追憶(1973)のレビュー・感想・評価
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リメイクするにも人材がいないスターの時代への郷愁
キャンパスではアイドル的存在の文武両道の美形大学生ハベルと、政治活動に余念がない頑固なユダヤ人女子大生ケイティ。何から何まで両極端なふたりが恋におち、結婚し、第二次大戦や"赤狩り"を潜り抜けていく過程で、どうしても超えられない壁にぶち当たる。それは、生き方の違い、もしくは価値観の違い。愛をも凌駕する断絶を描いた本作は、ラブロマンスと呼ぶにはあまりにも痛々しい。けれど、演じるロバート・レッドフォードの美しさと、バーブラ・ストライサンドのコミカルで達者な演技によって、たとえ行き着く先は違っても、ふたりが辿った時代への郷愁を掻き立てて止まない。それは同時に、すべての映画ファンをスターの時代への回帰させる時間でもある。もしリメイクするとしたら、仲睦まじかった頃のブランジェリーナ(ブラッド・ピット&アンジェリーナ・ジョリー)が適役かと思ったこともあった。しかし、時代はさらに移ろい、もはや、今のハリウッドにはレッドフォードとストライサンドに代わる存在はいないことに気づいた。タイトルの「The Way We Were(私たちが辿った道)」は、そのままハリウッド映画が辿った約半世紀と重なるのだ。
【”美しき追憶。そして懐かしき青春の日々。”今作は大学で出会った男女が、卒業後夫々の道を歩み再会するも、愛し合いながら時代の潮流に呑まれ、別れる様を描いた恋物語である。】
■第二次世界大戦前、政治運動に没頭する大学生・ケイティー(バーブラ・ストライサンド)と、ハンサムで優れた頭脳を持つ学生・ハベル(ロバート・レッドフォード)は、互いに気になる存在だった。
大学卒業後、ハベルは軍に、ケイティーは政治運動に没頭する。
二人は第二次世界大戦中のニューヨークで偶然再会し、愛し合い、結婚するが、思想の違いから二人は再び別れるのであった。
□ロバート・レッドフォードさんとNOBU
・最初にこの大スターの出演映画を観たのはコンゲームムービーの傑作「スティング」である。
映画好きの父から週末の夜に、”面白いから、観ないかい?”と言われ、平日は就寝時間が八時だった事もあり(週末は九時。但し映画を観る時はもう少し遅くまで許された。)一緒に観てメインテーマの”ジ・エンターテイナー”の明るいアップテンポな曲の良さに乗った、作品の余りの面白さに楽しかった事を覚えている。
当時、ロバート・レッドフォードさんのお名前も知らなかったのだが、彼の大スターが私の映画好きになるきっかけの一因を作ってくれたのである。
・映画館で観たロバート・レッドフォードさんの出演作は、余り話題にならなかったが、海洋サバイバル映画の「オール・イズ・ロスト~最後の手紙」と、引退作「さらば愛しきアウトロー」だけである。が、両作ともとても面白かったモノである。
・その後、配信が普及しロバート・レッドフォードさんの代表作と言われている作品は、大体観たと思っていたが、今作は見逃していたのである。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・今作は「スティング」と同年公開と資料にあるが、物理的に映画館では観ていない。というか観れなかった。
で、観賞すると、ケイティーがハベルの書いた論文を切っ掛けで、惹かれて行く様と、そのまま二人が恋に落ちる様が、自然に描かれている。
・だが、政治活動に傾倒するケイティーと、軍人であるハベルは、現在アメリカを統べる男が若きときに師事していた悪徳弁護士ロイ・コーンが暗躍した、ジョゼフ・マッカーシー共和党上院議員が惹き起こした”赤狩り”により、距離が出来て行く過程も、二人の思想と恋心が背反する様に悩む姿が、キチンと描かれている。
<今作は、バーブラ・ストライサンド自身が歌う”追憶”の哀愁のメロディをバックに、大学で出会った男女が、卒業後夫々の道を歩み再会するも愛し合いながら別れる様を描いた恋物語なのである。>
ロバート・レッドフォード追悼鑑賞
レッドフォード追悼
名作の誉れ高いにも関わらず、なかなか鑑賞する機会のなかった作品。
R.レッドフォードが先日亡くなっていたことと今作の追悼上映(4Kリマスター版)を知り、せっかくなので全盛期の彼を映画館の大スクリーンで拝みたいと渋谷まで足を運びました。
若かりし頃のレッドフォードのキラキラした美男子ぶりは圧巻。
白い軍服姿がまぶしいのに加え、目を閉じた姿で数分場を持たせられるのがすごい。
(ケイティとの再会シーン)
