「選んだ道に後悔しない女性の生き方」追憶(1973) Gustav (グスタフ)さんの映画レビュー(感想・評価)
選んだ道に後悔しない女性の生き方
自尊心が高く政治思想も明確な気の強い女性ケイティと、世の中の流れに逆らうことなく自己の幸福を着実に求めるハベルの、出逢いと結婚、別れと再会を時代背景の考証を踏まえて描いたシドニー・ポラック監督の女性映画の先駆け。この作品と翌年のジョセフ・ロージー監督、ジェーン・フォンダ主演の「人形の家」が、1977年に一気に顕在化する女性映画の先陣であったと思う。当時大スターであったロバート・レッドフォードが一歩下がり、歌手で女優のバーブラ・ストライサンドを主役に、女性の生き方を後悔なく描いている。最後、ふたりだけの想い出に終わる回顧調の物語の甘さはあるが、映画ではタブーの赤狩りを扱う新しさが印象に残る。男性に頼らない自立した生き方を自ら選ぶストライサンドの表情と、名曲のテーマ主題歌の歌唱の素晴らしさが魅力の映画。プロローグのタイトルバックとラストの学生時代の風景描写もいい。
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