パイレーツ・オブ・カリビアン デッドマンズ・チェスト : 映画評論・批評
2006年7月18日更新
2006年7月22日より丸の内ピカデリー1ほか全国松竹・東急系にてロードショー
何でもアリの“オーシャンオペラ”
まさしくジェリー・ブラッカイマー作品らしく、何でもアリの痛快活劇だ。金歯をピカッと光らせ、ゆらゆらと怪演する、ちょいとバッドガイなジャック・スパロウ船長に、ガハハと笑いころげた。しかし“人間ばなれ”したデップはなんて魅力的なんだろう。
前作は「タイタニック」や「グラディエーター」といった復古調ジャンル映画の成功を受け、エロール・フリンやバート・ランカスターが活躍した懐かしの剣戟満載の海賊映画(「シー・ホーク」「真紅の海賊」など)を見事復活させたものだったが、本作はよりスケールアップし、冒険スペースオペラならぬ“オーシャンオペラ”になっている。(同時製作された)第3章への完全なる“つなぎ”の物語であり、「スター・ウォーズ/帝国の逆襲」的展開を魅せるのがおかしい!
奇怪なタコのクリーチャーのようなネバネバしたデイビー・ジョーンズ船長は存在がジャバ・ザ・ハットだし、スパロウ船長もだんだんハン・ソロ化していくのだから(ラストは見てのお楽しみ)。ウィル(オーランド・ブルーム)もベス(キーラ・ナイトレイ)も見せ場はたっぷりだ。
全編にちりばめられた小出しのギャグはたしかに笑えるが満腹感を感じるほど間延びして、笑いがつかえるのは職人ゴア・バービンスキー監督の狭量だろうか。あと30分切れば、もっと“スマート”になっただろう。
(サトウムツオ)