「強引に夫婦愛で纏める」象の背中 松井の天井直撃ホームランさんの映画レビュー(感想・評価)
強引に夫婦愛で纏める
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秋元康原作による余命半年と宣告された男の生き方。
始めは『舞踏会の手帖』かと思っていたらそうでも無い、主人公役所広司の会社での立場から『生きる』か?と思っているとそれも違う。
家族で写真を撮ったり、息子に「我が家の秘伝のレシピだ!」と言う辺りは小津映画の様だったりと色々な映画の断片を観ている様だった。
しかし、話が安定せずに「一体どこに中心点があるんだ!」と思っていると、最後の最後に強引に“夫婦愛”で纏めてしまっている底の浅さが、秋元康らしいところ。
それでも監督井坂聡の演出は悪く無かった。
父親から告白され、一言も返せない息子。12年振りにやって来られ話し合うが真実を知り、沈黙に耐えかねつい《煙草》を 吸い出す兄。言葉は無くとも、“沈黙と言う雄弁”な時間が多く、特にいつも鼻歌で[この道]を口ずさみ、笑顔を絶やさない母親役の今井美樹が絶品です。
愛人役の井川遥との会話を始めとして、ラストシーンの佇まいは本当に綺麗でした。
千住明の音楽もなかなか良かったと思います。
(2007年10月27日TOHOシネマズ錦糸町No.1スクリーン)
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