「キューザックの劇団ひとり」1408号室 SAOSHIーTONYさんの映画レビュー(感想・評価)
キューザックの劇団ひとり
この映画が始まる前までは正直「アィデンティティー」×「シャイニング」÷2といった感じの作品になるのではないかという勝手なイメージを持っていましたが、「アイデンティティー」のように登場人物が一人ずつ殺されるわけでもなければ「シャイニング」のように主人公が殺人鬼に豹変するわけでもありませんでした。この作品を一つの数式にして表すとしたら「バニラ スカイ」×「シークレット ウインドウ」÷2といった感じでしょうか? 主人公はホテルを中心に心霊スポットを探してはその体験などを本にして綴っているルポ作家のマイク。あることがきっかけでニューヨークのドルフィンホテルの1408号室の事を知り、宿泊したいとマネージャーのオーリンに頼み込むのですが、そこは56人もの犠牲者を出したとされる不気味な部屋だということを告げられます。それでも、マイクは諦めずに宿泊を希望し続け、ホテル側も仕方なくそれを了承してしまいます。マイクが部屋に入ってから数分間は何も起きないのですが、次第に不可解な怪奇現象が起こり始めます。というのが一般的なストーリーなのですが、なんとこの作品にはもう一つの物語が隠れていました。詳しくは言えませんが“ある悪い思い出”が関係しています。 注目はジョン キューザックの演技と不気味な演出の数々。特に彼が1408号室に入ってからの演技が素晴らしく観るものを引き付けます。さらに観客を怖がらせようという演出もよく出来ていて人によってはゾクゾクッと来る事でしょう!正直カーペンターズの曲をあのように5回も流すのはどうかと思いましたが・・・。 問題なのはどこまでが真実でどこまでが彼の○想であるかということです。解釈の仕方は人それぞれだと思いますが、私は開始10分当たりに出てくるサーフィンのシーン以降(1度彼が目覚めるのを含めて)全てが彼の○想だったのではないかと思います。これはあくまでも私の推測ですが・・・。まあ、そういったところを推理するのもこの作品の楽しみ方の一つなのではないでしょうか? 本作に対してはっきり言える事があるとすれば、私は「ミスト」よりはこの作品が好きだという事です。以前もどこかで書きましたが、私は「ミスト」のエンディングが大嫌いでした。しかし、この作品はエンディングを含め好きな作品となりました。 ところが、劇場でわざわざ観るだけの価値のあるものかというと正直微妙な感じがします。DVDが出るのを待ってから薄暗い部屋で鑑賞した方が楽しいのではないでだろうか?そんな気がしてなりません。しかし、“観てよかったか?“と問われると私は間違いなく”観てよかった“と答えることでしょう!