テルマ&ルイーズのレビュー・感想・評価
全138件中、21~40件目を表示
女性の社会進出を感じさせる作品だが、根底にはまだ男性的な思想を感じる。
名作映画としてよく名前のあがる作品。
女性版「イージーライダー」(1969年)といった趣で、さすがに完成度が高い。
ウェイトレスの中年女性ルイーズは、友だちの専業主婦テルマを誘って週末のドライブ旅行を予定していた。テルマはそのことを夫に伝えようとするのだが、気弱なため、はっきりと口にできない。そうこうするうちにルイーズが迎えに来てしまい、夫にはなにも伝えずに出発してしまう。
ルイーズのすすめで、旅の間くらいは羽目を外そうということになり、テルマはバーで酔っ払い、男と踊る。その気になった男に襲われそうになるが、ルイーズが止めに入る。しかし、もめごとのあげく、ルイーズは男を射殺してしまう。予期せぬトラブルに巻き込まれ、ふたりは警察に追われる身となる。
本作が公開された1991年という年は、「ターミネーター2」「羊たちの沈黙」も公開されている。戦う女という題材を通じて、女性が男性と対等の存在として主張されるようになってきた時代だったのかもしれない。
本作を監督したリドリー・スコットと、「ターミネーター2」のジェームズ・キャメロンは、ふたりとも「エイリアン」シリーズを手掛けており、戦う女リプリーを描いているのがおもしろいところだ。
「羊たちの沈黙」では女性捜査官のクラリスが男性社会の中で奮闘する姿が描かれていた。本作や「ターミネーター2」では主人公は女性だが、成長の証として銃を撃ったり男性に対して暴力的な形で勝利を収める、といった描写になっている。これは女性が社会において男性と対等な立場を手に入れる、というよりは、女性が男性化していくことで社会進出していく印象を受ける。性別は女性なのだが、ベースにあるのは男性的なマッチョ思想なのだ。
現在は女性が女性として描かれる作品も増えてきているが、90年代初頭はまだまだ女性の社会進出というものが本当の意味では浸透していなかったのかもしれない。
製作費23億円で、興行収入64億円。よく名前を聞くわりには当時はそこまでのヒットではなかったのだろうか。ちなみにこの年、全世界興行収入ランキングの1位は「ターミネーター2」(730億円)だった。
それにしてもリドリー・スコットという監督はクオリティの波はかなりあるが、「エイリアン」「ブレイドランナー」などは言うまでもなく、本作のような長く愛される作品を数多く生み出しており、その想像力には敬服する。
抑圧されてきた女性たちによる精神的解放の物語
1991年に公開され、アカデミー賞脚本賞を受賞した作品。鑑賞前は作品の存在自体知らなかったが、映画.comの採点も4.1だし、リバイバル上映されるくらいだから、さぞ面白い作品に違いない、という極めて安易な発想で観に行くことにした。しかし、結果的には見応えのある非常に良い作品だった。
物語の大筋としては、ウエイトレスとして働く恋人持ちの独身女性ルイーズと専業主婦のテルマによる逃避行の物語。
テルマの夫は支配欲の塊で、自身は浮気など自由奔放に振る舞いながら、テルマを徹底的に束縛し、従順であることを望み、逆らうと怒鳴り散らすといったDV紛いの行動が目立つ。責任転嫁や自己正当化が激しく、自分は常に正しいというスタンスで、妻の言い分には一切耳を傾けず、テルマは長く精神的な抑圧を受けており、次第に人としての尊厳や自信を失い、抵抗することを諦め、夫に従順であろうと思考停止に陥っていた。
もうひとりのルイーズもテルマほどではないが、似たような状況にあり、恋人は短気で日常的に物に当たったり、時には暴力を振るうDV気質。ルイーズもテルマ同様、恋人に抗えず、精神的な抑圧を受け続けている女性だった。
そんな背景を持つふたりが、気分転換のつもりで3日間のドライブ旅行を計画する。『たまには夫(恋人)から離れてハメを外したい』そんな気軽な気持ちで計画した旅行だったが、思わぬ波乱を呼ぶことになる。
