テルマ&ルイーズのレビュー・感想・評価
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裁かれない罪に立ち向かった、彼女たちが得る自由
'91年作。少女の頃に親とレンタルビデオでしか観たことがなく、今回初スクリーン鑑賞。とても感動した作品だと記憶していたが、その記憶よりずっと素晴らしかった。大人になって改めて観たことで、気づくことや感じることもたくさんあった。
彼女たちが受けてきたであろう抑圧、暴力、暴言、そして性加害すらも、裁かれたり罪名が付くことはない。その理不尽さは、女性なら多少なりとも経験があるはず。あの運転手に金品ではなく謝罪を要求する彼女らに涙が溢れた。
2024年の今なら、彼女たちは最期にあの選択をしないで済んだだろうか?どうかそうであって欲しい。
ルイーズはおそらくテキサスで(西部の方が女性に関する考え方が古いと聞く)レイプされ、その被害は認められることもなく裁かれることもなかった。だから、最初に駐車場で暴行しようとした男ハーランを許すことはできなかったのだ。ハーランは、ダンスの時から不自然にテルマを何度も回し酔わそうとしていたのも、今回気づいて、許せないと思った。
彼女らの逃避行は決して楽しいものでも明るいものでもないが、自己解放の旅でもある。それを爽やかな音楽と雄大な自然に乗せて描き、映画史に残るラストシーンに導いた傑作。最期に笑顔を向け合う彼女らの表情はきっとこれからも忘れられない。
「you're part of me,I.m part of you」と歌うエンディングにひたすら泣く。
とても面白かった
作られた時代を考えると凄い。メジャー大作でかつチャレンジングであるという。
周りの環境にがんじがらめだったテルマが覚醒したことで、心が揺れ動いていたルイーズの腹が据わる。
道行きが進むにつれて、関係性も拮抗していく二人を追っていくわけだが、その手さばきというか、演出の緩急とか演技の素晴らしさとか諸々の総合力が素晴らしく、ラストは大感動。
田舎町のバーとか喫茶店とか、臨場感あるアメリカの風俗描写が面白く、劇場の大画面で見ればこそ、と思った。
そこから終盤、大自然を疾走する抽象的な背景へと変貌し、二人の心象にクローズアップしていく感じがとても良かった。
I feel awake
序盤のテルマのあの鈍くささ、生まれた街で死んでいくような、これまで生きてきた世界の狭さゆえ、という感じ。(うちの親を想起。)抑圧されたエネルギーの開放の仕方が分からない(極端に触れる)のも同じで、『哀れなるものたち』のベラみたいと思った。/映像がかっこいいからこそ、ある種の無茶が映画作品として昇華される。/主役二人はもちろん、ハーヴェイ・カイテルがいい。
引き返せない逃避行
乱暴者の恋人と距離を保ちながら気ままな独身生活を送るルイーズと、幼稚な夫の言いなりで自分を抑えて生きている専業主婦のテルマ。
二人は退屈な日常から抜け出すためにドライブ旅行に出かける。
が、途中で立ち寄ったバーで下心丸出しで近づいてきた男と親しげになったテルマは、泥酔したところをレイプされかけてしまう。
ルイーズはテルマが持参した護衛用の銃で男を脅すが、男は悪びれることもなく卑猥な言葉で彼女らを侮辱する。
頭の中で何かがフラッシュバックしたルイーズは、その場で男を射殺してしまう。
今まで犯罪とは無縁の生活を送ってきた二人だったが、現場から逃走したことで二度と引き返せない深みにはまって行くことになる。
状況がどんどん絶望的な方向へ転がって行くのに対して、二人の人間性が吹っ切れたように開放されていくのが面白い。
特に最初は自分では何も決められず、簡単に人に心を開いてしまうために裏切られてしまうテルマと、絶望的な状況の中でもしっかりと計画を立て、毅然と前に進んでいくルイーズの関係性が変化していく過程が興味深かった。
ルイーズは距離を置きたいと思っていた恋人の思わぬ行動に、改めて自分が彼を愛していたことを思い知らされる。
夫から大切にされず、本当の愛を知らなかったテルマは、行きずりで出会ったJ.Dという青年とのセックスで本物の性の快感を知る。
