菊豆(チュイトウ)のレビュー・感想・評価
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色めくも厳しい悲劇だった
シネマスコーレの特集上映「張芸諜 チャン・イーモウ 艶やかなる紅の世界」から2本目。
鮮烈な色彩と妖艶なエロティシズム。チャン・イーモウの世界にどっぷり浸かってしまった。
1920年代の中国、金で買われるかたちで染物屋に嫁いだ菊豆(コン・リー💕)。主人は前妻ふたりを虐待し殺した。菊豆も毎晩の折檻でアザだらけになった。
そう、主人は変態ドS野郎だった。
同居している主人の甥・天青に救いを求め不倫関係に落ちた菊豆。天青の子を身ごもり主人の子として出産。
主人が脳卒中で倒れて形勢逆転。
主人をいたぶりセックスに明け暮れる日々。
しかし二人目を身籠り地獄に落ちた。
不倫が許される時代ではなかった。
最後は親たちの修羅場を見てきた我が子の手で、、、
これは厳しい悲劇だった。
救いのない悲劇だった。
紅シリーズ第二弾
この作品でも、コン リーの見せ方が上手いです。
画面を垂直方向に動く紅い布が、
不気味なムードを感じさせていました。菊豆と天青が結ばれて時に、スルスルと落ちる布が二人の運命を予見させ、天青の死の場面でも紅い布が落ちていました。
期待度◎鑑賞後の満足度◎ ギリシャ悲劇を思わせる濃密な人間の業と二人の運命が転んでいく先が読めないサスペンスフルな展開に圧倒される。見事な映画だ。中国映画には時々驚かされる。
①チャン・イーモウの演出は『紅いコーリャン』に比べ遥かに円熟している。
菊豆の運命を最後まで粘り強く描いて間然とするところがない。
②罪の子である“天白”が、まるで事のいきさつを知っていたかの様に、自分をこの世に生み出す元となった仮の父が血のように赤い染め桶で溺れ死ぬのを笑いながら眺め、実の父を同じく血のように赤い染め桶に放り込むんだ後に殴り殺す。その上に墜ちていく赤い布。ただ、母にだけは手を出さない。それどころか男とまぐあう母を侮蔑した男を刃物を持って何処までも追いかける。
濃密な愛憎劇に息を呑む。
③
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