劇場公開日 2007年6月16日

「フィンチャー作品の中であまり目立ってない作品。しかし唯一無二の演出が光る大傑作。」ゾディアック MOTTOさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5フィンチャー作品の中であまり目立ってない作品。しかし唯一無二の演出が光る大傑作。

2019年8月12日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

 フィンチャーといえばセブンやファイト・クラブ、ゴーンガールと誰もが口を揃えて言う。今作を表立って言う人はそう出会ったことがない。前述のフィルモグラフィーに比べたら確かに、分かりやすいエンタメではないのかと思う。しかし今作を初めて観たときは衝撃的だった。後にも先にもこんな映画は見たことがない。

 映画全体を包み込む、明るくもどこかジメッとした雰囲気。セブンやゴーンガールとも違う。セブンでは登場する人間全てを疑ってしまうような空気感、今作ではその時代と街がまるで犯罪者の様。本当にゾディアックという人間は存在しているのか?と思ってしまう。

 何かが不気味、けど写っているのは普通の街と普通の生活。

 しかし時折やってくるゾディアックの惨殺シーンは身の毛もよだつ。ドラマティックに演出してるわけでもないのに。画面全体が無表情で殺される様子をしっかり見せる。

 どのジャンルにもカテゴライズしたくない高等な何かという映画だった。

MOTTO