見せる涙。
彼は高潔なヒーローではなく、あくまで僕らと同じ小市民だ。
主人公の元恋人を演じたブルック・アダムスの可憐さ、
スティルソン議員候補を演じたマーティン・シーンの
狂犬の如き演技など、脇を固める役者も見応え十分。
あくまでいち原作ファンとしての意見ですが、
この配役はほぼ完璧に近いかと。
演技・演出は手堅く、先にも述べた人物描写と展開の
淡白ささえ無ければ、傑作に成り得た惜しい映画かな。
切ないラストも忘れ難いサスペンスドラマです。
ところで劇中、ウォーケンが本作の16年後に
出演する映画『スリーピー・ホロウ』の原典
について言及するのはただの偶然かしら。
<了> ※2012.05初投稿
レトロな質感のB級ホラー
レトロな質感のB級SFホラー。
ホラー的なシーンが少ないところを演出と音楽でカバーしている。
淡々と描いて全てがすんなりと行き過ぎている点が残念。
グローネンバーグ作品の根底にある"変身"というテーマを、生き方の変身という見方で描いた佳作。
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