道中、バーで泥酔したテルマが男性客にレイプされ、その現場に居合わせたルイーズが男性と口論になり、カッとなって男性を銃で撃ち殺してしまう。ルイーズも過去にレイプされた辛い過去があり、どうしても男を許せなかったのだ。
ルイーズは現場の状況からして、自首しても正当防衛は認められないと判断し、自首をせず逃走という道を選ぶ。テルマも男性についていった負い目からか、渋々それに了承し、逃走に付き合うことになる。目指す場所はメキシコ。こうしてふたりの長く多難な逃避行が始まる。
その逃避行の最中、テルマは出会った男性と親密な関係になる。しかし、その男性は実は強盗犯であり、逃走資金をすべて奪われるという致命的な失態を犯してしまう。
すると、なにを血迷ったか、テルマは逃走資金を確保しようと、銃を片手に通りがかったスーパーに強盗に入る。無事、逃走資金を手にしたものの、これでテルマにも前科がついてしまう。
さらに職務質問してきた警官に銃を突き付け、パトカーのトランクに閉じ込めたり、しつこくセクハラ紛いの下品なナンパを繰り返すトラック野郎のトラックを木端微塵に破壊するなど、彼女たちは次々と罪を重ねていく。
しかし、これだけ大変な状況にもかかわらず、彼女たちはなぜか旅が進むにつれ、自分らしく生き生きとした明るい姿へと変わっていく。
次々と罪を犯し、もう旦那や恋人の元には戻れないと腹を括ると、一気にその精神的支配から解放され、失っていた本来の自分らしい姿を取り戻していく。それまで自然と抑圧していた感情や意思を素直に表現できるようになり、特にテルマは急に逞しい強い女性へと変貌していく。その姿はなぜか清々しくも見えた。
この映画の核心は、抑圧されてきた女性たちによる精神的解放の物語であり、それはラストのシーンでより鮮明になる。
最後、パトカーに囲まれ、いよいよ追い詰められると、彼女たちは車のアクセルを踏み込み、崖下に飛び込み自殺を図る。
逮捕されれば刑務所に入り、様々な制約を強いられ、また抑圧された不自由な生活に逆戻り。そうなるくらいなら死んだほうがマシ。彼女たちはそう考えたのだろう。ふたりは覚悟を決め、互いの手を握りしめ、晴れ晴れとした表情でグランドキャニオンの崖下へと飛び込んでいく。この映画を象徴する非常に印象的なシーンだった。
長く抑圧され続けることで思考停止に陥り、夫(恋人)の望む人格を演じ続けることの生き辛さ感じていた彼女たちにとって、自由というのはそれくらい尊いものだと訴えているように感じた。
この映画を見て、自分はスペインの政治指導者ドロレス・イバルリの『跪いて生きるくらいなら、立ち上がって死んだ方がマシだ』という言葉が浮かんだ。
この映画では、抑圧する男性と抑圧される女性という構図だったが、似たような構図は親と子、上司と部下、先生と生徒といった社会の様々な場面でも見受けられる。現実世界で実際ここまで振り切った行動ができるとは思わないが、いろいろ考えさせられるいい映画だった。
自由を求める心と冒険の、奇跡のドラマ
リドリー・スコット監督。
【ストーリー】
アメリカ南部アーカンソーの片田舎。
夫から暴力をうけていたテルマ(ジーナ・デイビス)と、レストランで働くルイーズ(スーザン・サランドン)は山小屋でのバカンスのために、ルイーズの66年型フォードコンバーチブルでドライブしていた。
途中ロードハウスで酒を飲んで、テルマが男に誘われダンスすると、男は車でテルマをレイプしようとする。
ルイーズが護身用の銃で男を殺害してしまい、二人はそのまま逃げる。
「正当防衛として、警察に出頭しよう」ともちかけるテルマを、
「レイプの証拠がない。ぜったいに自分は殺人犯になる」と聞きいれないルイーズ。
なら南にひたすら走って、国境をこえてメキシコに行こう、今までの生活など捨ててしまおうと二人は合意する。
開放的になったテルマは、思いもよらない度胸を発揮しはじめる。
途中でJD(ブラッド・ピット)という犯罪者と出会い、いい仲になるもそいつは二人の金を取って逃げてしまう。
テルマはJDが語った通りの手順でコンビニ強盗を成功させ、その金でさらに南へと逃亡する。
いわゆるクライムサスペンス+ロード物。