バーブラ・ストライサンドの理屈っぽいけれど自分の信念を曲げないキャラクターも魅力的だし、水と油のような二人が惹かれ合うのはなんとも映画的。
ハリウッドの赤狩りの話も絡んでくる後半はなかなかスリリング。
リマスターのおかげで映像も音も綺麗で、さほど古さを感じずに楽しめました。
全盛期のレッドフォード、ブラッド・ピットにドキッとするほど似てる瞬間もあれば、そうでもないと感じるときもあり不思議でした。似ているのはホームベース型の輪郭と、おでこと目、金髪くらいですかね。
汚作りして性格俳優を気取るブラピと違って、レッドフォードは生涯、正統派美男のイメージを貫きました。
監督作品からは誠実な人柄が伺えます。
(クイズ・ショウ、面白かったなー)
スクリーンの中で彼の美男子ぶりは永遠に輝き続けることでしょう。
R.I.P
こういう映画の時に限ってハンカチ忘れる
若いロバート・レッドフォードの姿に、若いブラピがぴったり重なって息が止まるほどだった。髪、目、笑顔の時の目。レッドフォードも「リバー・ランズ・スルー・イット」監督の際はポール役に意識的にかどうか知らないけれどブラピをキャスティングしたことについて色々考えたろう(と思う)。
この映画ではバーブラ・ストライサンドが圧倒的に輝いていた。強い、怖がらない、信念がある。学生時代はバーガーショップでアルバイトしながらいつも本を持って勉強、そして演説に平和運動。スタジオで仕事をするようになっても電話交換手みたいな仕事も掛け持ちしている。子どもを生んで夫と別れても原爆反対のビラ配りをしている。ぶれない。話が止まらない。自分のことをよくわかっている。金持ちの家に生まれた人間は馬鹿みたいな話ばかりで鼻持ちならない、彼らと居るのは居心地悪い。でもその彼女と格闘しながら最後まで添い遂げる男は居なかった。「もうやってられない」と言うのはいつもレッドフォードの側からだけれど、何が決定的にダメだったのか私にはよくわからなかった。新婚の幸せな時、彼女が話したくて口を開けるたびにレッドフォードが自分の手で彼女の口に蓋をする、そしてストライサンドも笑うシーンが何回かあって、それはとても幸せな二人で大好きな場面。早く年をとって昔のことを心安らかに思い出せるようになりたいというストライサンドのセリフに喉と胸が詰まって苦しかった。まだ30~40代の若さでそんなことを言わないで。
いつもどこかの国が戦争をしていて弱い立場の人間が飢えて辛い思いをしている。ハリウッドの赤狩りに加えて今のアメリカでは大学も赤狩りの対象だ。ハリウッド・テンは映画「トランボ」を見たおかげでよくわかった。「追憶」は1973年の映画。ストライサンドが歌う曲は知っていたけれど、映画はやっぱり見ていなかった。ストライサンド&レッドフォードの映画を見ることができてよかった。
ロバート・レッドフォードはサンダンス映画祭をたちあげた、そのほかたくさんの贈り物を映画界にもたらした映画人だったんだ。なんにも知らなかった・・・。無知でごめんなさい。
追憶の曲がピッタリ
戦時下なのに、満員御礼の酒場。
そこで偶然再会するハベルとケイティ。
眠っている軍服姿のハベルの髪に触れようと、ケイティがゆっくり手を伸ばすのに合わせて、だんだん小さくなる店内の演奏の音。かぶるように、フェードインしてくる「追憶」のメロディと、ハベルとケイティの大学時代の映像。
そこに「THE WAY WE WERE」という文字。
このアバンタイトルのエモさだけで、やられてしまう。
「いや、この2人は合わないでしょ」と観ている誰もが思うだろうが、だんだんエピソードが重なるうちに、応援したくなってくるから不思議。
そのベースには、ハベルとケイティの、「作家」と「一番の批評家」という一点で結ばれた強い信頼感が、互いに揺るぎないということがある。
ハベルは、貧しいケイティが、バイトと学生運動の間をぬって、努力に努力を重ねて作品を書き上げたことを知っている。
その、悔しいはずのケイティが、彼の作品を認めて、なおかつ、ズバリと痛いところを指摘してもくれる。
何でも割と簡単に手に入ってきた人生だったからこそ、チヤホヤしてくれる人たちはいても、こうしてリスペクトをもって、ぶつかってきてくれるケイティが、ハベルにとってはかけがえのない存在になっていったのではないか。
とにかく、互いに才能は認め合いながらも、もっと気楽にユーモアを楽しめというハベルと、曲がったことが許せないケイティ。
どっちもそれぞれ若く、純粋なのでぶつかるのだが、自分はその真っ直ぐさに惹かれてしまった。
ラストの切なさ加減も、とても好み。
ロバート・レッドフォード追悼第二段として、今作もとてもいい作品だった。
<ここから、ちょっとだけ内容に触れます>
