ファウンテン 永遠につづく愛 : インタビュー
「π」「レクイエム・フォー・ドリーム」のダーレン・アロノフスキー監督がヒュー・ジャックマンとレイチェル・ワイズを主演に輪廻転生を描いたラブストーリー「ファウンテン 永遠につづく愛」。ブラッド・ピットからヒュー・ジャックマンへの主演交代劇など撮影開始までの紆余曲折を経て、本作を5年がかりで完成させたダーレン・アロノフスキー監督に話を聞いた。(編集部)
ダーレン・アロノフスキー監督インタビュー
「撮影前に出た旅が、精神的、感情的に僕を治癒してくれた」
――この映画を作るまでには紆余曲折があったと思いますが、ブラッド・ピットとは何が問題で別れたのでしょうか?
「ひと言で言うのは難しいんだよね。僕とブラッドは2年半の間、一緒にこのプロジェクトに取り組んでお互いに一生懸命打ち込んだんだ。だけど、ある時点で2人が違う方向に向かってしまったんだ。これは本当に仕方ないことなんだけど、2年半もの間一緒にいた人間と離れるとなるといろいろ複雑で、ああいうのはもうウンザリだよ」
――ブラッド・ピット降板後はヒュー・ジャックマンを主演にしましたが、理由は?
「それは僕が彼の舞台をブロードウェイで観たからなんだ。トニー賞を受賞した『The Boy from Oz』だったかな。その舞台を観てヒューの隠された力というか、彼が映画では見せたことのない一面を見て、彼にしようと決めたんだ」
――ヒロイン役をケイト・ブランシェットから今の奥さんであるレイチェル・ワイズにしたのも監督ですか?
「いや、それは僕じゃなくて、ヒューが彼女を選んだんだ。僕はあまり乗り気じゃなかったんだけど、ヒューが『少なくとも1回は会わせてくれ』といってきたので、2人でテストしてもらったらとても気が合ったんだ」
――ブラッド・ピットが離れてプロジェクトが中断した後に旅に出たそうですね?
「バックパッカーになって中国とインドへ行ったんだ。最初は1カ月以上の予定だったんだけど、妹が赤ん坊を産んでね。それで旅行をやめて帰ってきたんだ。いい兄貴、そして、いい叔父さんになったというわけさ(笑)」
――旅に出たことで映画に影響はありましたか?
「映画は旅に出る前に、すでにほとんど出来ていたと言ってもいいくらいなんだ。だから旅自体は精神的、感情的に僕を治癒してくれたプレゼントみたいなものだと思う。お陰で7カ月後の新キャストでの撮影は健康な状態で臨むことが出来たよ(笑)」
――永遠と輪廻転生をテーマにした本作ですが、(スタンリー・)キューブリックの「2001年宇宙の旅」が同様のテーマを持っていました。やはり、どこかで「2001年宇宙の旅」を意識したのでしょうか?
「もちろん『2001年宇宙の旅』は好きだよ。でも僕らが目指す映画は『2001年宇宙の旅』のコピーではなかったんだ。それでも、技術的な完成度という意味ではあの映画が登り切った高みまでいきたいと思っていたんだ。技術レベルの観点で言うと、たしかに『2001年宇宙の旅』が僕らの目標だったね」
――次回作の予定は?
「ファンタジーになると思う。ファンタジーが僕の一番好きなジャンルなんだ」