劇場公開日 2008年6月21日

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「ルーカスがこういうの好きなのかなぁ」インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国 pipiさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ルーカスがこういうの好きなのかなぁ

2023年7月22日
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第一印象は「老けたなぁ」でした。
そりゃそーだ。ハリソン・フォードは66歳ですもん。
役中のインディは56〜57歳でしょうか。まぁ、話が進むにつれ、マットくんも目を丸くするほどの「ケンカの強さ」「修羅場慣れ」「超一流の冒険家」としての姿が見えてくるので違和感は解消されていきます。

ただ、肝心のストーリーはどちらかと言えば2作目に近いかもしれません。
マリオンの登場で、インディとマット、双方の微妙な心理の機微がちょこちょこ垣間見えるなど、そういう細やかなトピックは面白いんですけどね。
笑えるシーン満載です。
こういうところは、ハリソン・フォードという一流役者の演技力・役作り力が為せる技なのでしょうか。

第2作に関しては、スピルバーグは3部作中最悪と評しているのに対し、ルーカスは「大好き」と述べているんですよね。
スピルバーグは「ストーリー重視・エモーショナル重視・ストーリーとアクションの黄金比を大切にする・フィルムの芸術性重視・デジタル化には慎重」なのに比べ、
ルーカスは「面白い事大好き・新しいこと大好き・最新技術は率先して取り入れる」なのかもしれません。
決してルーカスがストーリーを軽視しているわけではないけれど多くの人々にとって「大切にして欲しい箇所」にルーカスは拘泥しないのかもしれませんね。

かと言ってルーカスの性格は「商業主義」とは正反対のところにあるようです。伝え聞く話では、内気で内向的、人付き合いが苦手。
子供の頃からSF好きで、常に未来を見つめてきたルーカスにとっては宇宙人も高次元生命体の存在も、少しも荒唐無稽ではなく、もしかしたらファンタジーですらなく
「現実として当たり前に存在するもの」なのかもしれない・・・と考えてしまった本作でありました。
ルーカスの天才的感性は、常人の理解を超えたところにあるのかもしれません。

1957年頃といえば冷戦に宇宙進出競争(スプートニク打ち上げはこの年)
核開発競争に赤狩り。
そんな深刻な世相を意に介さず若者達はジェームス・ディーンにエルビス・プレスリー、アメリカン・グラフィティーよろしくカーレースなどにうつつを抜かす。
そんな時代背景が描かれていて興味深かったですし、マットくんが殺されそうになる前に髪をセットしてみせるなど、若者は若者で彼らなりのポリシーを有している一幕は好感がもてました。

前3部作や他のルーカス作品・スピルバーグ作品等へのセルフパロディ満載で、笑えるシーンも多くて楽しい事は楽しいんですけれどね。

齢(よわい)66にしてもハリソンのアクションは健在で「カッコいいジジイ」としてラストのウェディングをキメるところは良い落とし所だったと思います。
星は3.7〜8って印象だけど、レビュー評価も低いのでオマケしときます。

pipi