「シドニー・ポラック監督の「怒り」」追憶(1973) jarinkochieさんの映画レビュー(感想・評価)
シドニー・ポラック監督の「怒り」
思想も 育ちも違う男女が、色々ありながらも 共に暮らし、成長もした
脚本家になった(小説家でもある)夫に、的確なアドバイスの出来る優秀な妻(主張は強く、やや、うざい…)
この豊かな 満ち足りた暮らしを壊してゆくのが、「赤狩り」である
「ハリウッド・テン」は 有名だか、ほかにもヨーロッパに渡ったり 転向を余儀なくされたり、才能を潰された人物が 多々あっただろう
悲しいことに 密告者も多く、彼等は ライバル潰しにも 成功した
JJの妻(ロイス・チャイルズ)による 誘惑が発端ではあるが、ケィティとハベルの別れる遠因はこれである
育ちが良い(と、思われる)JJの妻が 夫と別れた後、元カレとはいえ、直ぐに ハベル(レッドフォード)に触手を延ばしてくる辺り、全く、油断も隙もあったものではない
(ケィティのうざさの影に隠れてしまうが、働く気がなく 次の男を探す美女も やや、不気味ではある… )
今では 誰もが認めるハベルの妻になったのに、
許せないケィティ(ストライサンド)の微妙な女心と
ガチンコな性格!
時代が正しい訳でもないのに、それによって壊れてゆく 男女の関係を描いている
ハベルもケィティも、二人で暮らした日々ほどの
充足感は、もう得ることは出来ないだろう(多分)
JJの元妻は ハベルの現在の妻になったが、彼と彼の作品に刺激を与えることは無いだろうし、ケィティの情熱は 又、政治活動に戻ってしまった
残念だが、人生ってこうなのかも
男女の愛と別れ、という物語の中に
ポラック監督の あの時代に対する、静かな「怒り」を感じる (脚本も 素晴らしい)
なお、白い軍服姿で登場する レッドフォードは 美しく、ストライサンドでなくても 思わず 触りたくなる(髪ですよ)