「設定は壮大だけれど尻つぼみ、なんだこりゃ」パイレーツ・オブ・カリビアン ワールド・エンド とみいじょんさんの映画レビュー(感想・評価)
設定は壮大だけれど尻つぼみ、なんだこりゃ
エンドロールの後の映像。
海戦の映像・音楽。
他にも、あれもこれもの映像・音楽。
魅入られる。
そして心に残るのがパパの存在。
ウィルの、ベスのパパが切ない。
ジャックのパパが格好良く。
とはいえ、何が描きたかったのか?
がちゃがちゃした雰囲気だけ…。
海賊だもの。お互い、裏切り、駆け引き。あって当然。期待する。昨日の友が今日の敵。昨日の敵が今日の仲間。自分の目的の為なら何でもあり。
でもその様を堪能できるような演出になっていない。
キャラクターの軸がぶれる。
ジャックは風見鶏の如く、そういうしなやかさ・したたかさ・純粋さが持ち味で、それが吹く風まかせでくるくるかわる様が面白い。だのに、今作のジャックは、冒頭の如く、何人ものジャック。風見鶏はくるくるまわるが軸があるが、何人ものジャックには軸がない。
他にはカリプソ、ディビ―、フェン…。9人の海賊…。設定負け。
バルボッサは悪魔の呪いが解けたからか、すごく活き活きしている。
ベスはいったいどうしてしまったんだというほど、キャラ変。海賊に憧れるという素養はあり、ウィルの為なんだろうけれど…。
スワン提督は善良な市民(貴族)を1と変わらずに演じて下さり、1との繋がりを感じさせてくれる。
徹夜明けの頭で思いついたことを、吟味せずに撮っちゃったって感じ。
役者達の都合で、2と3同時に撮ったという作品の一つ。
だからやっつけ仕事になるのは仕方がないのか。
ならば単純な筋にすればよかったのに。昔の日本映画のように。
ディップ氏が群像劇を望んだとの事。だったらちゃんと皆の見せ場を作れば良いのに。大物俳優起用しても見せ場がないよ。
だらだらと長い映画にせずに、90分くらいでまとめ上げればいいのに。
ものすごい冒険活劇になるはずだった本作。
大風呂敷広げて尻つぼみ。
勿体ない。
う~ん、時間を損した気分です。
それでも、魅力的なキャラで救われる。
演じられた役者さんと映像と音楽に感謝です。