結果的にテルマは裏切られ、ルイーズの逃亡資金も持ち逃げされてしまうのだが、心の糸が切れたように項垂れ泣きじゃくるルイーズに対して、テルマは根拠のない自信を持ってルイーズを奮い立たせようとする。
そこに今までビクビク怯えていた彼女の面影はない。
さらにテルマは強盗を働き逃亡資金を調達する。
もはや立派な犯罪人になってしまった彼女らに怖いものはない。
スピード違反を取り締まろうと近づいてきた警官を銃で脅してトランクに閉じ込め、何度も卑猥な言葉を放つタンクローリーの運転手を説教した末に、タンクを銃で撃って大爆発させる。
彼女らの行動が過激になればなるほど、観ていて痛快な気分になるのは、いつしか彼女らの目線に立って物語に没入しているからだろう。
それにしても登場する男たちが下衆過ぎて胸クソが悪くなる。
何故彼らは皆自分たちが支配者であり、女性とは自分の言うことに従うものだと信じて疑わないのだろうか。
本人の口からは語られないが、ルイーズはかつてレイプされた経験があり、それがトラウマになっているらしい。
彼女たちを追い詰めたのは男たちの身勝手さであるともいえる。
唯一彼女らに手を差し伸べようと働きかけたのが刑事のハルだが、彼の想いは二人には届かない。
ラストシーンはとても切ないが、ここまで引き返せない道を選んだ彼女らに、残された選択肢はなかったのだと強く思った。
もし、引き返せる道があったとしたら、それはどこだったのだろうと考えさせられた。
ストックホルム症候群に陥る警官のミス判断
設定が悪い。あり得ない。
これでアカデミー脚本賞?
予想した通りのストーリー展開。
後、一時間で結末はどっちだけ。
警察が何一つ証拠もないのに暴力を振るったり、状況を把握していないのに同情したり、何を理由に家に電話を入れたか?
全て、結果ありきの状況設定。
後、36分相変わらず結末だけの映画。テキサスでレイ◯も分かる。
『自由を求めてメキシコへ逃亡』には見えないが。
『逆探知』は映画では時間がかかるのは本当?瞬時で探知出来ると思うけどね。後12分。多分破滅の方だ。
ネタバレ ありき
大当たり。何一つひねりも工夫もない。脚本がぶっ壊れている。
俺たちに明日はない(ボニー&クライド)、明日に向って撃て!(ブッチ&サンダース?)
と同じ様に邦題もテルマ&ルイーズから『明日への終末旅行』『私たちに明日はないわ』とかにすれば良かったと思うが。この映画をジェンダー問題と絡めるのだけは止めるべきだ。状況は崖っぷちでも、火曜サスペ◯◯劇場止まりにすれば良かった。また、どうせなら、もっともっと愚行を見せて貰いたかった。
これでは、テルマだけが『カバ女』。ルイーズだって『カバ女』といわんやをや。である。
明るい感じで面白い。
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しっかり者のルイーズと、ややそそっかしいテルマの親友コンビ。
テルマは結婚していたが、旦那に不満で、勝手にルイーズと共に旅に出る。
テルマがレイプされかけた所をルイーズが助け、勢いで男を射殺してしまう。
2人はメキシコに逃げようとするが、テルマが別の男と不倫し、
この男にうっかり大金を盗まれてしまう。
仕方が無いのでテルマは泥棒男の強盗の体験談を参考に、強盗をする。
逃げる途中スピード違反で止められ、仕方なく警察官を銃で脅して逃走。
さらには卑猥な言葉をかけて来たトラックを銃で撃ちまくり爆破。
そしてグランドキャニオンに到達する。
が、たくさんのパトカーに囲まれ、狙撃班に照準を合わされ万事休す。
手を上げて降伏しろと言われるが、あえてそうせずに車ごと滝に飛び込んだ。
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やはりこういう古い映画がおれは好きみたい。
普段はろくでもない夫と結婚し、精神的な自由を奪われていたテルマらが、
強盗したり警察から逃げたりするうちに心からの解放感を得るという話。
無茶苦茶してはいるが、彼女らには悪意や狡猾さはなく、気持ちがいい。
でも客観的に見れは凶悪犯以外の何者でもない、という矛盾。
最後はやや強引な展開であっけなく終わる。
諦めて心中を選んだってことなのか、逃げのびれる可能性があると思ってか?
