「現実を知らしめるきっかけ」ホテル・ルワンダ Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)
現実を知らしめるきっかけ
総合:80点
ストーリー: 90
キャスト: 75
演出: 75
ビジュアル: 75
音楽: 65
3ヶ月程度の短期間に100万人とも言われる(諸説あり)大量の人々が虐殺されたという、人類史上に残る残虐行為。あまりにたくさん殺されたために正確な数などわかりはしない。
ナチス・ドイツですら600万人のユダヤ人を殺すために専門施設を作った上で数年かかった。しかしここでは近代的大量破壊兵器を使うことなく、銃や蛮刀で一人一人殺していった。殺された人々の殆どが民間人であり、殺したほうも軍人ばかりでなく民間人である。むしろ組織的に統治されることがなかった民間人のほうが、歯止めがないためにより残虐に好き放題に殺しを行ったとも言われる。
それがつい最近起きた事実だというのに、日本人はそれを知らない人すら多い。さらに残念なことは、ルワンダの虐殺は例外的行為ではないことである。シエラレオネ・ナイジェリア・ダルフールなどで似たようなことが行われている。これが全てではない。映画の存在価値は娯楽だけではない。「ブラッド・ダイヤモンド」や「ティアーズ・オブ・ザ・サン」もそうだが、そのような事実を知らしめ、人々に関心を向けさせる上でもこの映画は価値がある。
映画は事実を基にして作られた。100万人の虐殺を前にしたとき、これはほんのささやかな成功物語に過ぎない。それでも死線の上にいる人が行った、その状況における精一杯の勇気の挑戦を知らしめる。少しの判断の失敗が死につながる綱渡りの緊迫感を見ることが出来るだろう。
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