「全てが本物の香りのする戦争映画の最高峰!」大列車作戦 KENZO一級建築士事務所さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5全てが本物の香りのする戦争映画の最高峰!

2021年6月5日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル、DVD/BD

「グラン・プリ」「ブラック・サンデー」
を観た流れで鑑賞。
私としては、
ジョン・フランケンハイマー監督作品の
中では、やはりこの作品が一番好きだ。
そして、戦争映画の中でも私のNo.1作品
と言って良いだろう。

私は冒頭2作品のレビューで、
フランケンハイマー監督は
本物の香りを醸し出す映画作家と評させて
いただいたが、この作品はその観点での
最たるものではないだろうか。

私はかつて、この映画については、
列車の脱線シーンを中心とする、
映像面での本物感を前提に話をしていたが、
改めての鑑賞で、ストーリー性も含め、
作品全般に本物の香りを感じてしまった。

話の展開でも、
鉄道員の各レジスタンス活動と犠牲、
主人公と宿屋の女主人の戦時下という中での
一時の葛藤と相愛エピソードも、
ドイツ将校の戦時という中で歪んでしまった
芸術・名画への想い等々、
全てに本物の香りが漂っていないだろうか。

私は、過去幾度となく観たこの作品だった
にも関わらず、2時間20分に渡るこの映画の
世界に、飽きることなく新鮮な気分のままに
再び浸ることが出来た。

芸術作品と人命を秤に掛けてしまうという
戦争という時代での空しさや悲しさ、
とのストーリーの骨格の元に描かれる
本物の香り溢れる話の展開と各場面場面は、
まるで自分がこの時代の目撃者であった
かのような感覚を受ける。

ところで、この映画の登場人物はフランス人
とドイツ人だが、彼らの会話は全て英語だ。
日本人である私には余り違和感はないが、
フランスやドイツの方々はこの作品の世界に
充分に入り込めたものだろうか。
マーケット対応的には理解するが、
リアリティという観点ではいつも感じる
悩ましい問題ではある。

KENZO一級建築士事務所