アカデミー賞脚本賞を受賞したらしいが、私には違和感が大きい。 殺人...
アカデミー賞脚本賞を受賞したらしいが、私には違和感が大きい。
殺人、強盗などの重大な犯罪を犯しているのにほとんど反省している様子がなく、最後まで逃げ続けているのはなぜだ。
しかも笑いながら軽いノリで。
監督の常識を疑ってしまった。
ドライブを区切りに進んで行くのがイイ
前半、S.サランドンは「一緒に気分転換しようね」と友達の辛さを思っての犯行に見えたけど、正当防衛と言えるか微妙に思えたから逃げる選択をしたのでしょう。情があって優しい性格なのに、それが裏目に出る。
ブラピを乗せ「逃げドライブ」する景色は素晴らしいが「いい尻してる」とか、逃げてる状況なのに主婦の方、相当ストレスなのか肉食系なのかヤケクソなのか、微妙なコミカルさで解かりにくい
男女とも尻って見てるんですね・・・それは認識しました。
Sサランドン(独身)の方は、自分に惚れてる男を上手く活用するんだけど、悪い行いはいずれ自分に返ってくる...目に見えない世の中の自然な流れ、因果。
気持ち的には「主婦の方、お騒がせだな」が先行しましたが、話の進行スピードが丁度良く、雄大な景色も含め内容は充実していたと思います。ブラピから聞いた強盗話を実践してしまう部分なんて、メロメロになってる証でわかりやすい。悪い点はドライブ中コミカルなノリになり、事の重さが台無しになってしまうので、
「話は途中ですが一旦ブレイクです。一緒にドライブしてるつもりで観てください」そんな感覚になれれば映像を楽しめるはずです。
正直、トラック野郎に対し「ざまぁみろ」的な爽快感を味わう場面は、時代の古さを感じた。現代はセクハラ・パワハラ・DV...ハラハラ主張できる時代ではあるけど、男女のバランスは良い方向にいってるのか、逆利用してないかコミュニケーションの窮屈さは複雑になるばかりと思ったからです。まぁ暴力的にするのは映画ならではってことですかね。
映画ではレイプを問題に取り上げてますが、H.カイテルはちゃんと理解を示してたわけで、投げやり的な生き方に共感できるかは賛否が分かれるでしょう。
ラストは絶妙なタイミングで終わるけど、個人的には車が爆破し、H.カイテルが無念な表情を見せるエンディングにした方が「事の重み」が加わったと思う。コミカルに終わらせていい問題じゃないからね。
全体的には詰め込み過ぎな印象があり、良いところ悪いところ交互にありましたが、まぁまぁ楽しめました。
余談ですが、チャーリー・セクストンを観れて良かった。
世の中男よりも、 女性の方が不利な場面って多々あるんだろうね。 き...
世の中男よりも、
女性の方が不利な場面って多々あるんだろうね。
きっと昔よりは良くなっていると思うけど、
大変そうだなって思うことある。
主人公の二人はべっぴんさんなので、
べっぴんさんじゃない人よりは
人生の中で
幸せになれるチャンスはあったはずなのに、
なぜか不幸になる。
女性二人がやけっぱちになりながらも、
刹那的な幸せを探す青春ロードムービー。
最後の終わり方の二人の表情、
道の終りを突き進んでいく映像美しかったです。
女のバニシング・ポイント
filmarksに移行したけど、filmarksはコメントを一覧で見る機能がないのでコメントした映画だけこちらで管理する。
今更観た。観て良かったです。女のバニシング・ポイントなんだけど、限界まで加速した末の破滅の向こうに希望がある。現実世界への具体的なアプローチの意志を感じる。脚本は女性らしい。日々にやり切れなさ感じてる場合じゃないですね…今を生きる私たちは諦めさせられることなく生きていきたいし、その上で粘り勝ちの大往生を遂げたいよ。あとブレイク前のブラピの上裸が見られます。
解き放て!