ただし主人公二人が働く中年女性で、犯罪を重ねるごとにどんどん人として解放されてゆくという、とても痛快な構成になってます。
どちらもかかえた鬱屈や心の傷に苦しみながらも、男たちから自由になってゆく。
物語がすすむごとにこちらまで晴れ晴れしてくる。
ラスト、男たちの手には絶対に落ちないと決めた二人の決断。
砂漠をまっぷたつにぶったぎる街道をひた走りながら、アップテンポな曲と共にラストまで風のように一気にかけぬけます。
リドリー・スコットの撮る雄大な景色と、自由になるたび美しさを増してゆく二人と、疾走する空みたいに青いフォードコンバーチブル。
とても鮮烈な、遅れてきた青春をふたたび味わえる、自由への希求と解放のドラマです。
Here we go!
ダイナーのウェイトレス、ルイーズ( スーザン・サランドン )は、親友の主婦テルマ( ジーナ・デイビス )を誘い、鮮やかなライトブルーの66年型フォード・サンダーバード・コンバーチブルに乗って二人旅に出る。
頬を寄せ微笑む2人は、女神のように美しい ✨
テルマに声をかける青年を、若く未だ線の細いブラッド・ピットが演じる。
自分本位な男達の卑しい笑顔が凍りつく。
ラストシーンが鮮烈な印象を残す。
BS松竹東急を録画にて鑑賞 (字幕)
思っていたのと全然違う!最後まであいた口がふさがらなかった。
最近、名作を観るようにしている。
アタリもあれば、ハズレもあり、今作は、予想を見事に裏切ってくれた点で、アタリだった。
テルマにも、ルイーズにも、はずみで人を殺すな、バカな男についていくな、物事をしっかり考えろ、と説教したいことは山ほどある。
でも、アメリカはこうなんだよなーと思わず笑ってしまう明るさがある。
特にタンクローリーをぶっ飛ばすシーンは、腹を抱えた。
ラストまで、終始明るく、清々しい。
けれど、彼女たちは、この旅で何がしたかったのだろう?
救いは、母親ではなかったこと。
人生を何度かやり直すことができるなら、1回くらいこういうのもいいかなと思った。
ハーヴェイ・カイテル渋い
束の間の休日を愉しむつもりが、逃走劇となってしまうロードムービー。
それぞれパートナーとのやり取りが対比されているのが、興味深い。
刹那主義と言ってしまえば簡単だが、そうならざるを得ない現実を観客に突き付ける。
音楽は巨匠ハンス・ジマーでハズレ無し
テルマ&ルイーズよ永遠に
大好きな作品ですが、ビデオでしか鑑賞したことがなく、今回4Kレストア版上映があったので念願叶ってスクリーンで再鑑賞することができました♡
本作を観て改めて実感したのが、男と関わっても本当にロクなことしかないということです。夫からはモラハラされ、飲み屋であった男からはレイプ未遂され、若い男にはお金を盗まれ、知らないトラック運転手からはセクハラ発言される。時代は少しはマシにはなったとはいえ、作中で描かれたハラスメントや犯罪被害を経験した女性も少なくないのではないでしょうか。
そんな環境にいたテルマとルイーズが旅をしたほんの数日間、二人は全く違う人間に生まれ変わりました。特にテルマですよね。彼女はモラハラ夫にビクビクしていた主婦から、実に勇ましい女性へと変わりました。表情が生き生きして積極的になりルイーズを引っ張ります。あの弱々しいテルマはどこにもいなくなりました。
そして、ふたりはやられた暴力は泣き寝入りせずにきちんとやり返します。男性社会から女性に対して水面下で発されるメッセージは、「おとなしく言いなりになれ」「男の性欲は本能だから受け入れろ」「全てを諦めろ」ですが、ふたりはそんなメッセージを受け取らずに行動します。
最終的に彼女達は男の管理下から抜け出し、そして全てを自分達で決めました。彼女達は自分で自分を解放し、笑顔で崖からジャンプをします。そこには一切の後悔も悲壮感もありません。なぜなら彼女達のジャンプは、《死》ではなく《自由》を象徴しているからです。このラストシーンは、作り手が全ての女性達に向けて自由を得ることや挑戦することを後押ししているようにも感じます。
誰にも邪魔されず誰にも意見されず誰にも管理されず、社会からの暴力には断固抗議して生きていきましょう。さあ、明日から何をやりますか?
