ディア・ハンターのレビュー・感想・評価
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デ・ニーロの男気に心を打たれる。
冒頭から、哀愁漂うギターソロにグッときます。映画自体は声高に反戦を叫ぶのではなく、テーマ曲同様に静かに淡々と描かれているのが、かえって胸が締めつけられます。今にして再度観直してみると、色々と気付かせられる所が多い映画ですが、親友を連れ帰るために命がけで単身サイゴンに乗りこむデ・ニーロの姿には、改めて感動しました。
悲惨なベトナム戦争が生んだ…傑作。
素晴らしい作品でした。人物描写を淡々と描き続ける事によって、饒舌なセリフが無くとも、登場人物達の深い思いが伝わってきます。
ベトナム徴兵前の鹿狩りで、「人に頼るな」と仲間を突き放したマイケルは、けれども戦場で仲間を決して見放しません。
演じるデニーロは、タクシードライバーとこの作品で、アメリカ映画史に残る名優の一人となりました。
対するメリルストリープも、本当素晴らしい!初々しく若かりし頃の彼女の演技も必見です。
かつて、ロシアンルーレットの真偽について、本多勝一氏等に盛んに議論された事があったのだけれども、その真偽の是非に拘わらず、この作品が傑作である事は間違い有りません。
マイケルとリンダは、この後結婚するのだろうか?それともニックへの思いが、それを躊躇わせるのだろうか?そんな事まで考えてしまいました。
とても深い余韻に溢れた名作です。
上映終了後、お客さん同士が揉めていました。少し、悲しい気持ちになりました…。
「ディア・ハンター」の勇ましさと虚しさ
戦争を語らぬ戦争映画として有名な本作。
何と言っても全体の長尺に対する、戦場でのシーンの短さ。
本作で殆どを割くのは、戦争に向かう前後の彼らの暮らしぶりだ。
その強烈なコントラストが、戦争を経験するしないに関わらず、私たちの胸をじわりと締め付けるのである。
勇ましいディア・ハンターだった彼らは、言い換えれば、ただディア・ハンターでしかなかった。今や彼らは、鹿さえも狩れなくなってしまった。そんな虚しさがこのタイトルから感じられるのだ。
好意的な感想 「荒い」
ふ〜ん、昔の映画ってこんな感じなのかと、映画の歴史を遡らさせてもらえました。
細かい説明的なものは全くない。
「あれはどうなってんのよ!」とか、突っ込みたくなることは数多あれど、そういうものは一切無視して、必要な要素だけを撮りましたというような、いい意味でとても大雑把な映画だと思いました。
本当にお酒を飲んでるんじゃない?と思うような、とても自然な映像。
あれが演技だったなら、やっぱりすごい。
マイケル・チミノと言えば…
彼の代表作であり、出世作でもある。しかし、尺が長い。冒頭の結婚披露パーティーのシーンは半分くらいにカットしても良かったと思う。配役は文句ナシ。後の世界的なスターの若い頃が見れるのも興味が尽きない。
仲間を救う為に
夜の町をフルチンで疾走するデ・ニーロがモザイク無しでメチャクチャ寒そうで!?
デ・ニーロとウォーケンの若々しい姿をスクリーンで観ていたらナゼか一瞬「ヘアスプレー」と「ダーティ・グランパ」での戯けた二人を思い出してしまい可笑しいんだか?悲しいんだか!?
ロシアンルーレットを強行される恐怖と緊張感の中で怒り狂うデ・ニーロがこの状況を打破する為に。
逃亡してから見捨てること無く仲間を背負い戻ってからの彼の姿に悲観する訳でも無く明るい元の生活に当たり前に居させる。
最後は絶望的に救えなかったがデ・ニーロの行動力と圧倒的に仲間を想う心。
全く違った視点からベトナム戦争を描いたM・チミノの手腕は「天国の門」と同様に素晴らしい。
戦争描写がメインでは無いがベトナム戦争の問題を人間ドラマや青春モノとして描いた傑作。
映画オタクがおっさんになって、25年ぶりに本作を観たよ
オレが一番よく映画を観てた時は高校生のころ。特に「ベトナム戦争」と「マフィア」ものにハマっており、友人は「バリバリ伝説」と「あぶ刑事」に対し、「プラトーン」と「アンタッチャブル」ばかり観てた。
まあ、ぶっちゃけ、オレはひねくれたガキだったわけだ。今ではまあ、いい思い出ではある。
久々に一人で会社帰りに映画に行きたい、というと、あっさりOKが出た。さて何を観に行こうか?「ファンタビ」?「来る」?
このもと変態高校生が一人で映画を観るんだぜ?そんなわけないじゃん!
