劇場公開日 2006年1月14日

「とにかく観ろ!!」ホテル・ルワンダ mori2さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0とにかく観ろ!!

2008年9月18日

悲しい

怖い

知的

「哀しい」だの「泣ける」だの「涙が止まらない」だのといったような陳腐な言葉では表現できない。正に観終わって、言葉が出てこない映画だ。

 何が恐ろしいって、この映画は実話がベース…と言うより、殆どが実話だということである。しかも、それは遠い過去のことではなく、わずか12,3年前の出来事…本当に、ついこの間の出来事なのである。この文明や、情報が進んだ現代社会で何の罪も無い人々が100万人規模で虐殺されたのだ。“民族根絶”などという、トンでもない妄想の為に。吾輩はルワンダの事情に詳しいわけでもないから、『そもそもどちらの民族が正しいのか?』なんてことは、語れない。しかし事の成り行きがどのようになっていようと、100万などという夥しい数の人命が一方的に奪われることなど、言語道断である。そのような事態を国際社会は“見て見ぬふり”をしていたのだ。これはハッキリ言って“同罪”いや、“それ以上の罪”を犯したことに相当すると思う。作中ジャックがポールに向けて言う台詞を聞いて、戦慄を覚えた。曰く『君たちはアフリカ人だ、ニガーでさえない…』何と恐ろしい言葉だろうか!しかし現実とは、こんなモノなのだ。

 ポールのことを“アフリカのシンドラー”と称す人がいるらしいが、あえて吾輩はその意見に異を唱えたい。シンドラーは、ユダヤ人を“労働力”として救っていた。しかしポールは愛する妻を、家族を、隣人をただ救いたかっただけなのだ。“虐殺”という理不尽で得体の知れない怪物から…。

mori2