気ままな女子旅になるはずが一転、、、
全ての発端は無神経で傍若無人な男性側にあるのに、なぜ彼女達がここまで傷付き、追い詰められなければならないのか?胸が締め付けられました。それと同時に旅が進むほど逞しく活き活きとしてくる彼女達が清々しかったりもします。また、こうでもしないと吹っ切れないくらい彼女達は日々追い詰められていたのかと思うと哀しくなったりもします。
自分はほぼ哀しい目線で観ていたのですが、他の方のレビューを拝見すると、前向きに捉えている方が多く、驚きましたが勉強になりました。時間を置いてまた観てみたいです。今度は前向きに。あのラストもまた違って見えてくるかもしれません。
【男性優位社会に対し、女性が自立、抵抗する姿を叩きつけた作品。テルマとルイーズが自由を求めて疾走する姿が印象的。特に覚悟を決めた二人のラストは”自由への飛翔”の象徴であろうと思える作品でもある。】
ー 閉塞感溢れる日々を送る平凡な主婦のテルマ(ジーナ・デイヴィス)とウェイトレスのルイーズ(スーザン・サランドン)は、夫と恋人に内緒で、週末のドライブ旅行に出掛ける。
だがその途中、テルマがバーで知り合った見知らぬ男ハーランにレイプされかける事件が発生。助けに入ったルイーズは男を射殺してしまう。
そして、彼女たちはそのまま自由への逃避行を続ける・・。ー
・最初は、ルイーズが主導権を握っているが、イケてる小悪党、JD(ブラッド・ピット)と初めての快楽を伴う関係を持ったテルマが自立して行く姿が印象的である。
JDに教わった通り、強盗を行い、初めて自由を感じるルイーズの姿。
・逃避行の際に、警察官に捕まった際のテルマの行動も彼女が自立した精神を、自ら得た事を示している。
・メキシコへ向かって、逃避行をする間、執拗に彼女達を追いかけるタンクローリーの運転手に対する、二人の啖呵が小気味よい。
そして、タンクローリーに銃弾を撃ち込んで・・。
<テルマとルイーズの数々の行為は許されるべきモノではないが、良く観れば、総て愚かしき男性の行為が起因している。
ハーヴェイ・カイテルが演じる捜査官ハルのみが、彼女達の側に立って、捜査をする姿も印象的である。
そしてあの鮮烈なラストシーンが、今作を秀逸過ぎる作品に昇華させているのは間違いないと思うのである。>
名作ですね
さすがリドリー・スコット。もう30年以上前の作品なのに全く色褪せない。ラストの逃走劇は映画の教科書に乗せるレベル。人物描写が素晴らしく、下手なシナリオだと自分勝手な二人の女性で全く感情移入出来ないのだが、ちゃんと出来るようになっている。行きずりの男とのセックス等もちゃんと理由や夫の事も触れ嫌な女と見られがちだがそうなっていない。
中盤から描かれるテキサスの話もちゃんと落ちが着いていて素晴らしい。
追う側も二人に同情しているから誠意を持って接しているし、しかしもう男は信用は出来ないと、歯がゆい話になっている。
イーストウッド監督の「パーフェクトワールド」はこのラストからヒントを得たのかもしれない。こちらも名作だが。
まんまニューシネマ
乾いた風景も、刹那的な生き方も、まんまアメリカン・ニューシネマです。
ベタベタのエイリアン撮ったスコット君のカラッカラにドライな映像です。
レズ映画だと思ってる人いるみたいですけど理解不能、女の信頼と友情でしよ?その支離滅裂がニューシネマです。
いつも悪役の彼、今回は浪花節刑事でいい味ですね。
ラストは人生屈指の名場面、泣きそうになりました。
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