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「ディア・ハンター4K」
当時誰に対してなのかさっぱりわからないが、「ディア・ハンター」を見て、観終わった達成感に恍惚な表情を浮かべていたころである。だけど、それはあくまで「完走した」という達成感だけであって、正直デ・ニーロがでようが、ロシアンルーレットが恐ろしかろうが、「完走した」だけで得意になってただけである。
さて、25年後。これを劇場でまた観る機会があるのもすごいことだが、これを選択するオレは当時と変わらず変態である。
だが、観終わった印象はさすがに変わった。
意外と長く感じないのだ。特に最初の1時間30分ちかく使う結婚式と鹿狩りが意外とすっきりしている。
これは当時のオレが持っていなかった、マイケルの、ニックへの視線とリンダへの視線に注目できたからでもあり、スタンの、ブーツを貸してくれないマイケルへの「あの」一言がもちろん、その後の展開に緊迫感を与えるからだ。
もちろん、単純に「ゲイ」映画というつもりはない。(おいおい、前回の「ボヘミアン・ラプソディ」に続いてまたこのネタか、というのは本当に偶然である。)。
だが、その視点もコミで、でも財布にひっそりと忍ばしているリンダの写真を持つマイケルの心情もなんとなくわかる。
そしてベトナム。いきなり捕虜になり、いきなりのロシアン・ルーレットの展開は覚えてはいたが、サイゴンでのニックの最初に行った賭場に、先にマイケルが居たことに驚いた。こんなシーンあったんだ!
だが、なぜマイケルはあそこにいたのか。そう、25年後のオレが新たに抱いた本作の最大の謎はここだった。
今ではチミノのコメンタリーなど出ているので、そのシーンについて、確認することはできるかもしれない。だがオレはこのたび、こう
解釈した。
1)ニックとの「どちらかが、あるいはどちらとも昇天するかもしれぬ、アツイ打ち合い」が忘れられなかった。
2)マイケルとニックが「戦争の傷」をどう対処したか、の分岐点としての賭場でのマイケルを便宜上登場。
1)について、もちろんマイケルに死ぬ気はない。しかし「1発」に賭ける思いは「鹿狩り」同様、マイケルの信念によるものだ。マイケルは「鹿狩り」に関しては、異常なまでの「神格性」をもって望んでおり、それを満たすのはニックとでないとできない、と序盤に語っており、そのストイックさがロシアン・ルーレットで発揮。
それは、もうイッてしまうほどの事だっただろう。
2)半分冗談、はさておき、2)については、まさしく「ロシアン・ルーレット」こそが彼ら青年の「戦争の傷」をどう癒すかの分岐点。
マイケルにとっては、「ニック(ともに過ごすこと)こそ青春」であり、ロシアン・ルーレットはある意味、それを確認するものだったが、ニックにとってみれば、「ロシアン・ルーレットで勝つことがすべて」とすり替わってしまった。
マイケルにとっては、「ニックとイクこと」が勝ちであり、ニックにとっては、「ロシアン・ルーレットでイク」ことが勝ちになってしまった。
車に乗ったニックは、マイケルが追いかけていることに気付いていなかったのだろうか。それとも。
追記
4Kについて。
正直、過去の「記憶の画質」とあまり変わらないものだったが、まあ、劇場で観れたことで良しとしよう。
追記2
みんな若い。ウォーケンはイキイキ、ピチピチしているし、ストリープも彼女の映画史上最も美しい。
しかし、デ・ニーロ。
特にデ・ニーロが「美しい」。
本作の長さを感じさせなくさせる一番の要因は間違いなくデ・ニーロの存在。
追記3
God Bless America
ロシア系移民の彼らにしてみると、ベトナム戦争に行くことこそが、アメリカ人としての誇りを得るもの、アイデンティティを獲得する方法だったわけである。セリフにあるように、その地を離れたかったわけでもなく、ましては敵兵を撃ち殺しに行きたかったわけではない。
そんな彼らの歌う「アメリカ万歳」は「戦争批判」ではない。そこから考えると、マイケル・チミノは「アジア系」に差別的な作品として「イヤー・オブ・ザ・ドラゴン」も含め、言われてきたようだが、「移民」の境遇やその生活に密着した描き方をしてきただけなのが分かる。
戦争映画の個人的金字塔
戦争映画は数多くあれど、この作品のヒリヒリ感は異様なレベル。
なんとも重く重くずっしりくる。
でも戦争とはこうゆうものなんだと、やめてくれと、ひしひし感じる。
プラトーンは商業作品っぽさをドーンと感じてしまったが、これは凄い。
