毛皮のエロス ダイアン・アーバス 幻想のポートレイト : 映画評論・批評

2007年5月15日更新

2007年5月26日よりシネマGAGA!ほかにてロードショー

女性写真家の自己の解放を幻想的に映像化

ダイアン・アーバスは1923年、NYの五番街に百貨店を持つユダヤ系富豪の家に生まれ、写真家アラン・アーバスと結婚後、夫のアシスタントとして写真を始めた。やがて写真史に残る特異な才能を開花させるが、71年に自殺した。

ニコール・キッドマンがアーバス役に挑んだ「毛皮のエロス」は、「セクレタリー」で注目されたスティーブン・シャインバーグの新作。前作で弁護士と秘書のSM関係を倒錯的に描いた監督らしく、この映画はアーバスの自伝的要素より、原題でもあるファー(毛皮)フェチという彼女の嗜好に焦点を当て、内気な妻が同じアパートに引っ越してきた多毛症の男との出会いを通じて自らを解放していくまでを描く。50年代のレトロなアパートが「不思議の国のアリス」の迷宮と化し、多毛症の男との「美女と野獣」のような交流が、微細に、幻想的に描かれる。

だが、少年時代からアーバスの写真に魅せられていたという監督は、自己のファンタジーにいささか熱中しすぎたかもしれない。彼女は決して「フリークス専門」ではなかったし、その力量と影響力は、写真教室の教え子だったキューブリックの「シャイニング」を見ても明らかなのだから。

(田畑裕美)

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