・一昨日観た「素晴らしき哉、人生」と同年に公開されて、アカデミー賞をとった「我等の生涯の最高の年」の看板が途中に出てきて、ちょっとした伏線になっていた。俄然観たくなってしまったので、近いうちに観てみたい。
・酔ってベッドで寝ているハベル。そこにケイティが入り込むのだが、その後ろに流れるのは、どこからか聞こえてくるイン・ザ・ムードで、ちょっと笑った。
・ケイティの家に飾られているものに興味を引かれた。玄関に貼ってあったポスターはGoogleレンズで検索したら、Domitry Moorというソ連のプロパガンダポスターをたくさん制作した人のHelpという作品らしいことがわかった。寝室に飾られていたのは、レンブラントの水浴の女だと思うが、これはハリウッドの新居にも持って行って飾っていたから、お気に入りなのだろう。他には、ゴッホの自画像もチラ見で見えたし、ロートレックっぽい作品も見えた。
・レーニンとスターリンの肖像と、ルーズベルト大統領の肖像もあわせてリビングに飾るというのが、中々複雑な気がしたが、ケイティにとっては、反ファシズムで一貫しているということなのだろうか。(ユダヤ系ロシア人の家族のもとに生まれ、熱烈な民主党支持者だというバーブラ・ストライサンド個人と重なっているのかいないのかは不明だが)
・今作が作られた1973年は、アメリカのベトナム戦争からの撤退があったり、冷戦の緊張緩和がみられた時期だったことも、こうした描写につながっているのかもしれない。もう少し詳しく調べてスッキリしようと思う。
・ラストシーンの背景に映し出される「BAN THE BOMB」というメッセージと共に、「NO MORE NAGASAKI」「HIROSHIMA NEVER AGAIN」の文字は、素直にうれしかった。
ノスタルジー
「“The Way We Were” 追悼ロバート・レッドフォード①」
「2025年9月16日、俳優のロバート・レッドフォードさんが、ユタ州の自宅で亡くなったことをアメリカメディアが報じている─」。
今年1月に、仕事の打ち合わせで懐かしい『追憶』の映像を観る機会がありました。
今年7月には、フォロワーさんの『追憶』のレビューで話題にしたばかりでした。
突然の訃報はショックで、享年89歳という年齢も信じられない思いです。
《PROレビュアー須藤秀人「リメイクするにも人材がいないスターの時代への郷愁」より》
「たとえ行き着く先は違っても、ふたりが辿った時代への郷愁を掻き立てて止まない。それは同時に、すべての映画ファンをスターの時代への回帰させる時間でもある。
しかし、時代はさらに移ろい、もはや、今のハリウッドにはレッドフォードとストライサンドに代わる存在はいないことに気づいた。タイトルの「The Way We Were(私たちが辿った道)」は、そのままハリウッド映画が辿った約半世紀と重なるのだ。」
《9/17付「GQ Japan」「ロバート・レッドフォードがスタイリッシュに演じた役柄7選」より》
『明日に向かって撃て』(1969年)
『白銀のレーサー』(1969年)
『追憶』(1973年)
『華麗なるギャツビー』(1974年)
『コンドル』(1975年)
『スニーカーズ』(1992年)
『幸福の条件』(1993年)
《9/20付「エスクァイア米国版」「故人となった映画スターを追悼し監督した作品の中から珠玉の3本をピックアップ」より》
『リバー・ランズ・スルー・イット』(1992年)
『クイズ・ショウ』(1994年)
『モンタナの風に吹かれて』(1998年)
作品の中で永遠に輝きを失わずに、生き続けてほしい…と願っています。
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ロバート・レッドフォードの映画を初めて観たのは、中学生の時に同じクラスの映画通の男の子のオススメで、『明日に向かって撃て』と『スティング』のリバイバル上映でした。
それからは、映画会社に勤めていた父と映画ファンの母のコレクションから、レッドフォード出演作のお気に入りを見つけることが楽しみになりました。
『追憶』は高校と大学の時に観ましたが、今思えば当時はよく理解していなかった作品で、主題歌の「The Way We Were」だけが心に残りました。
映画化された『Sex and the City』のドラマシーズン2最終話が、映画『追憶』をテーマにしたストーリーで、そのドラマを見て初めてこの映画を理解できたような気がしました。
監督作の『リバー・ランズ・スルー・イット』で、美しく輝くブラット・ピットを観た時は、レッドフォードの生まれ変わり!?と驚きました。
そのブラピも今年は『F1エフワン』で主演のオールドルーキー役、私の中のレッドフォードだけが、時の流れが止まっているみたいでした。
