断崖のレビュー・感想・評価
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「なんじゃそれ??」サスペンス
箱入りご令嬢がイー加減か良い加減か分からないイケメンプレイボーイと勢いで結婚し、夢見生活を送ると共に疑心暗鬼にも苛まれる様を描いたスリルサスペンス”風”。
ハラハラドキドキしているのは世間知らずな箱入り奥様だけで、見ているこっちはしらっけぱなしの冷えた心境で眠気をしのぎながら見ていた状態。
とはいえ、1942年という時代性に思いをはせるなら、これでも立派なスリルサスペンス娯楽作だったのだろうなあと理解はできる。
男が遊び人であると知っていた娘の厳格な父親が結婚を許すはずがないのにその描写はなく、後で家宝の椅子を送ったりなど、状況説明を随分端折っている場面が目立つなども心象としては宜しくない。
日本人が「夢見る」西欧美形カップルの戯れ芝居を見れたことには感謝。
猿顔かな?
見所は、超有名な「光る牛乳」と、温い結末の二つです
ヒッチコックのアメリカでの4本目
これは流石にアカデミー賞に縁遠いヒッチコックが作品賞を穫っただけある面白さです!
ヒッチコックの映画を観た!という満足感があります
イギリス時代のヒッチコック作品のような味わいがあります
アメリカでの1本目のレベッカでヒッチコックに気にいられたのかジョーン・フォンテインがまたも主演で、アカデミー主演女優賞を受賞しています
24歳、当時はもう結婚適齢期の終盤の年齢です
このチャンスを逃したらもう後がない
その風情が容貌と抜群の演技力で説得力が半端ありません
疑惑を深めていく後半も良いですが、ジョニーの手管でどんどん恋に落ちていくところの表現力は唸ります
冒頭の一等客車でリナが詠んでいたのは児童心理学の分厚い本なのに簡単に落とされてしまうのです
ヒッチコックの小道具の使い方もさすがです
見所は、超有名な「光る牛乳」と、温い結末の二つです
ジョニーが毒を入れたかも知れない牛乳をお盆に乗せて二階のリナの寝室へ階段を登るシーン
ジョニーと階段は黒く沈んだ闇の中ですが、コップの牛乳だけは、闇の中で白く光っているのです
疑惑の牛乳に私達観客の視線を集中させる見事なテクニックです
豆電球を仕込んで撮影したとのことです
ケーリー・グラントは37歳
映画デビュー10年目
「赤ちゃん教育」、「ヒズ・ガール・フライデー」、「フィラデルフィア物語」と人気がブレイクしてまだまだ二枚目で売り出したい時なので映画会社から悪役NGで横槍が入って、あのような温い結末になってしまったそうです
ヒッチコックは、本当はリナが毒殺され、犯人はジョニーで「私が最後の犠牲者になる」と書かれた母宛ての手紙で終わるつもりだったそうです
もしこの結末だったら最高傑作のひとつになっていたかも知れません
ともあれケーリー・グラント本人には責任は無く、演技もヒッチコックの眼鏡に叶い、本作の後も「汚名」、「泥棒成金」、「北北西に進路を取れ」と出演してお気に入り俳優となります
本作では「赤ちゃん教育」、「ヒズ・ガール・フライデー」のスクリューボール・コメディで見せた軽妙さを、ジョニー役に監督が上手く引き出しています
恒例のヒッチコックカメオ主演は、中盤で本屋から出てきて推理作家のイソベルとバツッタリ出会うシーンの直前、ポストに投函している後ろ姿の男でした
断崖は写真の裏にタングミアの海岸とありました
英仏海峡に面した断崖絶壁です
日本の2時間ドラマのクライマックスが断崖絶壁のそばで行われるのは、松本清張原作、野村芳太郎監督の「ゼロの焦点」が由来でしょうが、ではそのゼロの焦点の断崖絶壁の由来は?
もしかしたら本作の断崖だったのかも知れません
リナと同期してしまったのだ
これほどの素晴らしい作品がヒッチコックの映画としてあまり知られていないことに疑問を感じます。
えっ、私が知らないだけだって〜
多分そうだと思う
まず、ヒッチコック作品という以外何も知らずに観賞し始めました
金にだらしない色男ジョニーと箱入り娘のリナとの恋愛ドラマなのかな⁇
などと思いきやあっという間に話は先へ進む
とにかくのほほんと見ていたはずなのにいつの間にかリナの心の動きにこちらも胸が苦しくなるやら安堵するやらでかなり疲れました
複雑すぎる内容だと物語に入り込むのに頭を使わなきゃならないけどこの作品はわかりやすかった
わざとらしい説明の台詞も無く自然とストーリーに心が乗せられる
スマートでスリムな作品ですね、監督の見た目とは大違い
それにしても主人公と同じ感情で映画を見たのはどれくらいぶりだろうか
久しぶりにいい体験が出来ました
夢見るお嬢様
サスペンスになる前が自分的には少し長すぎた
確かに、机の中に在る殺し方の参考とできる推理小説、保険金降りる条件は妻の死であることの通知、白く妖しく光る飲み物などなど、夫が親友を殺し更に次は自分かもしれないと考えていく展開は面白い。結局、夫が毒で自殺を考えていただけとのオチになったのだが、崖の手前で何故あんなにスピードを上げていたか等、説得力があまり無い部分もあり、見終わった後に必ずしも全てスッキリとはしない。
そして、1940年代の映画でしかたがないところもあるが、前半の部分が長すぎてテンポが悪い様に感じてしまった。親友の酒によって死にかけるシーン等、勿論後で生きてくるエピソードもあることはあるのだが。
ケイリーグラント演ずる色男が、定職も持たず、借金だらけの嘘つきのギャンブル好きの一文無しであることが判明していくさまも、もう少しテンポが良ければ、サスペンスドラマの一種としてなかなかにイケルのだが。そんな奴と分かってもすぐに別れない妻は、勝ち気で世間知らずのお嬢さんだからということか、ここの部分も今ひとつ説得力が無い様にも思ってしまった。
フォンテーンは綺麗
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