開放&戦う女性の強さ&素晴らしさ=超カッコいい!
こんなに女性がカッコいいと感じる映画は希少だと思います。
テルマ&ルイーズの車に乗っているシーンは、ミュージシャンのMVなどでも模倣されているようですが、
それにも納得できるくらい、気持ちいいしかっこいい。
ビジュアルもかっこいいし、音楽もマッチしているんです。
時代背景として、まだまだアメリカで男尊女卑的な時代ですし、女性がいかに虐げられていたかが分かる演出の中、
ふたりが旅行をすると決め、車に乗ってからの開放感がまずは気持ちいいですし、
ある事件をきっかけに、どんどん開放されていくふたり、
特にジーナ・デイビス演じるテルマの変貌ぶりは目を疑うほどにハジけていて気持ちいいですね。
しこつくて下品なトレーラー運転手へのRevengeが実にかっこいい。胸がすく思いです。
トレーラーを爆破させるあたり、この振り切り方も気持ちいいんですよね。
ブラッド・ピット演じる小悪党も実に物語上、効いていますね。若かったです。ブラピ。でも何してもかっこいい。
そして衝撃のラストシーン。こんなぶっ飛んだ&気持ちのいいエンディングの映画も珍しいですし、
今ではなかなかお目にかかれない。
主人公ふたりの虚飾がどんどん剥がれ落ちていき、素の姿になっていく様も素晴らしいです&美しいです。
なんて素晴らしい作品なのだろう、ありがとうリドリー・スコット監督。
是非、たくさんの方に観ていただきたい&劇場で体感いただきたい素晴らしい作品です。
特に、女性にはオススメしたいです。
かわききった悲しみ
どんどん解放されて自由になる二人のバカンス
なんてかっこいい映画!スーザン・サランドンほどウェイトレスとかハンバーガー屋の店員がさまになる俳優はいない!この映画の彼女は本当にスマートでハンサム!ルイーズ(サランドン)の家の中はとてもきれい、スーツケースのパッキングも上手、キッチンでコップをきれいに拭いて逆さに置く。キッチンの水気もしっかり拭き取っただろうし埃もない。ブルーのサンダーバードもサングラスも頭のスカーフも全て素敵。一方テルマの家のキッチンはゴチャゴチャ、物が多過ぎてテルマの頭の中もゴチャゴチャなのか荷物のパッキングも下手でやたら物を持って行く。なんでこの二人が親友なんだろうと思った。
二人の面白いところは、基本的に相手を責めないことだ。明らかに相手に非があっても罵ったりしない。とにかくまず相手を助ける。自称・大学生のブラピに偶然再会したとき、犬が嬉しくて口開けてハーハーする真似して彼を車に乗せたい旨をルイーズに伝えたテルマはとても可愛かった。自分で男を選んだ最初の経験だったに違いない。そしてテルマが生まれて初めて男性(ブラピだものね!)と素敵な経験をしたこともルイーズに伝える。ルイーズも一緒になって喜ぶ。この経験がテルマの頭脳がすばやく回転するきっかけになったと私は確信する!お金のことで大反省のテルマはブラピから習った通りのやり方で強盗して、次は警察官脅してルイーズを助けた。暗記力・行動力・決断力マックスの大転換ポイントだった。テルマはおつむが弱いのでなく、傲慢な夫や男社会の中で諦めと思考停止状態にさせらていただけだったんだ。
トラック野郎をコテンバンにしたのも痛快だった。今はそんな事ないと信じたいが、免許とりたての10代の頃、女友だちとドライブしてたら男のドライバーから嫌がらせされたことを思い出した。チンタラ走ってたトラック野郎、言葉も仕草も表情も全部アウトでした。大爆発程度で済んでよかったと思って欲しい。