レッドフォードの出演作と監督作を追いかけてきたつもりでしたが、いつの間にか観なくなってしまって、最後に観た作品が思い出せません…
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映画館で鑑賞
BS・地上波で鑑賞
1月16日配信で鑑賞
10月4日映画館で4Kリマスター追悼上映鑑賞
9月17日★★★★★評価
9月22日レビュー投稿
10月4日レビュータイトル編集
0065 バーブラに圧倒されるレッドフォード
1974年公開
バーブラストライサンドしゃべるしゃべる。
海軍制服姿がカッコいいレッドフォード押され気味。
リバイバル鑑賞時高校生だった拙にはちっとも
政治的背景が理解できなかったのは残念。
アカデミー主題歌曲賞を獲ったマービンハムリッシュ
のThe way we were も素敵。
75点
ロイスチャイルズが友人役で出演していましたね。
初鑑賞 1977年4月10日 セルシーシアタ
きちんとした恋愛を経験した大人が味わうことのできる作品
大学時代に知り合ったKaityとHabelのふたりが、その後再会して、恋をして、子供を授かるが、別れて別々の道を歩む話。
過去に大恋愛をした二人が、時を経て、自己の過去の恋愛を振り返った時に噛み締める、当事者にしかわからない感情を最後のシーンの数分でうまく描いてると思う。昔の柴門ふみが得意としたような作品。かけがえのない時間を一緒に過ごしたあの人への郷愁、哀愁、感謝などが入り混じった感情。子供にはわからない、大人の映画である。
原題のタイトルは”The way we were”。邦題の「追憶」は、鑑賞後に改めて読むと言いえて妙なタイトルで味がある。Katyを演じるバーブラ・ストレイサンドの主題歌も素晴らしい。
不器用な女性の悲しい性
バーブラストライサンド扮するケイティーモロスキーは、久しぶりにバーでロバートレッドフォード扮する海軍の制服姿の同級生ハベルガードナーに会った。
バーブラストライサンドが歌うテーマ曲は名曲だね。懐かしく心に響くよ。映画中でバーブラストライサンドは強きの元反戦運動家でちょっとバカにされていてあまりイメージが恋愛感情とは合わない設定だね。一方、 海軍制服姿が抜群に似合うロバートレッドフォードは、最もかっこいいビジュアルだからモテ男で不釣り合いなふたりと感じるな。寝ぼけて抱きつかれてもねぇ。せっかくハベルから寄って来てくれても議論やら政治の話やらで結局醒めちゃうね。不器用な女性の悲しい性かな。特に家庭は安らぎが大事だから無理しちゃダメだよね。
バーブラ・ストライサンドの存在感が半端ない。鼻、鼻が…そしてどうに...
胸キュンっ
ヒエラルキー、女性の自立、青春
当時としては珍しくオンナ側に感情移入させられる映画。
エスタブリッシュ家庭育ちで自由、無党派、なんとなくアメリカな退屈、しかしながら主流派のグループに属するイケメンと、恐らく労働者階級育ち故に政治理念を持つ女性との出会いと別れを当時のアメリカの情勢の中で描く。
魅力ある芯のある一途な女性を演じるが、それは当時のカッコよい女とは?自立した女とは?を反映しているのか。
また、軍人になり、そこから文化人になる、というキャリア?がカッコよいという当時の価値観は日本にも多大な影響をあたえたか。
最後まで見ると、妙に哀愁漂うラストであり、カタルシスは身分の違うオトコのオンナの行き方、であったか。
政治の話、ハリウッドの話は全体をわからなくさせているが、これが無いと二人のバランスが取れないのか。というか、いつからこれほどイケメンが好きだったのか、を描いて欲しかった。
良かったかのはラスト。
衝突しながらも愛しあった二人が別れ、環境変わった中で再会。イケメンは更にセレブに。オンナはまだ変わらず活動。単なるすれ違いではあるが、再度抱擁。恐らくイケメンとオンナではその時の心の中での感情、意味は違うのだが、それも含め美しいシーン。良い顔をしていました。
余韻がある。
The Way We Were
1937年、大学のキャンパスで出会った二人(バーブラ・ストライサンド、ロバート・レッドフォード)の20年を描いていく。
女は政治的信条が強く、すぐに相手に噛みついてしまうので友達は少ない。
男は体育会系の二枚目でプレイボーイ、こんな二人が恋に落ちるのだが、20年間は山あり谷ありだった。
主題歌が素晴らしいのと、バーブラ・ストライサンドのチャーミングさを楽しむ。
戦争はこんなところにも
テーマソングは珠玉
キャスティング成功
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