「ダンブルドア軍団ルールその1。ダンブルドア軍団のことを口にするな。」ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団 たなかなかなかさんの映画レビュー(感想・評価)
ダンブルドア軍団ルールその1。ダンブルドア軍団のことを口にするな。
魔法ファンタジー映画『ハリー・ポッター』シリーズの第5作。
復活したヴォルデモート卿に対抗するため、ダンブルドア率いる「不死鳥の騎士団」が再び結成される。
しかし、闇の帝王の復活を信じたくない魔法省は、ホグワーツを統制するため上級次官ドローレス・アンブリッジを送り込む…。
○キャスト
ハリー・ポッター…ダニエル・ラドクリフ。
ロン・ウィーズリー…ルパート・グリント。
ハーマイオニー・グレンジャー…エマ・ワトソン。
ヴォルデモート…レイフ・ファインズ。
シリウス・ブラック…ゲイリー・オールドマン。
セブルス・スネイプ…アラン・リックマン。
ミネルバ・マクゴナガル…マギー・スミス。
シビル・トレローニー…エマ・トンプソン。
セドリック・ディゴリー…ロバート・パティンソン。
新たなキャストして、アズカバンに収監されているデス・イーター、ベラトリックス・レストレンジを演じるのは『ファイト・クラブ』『チャーリーとチョコレート工場』の、名優ヘレナ・ボナム=カーター,CBE。
原作はJ・K・ローリング。
〈ダンブルドア軍団ルールその1、ダンブルドア軍団のことを口にするな。
ダンブルドア軍団ルールその2、ダンブルドア軍団のことを絶対に口にするな。〉
『ハリー・ポッター』シリーズも後半戦に突入。
実は『ハリポ』シリーズは『炎のゴブレット』までしか鑑賞したことがなく、この『不死鳥』以降は全くの未見。原作は全巻、リアルタイムで一応読んでいるのですが、正直言って惰性で読み進めていたのでほとんど覚えていないのであります。
というわけで、かなり新鮮な気持ちで本作を鑑賞したことを報告しておきます。
まずもって思ったこと。
これ『スター・ウォーズ』?
今回初めて魔法使い同士のガチバトルが描かれた訳だが、良い者の光は緑、悪者の光は赤と、かなり分かりやすく視覚化されていた。…わかりやすいというか、これ『スター・ウォーズ』そのまんまですやん…。
ダンブルドア先生の声が永井一郎さんだということもあり、なんだかヨーダvsドゥークー伯爵の闘いを思い出した。関係性も似てるしね。
ヨーダの「腕を上げたのう、かつてのパダワンよ。」というセリフが大好きなんだけど、それは今は関係ないですね💦
映画における超能力バトルシーンは好物なんだけど、『ハリー・ポッター』でそれを観たいかと言われると…。
『ハリポ』にはもっとファンタジー要素で楽しませていただきたい。バトルとか別にどうでもええねん。
大体、ダンブルドアとヴォルデモート以外の魔法使いたちの攻撃はただ光線を飛ばすだけで面白みがない。
これなら拳銃でも良くない?…なんて言うのは野暮ですよね。
原作は上下巻あり、総ページ数1300を超えるというシリーズ最長の作品。
この超大作を2時間少々にまとめ上げたことは賞賛に値する偉業だと思います!
しかし、情報を圧縮してしまったことに対する弊害も見受けられる。
ぶっちゃけ言ってしまって、今回の映画は目的がなんなのかさっぱりわからんかった😅
これまでのシリーズ作品は、タイトルを見ればどんな物語なのか一目瞭然だった。なおかつ、ストーリーラインも単純なのでスッとお話を理解することが出来た。
しかし今回は、不死鳥の騎士団というものが存在する、ハリーがその騎士団を真似た学生組織を作る、というところまではわかるのだが、そこから先の物語をどう進めたいのかが最後まで不透明だったため、興味が全然持続しなかった。
冒頭で「今回のお話の目的地はここです!」みたいなものを提示してくれないので、今自分は何を観ているのだろう?というモヤモヤが最後まで付き纏う。
映画のクライマックスも、正直言って何やっているのかさっぱりわからん。
ヴォルデモートはハリーの「予言」ってものが欲しかったらしいんだけど、それって何?なんかスノードームみたいなものに入っていたけど…。
誰が予言して誰がスノードームに詰め込んだの?それを保管しておく意味は?
そもそもヴォルデモートは何であれを欲しがったの?すごく抽象的でどうでもいい内容だったけど…。
もう何が何やら全然分からん!!原作読めばわかるのかな?仮にそうだとしたら、映画だけでわかるようにしてくれよ!!
なんかシリウス・ブラックが死んじゃったけど、ここも何が起きているのかよくわからんかった。あのアーチなんなの!?
正直シリウス・ブラックって殆ど出番がないから、死んじゃったところで「あっそう…」って感じ。しかもオビ=ワン・ケノービくらい殺される描写があっさりかつフワッとしているので、驚くほどなんの感情も湧き上がらなかった。原作はもう少しエモーショナルだったような気がするんだけどね。
という事で、今回鑑賞して頭に残ったのは、ピンクのババァがクソムカつくということだけ。
このババァ、本当に凄まじいほどのクソババァで、映画史を遡ってもここまでのクソババァはなかなかいないのではないでしょうか?
ヴォルデモートやベラトリックスなんか目じゃないくらいの邪悪だった😈
「自分が『悪』だと気づいていない…もっともドス黒い『悪』だ…」という名言が『ジョジョの奇妙な冒険』にありますが、まさにアンブリッジはこのもっともドス黒い『悪』そのもの。
ここまで胸糞悪い悪役にはなかなかお目にかかれません!
アンブリッジの何が嫌かって、リアルにもこういうババァ結構居るよなぁ…と思い出させてくれるところ。
この辺はJ・K・ローリングの人物描写の巧みさなんでしょうね。
そしてアンブリッジを演じているイメルダ・スタウントンの演技が素晴らしかったということでしょう。
ヘレナ・ボナム=カーターの存在感が霞むほどの強烈なインパクトを残してくれました。
今後イメルダ・スタウントンを映画で見かけたら、善人の役をやっていても「このクソババァ!」と罵ってしまうかも笑
もう一点心に残ったところは、やはりあの「スネイプ先生の過去」でしょう。
ここは原作を読んだ時にもめちゃくちゃ驚いた。
聖人君主として語られていた人物が実は…。という展開は創作物には多々あるし、現実世界にもありがちなんだけど、ここまで上手く物語に落とし込んでいる例はなかなかないのでは?
これまでのスネイプ先生の言動の理由が明らかになり、彼の見え方が180℃変わってしまうという、素晴らしい過去回想だと思います。
こういう人間の二面性みたいなものをしっかりと描きこめる。J・K・ローリングの作家としての確かな手腕を感じずにはいられません!
という訳で、なんやかんや不満もあるものの総評としては結構楽しんだような気もする。
陽キャの権化フレッド&ジョージのパンク・スピリットには、フリットウィック先生と同じようにガッツポーズしたくなったしね👍
ヘレナ・ボナム=カーターが出演しているということもあり『ファイト・クラブ』を想起させる、『ハリポ』史上最も血の気が多い一作でありました。
※なんかチョウ・チャンが可哀想な感じになっていたけど、みんなあの後ごめんなさいしたのかな?
丸メガネのイギリス人と東洋人のカップル…。やっぱりモデルはジョン&ヨーコ?