ハーヴェイ・カイテル、この映画ではいい刑事さんでした。全部綿密に調べてテルマとルイーズの側にたっていた唯一の男性だった。彼とは昔からの友人みたいに話せて多分信頼もしていたルイーズだが、ここまで自由に親友と笑いながら解放感を味わった以上後戻りはしないと決心した。テルマとルイーズは颯爽と飛翔した。笑って泣けた。
自由を夢みて
知り合いにすすめられて、映画館で鑑賞してきた!
亭主関白な夫をおいて、楽しく気ままな2人旅!がアクシデント続きで思わぬ方向に…!?というポップな映画かと思いきや、全然そんなことなかった!!
安心して見ていられる時間が少なく、シリアスでスリリングなシーンが結構続く映画だったなという感想がまず浮かんだ!
2人が車とかホテルで言い争ってるシーンとか観て、自分の女友達との旅行を思い出して「あ〜ちょっと観てらんない!」とか思ったりもした。笑
あのレイプシーンなんかも結構女性あるあるじゃないのかなぁなんて思うのよね。ちょっと羽伸ばそうと思ったつもりが、もしくは男性慣れしてなくて浮き足立っていて火遊びしてみて、男性にレイプされそうになる…。
自分から飛び込みにいったほうが悪い…そんな言葉が聞こえてきそうだけど、それでもやっぱり『女性だから』と枕詞がつく事柄が多すぎて、全てを自己責任にしては絶対にいけないと、改めて思いましたわ。
ちょこちょこ軽口叩いてきたトラックもあるあるだと思う。本当に悪気があるのかと言われると、そうでもないとは思うのあの運ちゃんも。「あー、はいはい、で受け流せばいいって話」っていう人もいるかもしれないけど、でもそれって私たちが特に何もしてないのにバカにされたり、ナチュラルに下にみられたりするのを黙ってみてろってこと??って思う。
トラックに銃ぶっぱなしてバーーン!!!のシーンは超笑ったし痛快だった!
映画の筋として、女性が自由になってエンパワメントしていくというのはもちろんあるんだろうけど、一方で2人でどんどんと孤立して追い詰められていくのをみるのがしんどくて、長い長い現実逃避はちゃんと終わってしまうんだよというのをまざまざと見せつけられた気分になってしまいました😂
どういうオチがつくのかな〜とハラハラしながら観ていると…。儚く美しくでもなにか彼女達の使命を感じる、忘れられないラストでした。あのラストしかなかった、そう感じてしまうくらい好きなラストシーンでした。
清々しくて切ないラスト
テルマとルイーズ、親友を超えた関係
何かトラブルが起こるのは全部テルマが引き起こすのに、それを責めず助けるルイーズ
最初は頼りない表情が多かったテルマがどんどん明るくなるのと同時並行でルイーズと対等になっていくように思いました
解放感溢れるテルマの表情からは、あの窮屈な家の中にいるより犯罪者になってあのラストでもテルマにとっては幸せだったのかもと思ったけど、ルイーズはあのラストを選ばずにジミーと幸せになれてたかもと思ったり
でもどこまでもテルマと一緒を選ぶルイーズが好きにならずにいられませんでした
だからあのラストが爽快感さえある切なさなんだと思います
ハル刑事だけ良い人で、あとは出てくる男性がみんなクズ男
ブラッド・ピットはとってもイケメンさんだけど、とってもクズ男でした笑
どこまでも続くような地平線、ラストにピッタリなロケーションでした
大好きなリドリー・スコット監督作品、ホント観て良かったです
ラストは西部警察
有楽町の映画館へ「今日はこれを観よう」と軽い気持ちで行ったら、まさかの「満員」。
最終日の最終回に出直して、観れて良かったです。面白かった!