出陣前の、ドレスにワインが〜なトコとかね、あぁ……って感じにさせます。奥ゆかしいというか、なんか皆まで言わない強さがあります。ロシアンルーレットは言わずもがな…。
涙流したいタイプの方にはオススメしない。その手の物ではない。名作。
ロバート・デ・ニーロが若い・・
若き日のデ・ニーロやメリル・ストリープが出ている戦争映画の名作。余りに有名なギターの映画音楽とマッチして悲しみの感情が沸き上がる。ロシアンルーレットの最後のシーンは余りにむごく悲しい。3時間を超える大作で、1978年のアカデミー賞受賞作品。週刊文春「シネマチャート」第11位。
長いけど…
ずっと見たかった作品をやっと鑑賞。1979年のアカデミー賞を総なめしたということで、想像通り良い映画だった。
ストーリーは、職場が一緒で鹿狩が趣味の仲の良い男達がベトナム戦争を通してどのように変化してしまったのかを描いたもの。
まず、本作は鑑賞時間が3時間とかなりの長編作品である。そのうち最初の1時間が徴兵前のシーンで、残りが戦争と帰還後のシーンとなる。最初の徴兵前の部分は少し長く感じた、特に披露宴のシーン。でもその尺があったからか、帰還後の各キャラクターの変貌は浮き彫りになっていた。
本作の特徴はキャラクターが"多くを語らない"というところだと思った。徴兵された者とその恋人や親友の精神的な変化は、動作やセリフの行間から読み取ることができる。それを可能にしたのは俳優陣の素晴らしい演技であり、どのキャラも欠けてはならない存在であった。本作の公開を待たずに死去してしまったジョン・カザールのことを思うと非常に悲しい…
戦闘シーンがほぼ無いのに、ここまで戦争の悲惨さをひしひしと訴えかけてくる映画は他にない。音楽を含め演出により映画全体にまとまりがあったし、テーマ曲の「カヴァティーナ」は映画史に残る名曲である。
「アメリカン・スナイパー」とはまた違った兵士の帰還後の苦悩というものを鑑賞者は突きつけられる。そして、日常という幸せがはっきりと浮かび上がってくるのだ。
結構評価割れてるんですな
興味深いことに。
「プラトーン」に始まった第二次?かどうか知らないが(勉強不足ですいません)一連のベトナムものが出来るまでは
地獄の黙示録
と並んでベトナム戦争映画の代表作だったはずだけど…見方が厳しくなったのか?自分も人のことは言えんが
とはいえ私も最初にみた時はあまりピンとこなかった。地獄の黙示録をみた時の衝撃に比べると。
しかしあのロシアンルーレットの場面、ニンマリとして笑い出すデニーロ。不気味だ。
精神に異常をきたしてしまうやつ、車椅子になってしまうやつ。
ラストは素直に感動したけどね。テーマ曲も珠玉の名曲、たぶん映画みてなくても曲はよく知られてると思いますが。
あれですよ、日本映画でもビルマの竪琴
みたいにちょっとおかしくなってしまった戦友を
「みずしまー!日本に帰ろう!」
とかと同じで
「ニック。国へ帰ろう。な、思い出せ」と説得する
しかし…名シーンだと思うけどな。
映画としてはたしかに長い特に鹿狩りのとことか長すぎる。題名からして仕方ないんだろうが。
そうだなあ、戦争映画としてみるから…いや、わからん難しいところか
私はこの映画のデニーロが一番好きですけどね。
あとはヤクザか危ない犯罪者か、いろんな役やってはいるけど
マイケルチミノ
重厚で意味深い作品だと思います
映像に被るクラシックギターの音色
全て深い味わいがよみがえってきます
デニーロが鹿を撃とうとしてためらう場面
名シーンだと思います。
それにしても次作品"ヘブンズゲート"でおおこけでしたね!
戦争映画というよりは青春映画
ベトナム戦争を描いた映画だと勘違いしていました。
ところどころショッキングな場面をちりばめた、センチメンタルな青春群像劇ですね。
出てくるベトナム人は、およそ共感不可能な野蛮人として描かれます。ベトナム兵が村人を手榴弾で皆殺しにしたり、捕虜を残虐にいたぶったりするやつばかりなので、主人公がそいつらをぶっ殺すとても痛快に見えるようになっています。
ロシアンルーレットを魅せる映画
戦争映画としてはかなりアメリカ寄りの内容。
相手側の事情はろくに描かれず一方的な敵扱いで、かなり杜撰。
そもそもベトナム戦争時にロシアンルーレットが横行した事実はない。
戦争による後遺症も描かれているがリアリティは感じられない。
いい加減なでっち上げ映画に、戦争の悲劇を語る説得力はなかろう。
一方、ロシアンルーレットの描写は緊迫感があり心に残る。
ロシアンルーレットを描いたエンターテイメントとして考えると納得の作品。
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