「ラストシーンは悲しく美しく、ナチスドイツとポーランドの関係性に関する歴史の勉強にはなったのだが、ストーリー展開にはあまり乗れなかった」ソフィーの選択 Kazu Annさんの映画レビュー(感想・評価)
ラストシーンは悲しく美しく、ナチスドイツとポーランドの関係性に関する歴史の勉強にはなったのだが、ストーリー展開にはあまり乗れなかった
アラン・J・パクラ 監督による1982年製作(151分)のアメリカ映画。
原題:Sophie's Choice。
ウィリアム・スタイロンによるベストセラー小説「Sophie's Choice」を原作とし、アラン・J・パクラが脚色。原作は読んでいない。
予想とは異なりアウシュビッツの話は印象的だが短く、ソフィーことメリル・ストリープ、彼女の恋人ケビン・クライン、駆け出し童貞作家で語り部のピーター・マクニコルの三角関係的な描写が殆どであった。脚本的には、この過去と現在、二つの要素のバランスが悪く、作家の童貞卒業物語も余分に感じ、あまり好きにはなれなかった。
ナチスによるユダヤ人虐殺は有名であるが、恥ずかしながら、この映画で描かれた様なユダヤ人でないポーランド人の虐殺は知らなかった。調べてみると、タンネンベルク作戦(ナチスによるポーランド人の絶滅計画)で、何と約61,000人のポーランド人活動家、知識人、俳優、元将校が逮捕・抑留、あるいは銃殺されたらしい。
キリスト教徒のポーランド人を演じたメリル・ストリープは見事なドイツ語とポーランド語、移民らしい流暢とは言えない英語を、的確に話しているらしいが、その点は分からずじまいで残念。ナチス将校や語り部のピーター・マクニコルから見れば、大変な美人ということらしいが、自分的にはそうは思えず、あまりストーリー展開に乗れなかった。
ケビン・クラインが自称生物学者で天才性と狂気を併せ持つ妄想性分裂症のユダヤ人を大熱演。感心させられたのだが、あまり共感を持てないせいか魅力はあまり感じなかった。
ラストシーンは個人的には賛同できない終わり方だが、悲しく美しくもあった。2人の出会いの要因となったエミリー・ディキンソンの詩“Ample make this bed”がベースにあるらしい。彼女の愛読書である聖書の世界の映像化と感じた。
Make this bed with awe;
In it wait till judgment break
Excellent and fair.
Be its mattress straight,
Be its pillow round;
Let no sunrise' yellow noise
Interrupt this ground.
監督・脚本アラン・J・パクラ、製作総指揮マーティン・スターガー、製作キース・バリッシュ、 アラン・J・パクラ。
原作ウィリアム・スタイロン、撮影ネストール・アルメンドロス、音楽マービン・ハムリッシュ。
出演
メリル・ストリープ、ケビン・クライン、ピーター・マクニコル、リタ・カリン、スティーブン・D・ニューマン、ジョシュ・モステルジョシュ・モステル、ジョセフ・ソマージョセフ・ソマー、グレタ・ターケングレタ・ターケン、ロビン・バートレット、ジョン・ロスマン、デビッド・ウォール。