アーサーとミニモイの不思議な国 : インタビュー
「レオン」「フィフス・エレメント」のリュック・ベッソン監督が、「チャーリーとチョコレート工場」の名子役フレディ・ハイモアを主演に迎え、実写とCGアニメーションを融合させて描くファンタジー・アドベンチャー「アーサーとミニモイの不思議な国」。3部作構成の1本目である本作のPRで来日した監督が、アニメーション製作の裏側や監督引退宣言の真相について語ってくれた。(聞き手:編集部)
リュック・ベッソン監督インタビュー
「映画を作らなくても、人生にはやることがたくさんある」
――映画はこれまでCGアニメは専門外だった監督が、どのような手段でアニメーターたちに指示を出していったのですか?
「製作にあたり、アニメーターやデザイナーとのチームワークがすごく大切だったよ。でも、一番重要だったのはお互いのエリアに踏み込まないこと。CGアニメに関しても、出来上がった映像に対して自分が求めているものだけを伝えたら、あとは全てアニメーターに任せるんだ。私はコンピューターを全く扱わないし、マウスにすら触りたくないからね(笑)。むしろ彼らがやってることは知りたくない。ただ自分の欲しいものは常に伝えていて、それが2時間でできるものでも2年間かかるものでも関係なく注文したよ。アニメーションスタッフから文句を言われることも全然なかったな」
――ミニモイの王女セレニア(声/マドンナ)の製作には4年を費やしたとか。何が一番大変でしたか?
「あまり人間に近くないキャラクターはそれほと大変じゃないんだけど、人間的になればなるほど難しくなるんだ。それが見た目の美しい女の子ならなおさらだよ。とにかく苦労したのは顔の部分で、目や鼻を少し動かすだけで印象が全く変わってしまうんだ。セレニアはとても美しいけど、あれは4年間の整形手術を経た美しさなんだ(笑)」
――この映画は“ピクサーと宮崎アニメの間”だとおっしゃっていましたが、それはどういう意味でしょうか?
「アメリカのアニメはビジネス優先で作られてると思うけど、宮崎アニメには宮崎監督の脳と心の音を感じるんだ。私の場合も、自分の心から沸いてくるストーリーだけを作っている。よくアメリカのスタジオがやるように、モニター試写で観客の反応をリサーチしたりなんかしない。たとえ完成したものを観客が気に入らなくても仕方のないことだ。宮崎監督は日本人で私はヨーロッパ出身だから、そういう意味で“ピクサーと宮崎アニメの間”と表現したんだ」
――かねてから「10本映画を撮ったら引退する」と宣言されてますが、3部作の終了後は製作業に専念するのでしょうか? それとも映画以外にやりたいことがあるのですか?
「これは私の中での“映画”と“人生”のサイズの差なんだ。人生の中で映画を作らなくてもやることがたくさんあるから心配しないで(笑)。何をやろうかというプランもあるんだ」
――そのプランを教えていただけませんか?
「まだ『2』『3』の撮影があるからね。2010年までは製作に携わってるから、その間で身の振り方も変わるかもしれないし、今はまだ何とも言えないな」