「様々な想いを胸に、最後のリングへ…」ロッキー・ザ・ファイナル しゅうへいさんの映画レビュー(感想・評価)
様々な想いを胸に、最後のリングへ…
「ロッキー」シリーズ第6作。
サンテレビ「シネマスタジアム」で鑑賞。
老境に入ったロッキー・バルボアが、現役チャンプとのエキシビション・マッチに挑むことに…。遠ざかっていたリングに再び立つ決意を固めた理由とは、燻っていたボクサーの情熱に火を灯されたから…だけではありませんでした。
偉大な父の存在に悩み疎遠になっていた息子ロバート、義兄ポーリーなど、彼を取り巻く人たちの様々な想いを胸に秘め、最愛の妻エイドリアンの死を乗り越えて、過去の栄光にすがる日々に終止符を打ち、自分自身を取り戻すためでした…
ある意味普遍的な物語をここまで面白いエンターテインメントに昇華させるなんて、もはや見事過ぎる職人技…
人は何に興奮し、何に胸を熱くし、何に涙するのか…。これが映画だよ、こう云うのが観たいんだよと強く言いたい!
ロートルのロッキーが過酷なトレーニングを開始し、1作目のシーンをなぞるようにして博物館の階段を駆け上がる瞬間に涙がこぼれました。往時の勢いは無い、しかしそれでも彼は紛れも無くロッキー・バルボアその人でありました…
ついに迎えたエキシビション・マッチ。ロッキーの往年のファイト・スタイルである、何度打たれても立ち上がる不屈の戦い方で、現役チャンプ相手に一歩も怯みませんでした。
長年のブランクを感じさせない見事な戦いぶりに手に汗握りました。フルラウンドの攻防を展開し、チャンプの骨折などのドラマを生み出しながら最後まで興奮しっぱなしでした。
勝利することは出来ませんでしたが、何かを掴んだように誇らしげにリングを去るロッキーの姿にまたまた涙が…
今を、未来を、精一杯生きていくことをエイドリアンの墓前に報告するロッキーの姿に、なんて素晴らしい完結編なんだろうと思いましたが、後々「クリード」シリーズが始まって一瞬ずっこけたものの歓喜に震えました(笑)。
※修正(2022/05/04)