コメディタッチで嫌なヤツ(テルマの夫)がプリプリ怒りながら車に乗ろうとしてすってん転び!チャップリン映画みたいな転び方で笑ってしまった。
それに比べて、同じ家の前に迎えに来たルイーズのカッコいいこと!綺麗な色のThunderbirdに「おお!」と心の叫び。真っ赤な口紅と頭のスカーフが素敵でした。
テルマとルイーズは、困ったことがあってもグイグイ前へ進んでいくのね。ロードムービー特有の気怠さはない(追われる状況だからまったりとはしてられないけどね)。
そして気がつくと顔つきや服装が変わっていき、デッドホースポイントの景色を駆け抜けて行きましたね。
ラストあたりは、西部警察でした。
今を生きるわたしたちに
あまたあるリドリースコット作品の中でも
屈指の名作、傑作であろう。
もう30数年前の映画であるのに、この現代性、普遍性はなんなんだろう…
ジェンダー映画、女性への抑圧、そこからの悲劇的な解放、解放と素直によべるかどうかは個人によるだろうが…
ロードムービー、というジャンルコードの範疇におさまる映画ではない。
監督監修の4kレストア版上映。
映画館での大画面で初見。
ブルーレイで何度も観ているが、魂に突き刺さる映画とはこういう作品をいうのだろう。
女性版アメリカンニューシネマ、などと巷間よくいわれてきたが、カーリークーリのシナリオはそこを遥かに越境する。
制作は91年。
多様性ダイバーシティ、LGBTQ…ジェンダー、#metoo
などの言葉が新しくない今。
時代が作品に追いついた感はある。
物語は、2人の対照的なパーソナリティの女性のまさにロードムービーなのだが、そこにカーリーのシナリオは抑圧、を挟みこむ。
男性からの女性への抑圧そのものを。
レイプされそうになるテルマを、ルイーズが加害する男を射殺するところから物語が動き出していく。
警察に追われる2人、過去に凄惨な暴力を受けたことを示唆するルイーズ、
道行きの中、テルマとルイーズの関係性も変化していく。
受動的なテルマ、能動的なルイーズが終盤にかけて変わっていく。
画面はアメリカの原風景ともいえる、岩、砂漠、ラストにグランドキャニオン…
随所に見られるリドリーらしいヴィジュアル
キャスト、スーザンサランドン、ジーナデイヴィス
ハーヴェイカイテル、マイケルマドセン…
そして若き日のブラッドピット
彼はこの作品から一気にスターダムにのし上がっていく。
刑事ハルを演じるHカイテル。警察の中で唯一彼女たちの心情を理解しようとする。演じるカイテル、渋い役どころ。
ラスト、さいこうのバカンス、ほんとうの自分になれた、と2人はくちづけを交わし刑事ハルが追う中、飛翔する。
伝説的なシーンで終わる。
悲壮感ばかりが強調される映画とは思わない。
特にラストなどは爽快感さえ感じる、といえばいいすぎだろうか。
抑圧された現世からの飛翔
画面はホワイトアウトしてエンドクレジットへ
沁みる映画だ。
彼女たちは今も生き続けている
旅を始め、どんどんタフになっていく二人が、本当にカッコよく素敵です。
彼女たちの「精神」が現在まで共感を呼んでいることこそが、二人の生き続けているという証ではないでしょうか。
見たままではないという映画の見方を知り、とても勉強になりました。
全138件中、21~40件目を表示