「中年オヤジ、アル・パチーノ」オーシャンズ13 kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
中年オヤジ、アル・パチーノ
くたびれた中年男を演じてこれだけサマになるって俳優も珍しい。最近では『インソムニア』とか『リクルート』など、やっちまった・・・やられちまった・・・と、彼の後頭部をガツンと殴られたような表情がなんともいえない。苦渋の表情、今まで積み上げてきたステータスが崩れ去る瞬間、日本人俳優でいえば三國連太郎のような・・・
てなことで、かなり楽しめました。前作『12』ではフィルムの切り貼りによって目がチカチカしてしまい、「スタイリッシュな作品なんて嫌いだ~」という気持ちにまでさせられたほどです。デジタルな映画の行く末も不安になる一方・・・そんなことがあったので、今回も期待してなかったのですが、その先入観を思いっきり覆されてしまいました。
アナログ・・・もっとデジタルに強くなれ!などという台詞も登場したのですが、この作品の色調全てがアナログ感たっぷり。映像そのものも昔風のアナログ的だったし、カジノのホルコンシステムや指紋照合などのハイテクデジタル部分も見られるものの、オーシャンズの計画そのものがアナログ風。スタイリッシュな音楽に混じって冨田勲やフランク・シナトラ(まで流れてくる。(冨田勲のシンセサイザーはデジタルぽいけど、アナログ・シンセサイザーの多重録音)
「フランク・シナトラと握手したこと」がどれくらい重要な意味を持っているのかわからなかったけど、シナトラはもちろんオーシャンズシリーズのオリジナル『オーシャンと十一人の仲間』のオーシャン役。アンディ・ガルシアとアル・パチーノの対峙といい、かつての映画へのオマージュぽさも感じてしまいます。
チームワークとか緻密さよりも、カジノでのイカサマが爽快でして、ギャンブラー心を揺さぶってもくれます。しかし、管理施設で客の瞳孔チェックやサーモグラフィで体温チェックまでされちゃたまらない。もしこんなシステムが導入されたら・・・靴の中に画びょうを隠しておくか・・・
【2007年9月映画館にて】