ワイルド・ワイルド・ウエスト : 映画評論・批評
1999年11月15日更新
1999年12月4日より丸の内ルーブルほか全国松竹・東急系にてロードショー
ラップのリズムは世界を救う?
豪華な面子が揃った映画である。出演はスミスにクライン、そしてブラナー。撮影はバルハウスに美術はウェルチ。SFXはILMで音楽はバーンスタイン。さぞや凄い作品がと思いきや、出来上がったのはユルユルのアクション・コメディ。やっぱ監督&脚本がシマらないとだめなんだを痛感したりもするのだ。が、それでもお勧めしたくなる理由がある。特にSFファンはぜひといいたくなるワケがある。そう、この作品、メカだけは映画史上初(じゃないかなあ)のスチームパンクSFなのだ。
いや、ほんとにかっこいい。登場するメカの数々の動力は蒸気圧。動くたびにスチームをあげ、歯車がまわる。その歯車は巨大でリベットが施され、デザインはレトロで質感は重厚。いたるところにギミックが仕掛けられ、その楽しいこと。小説のスチームパンクの舞台は19世紀ロンドンが多いが、それを開拓時代の西部に移してビジュアル化してみた、そんな感じが漂っているのだ。
これに感動して見ていると、豪華な面子も納得してしまう。彼らを使って、こんな偏った作品を作るとは、なんておばかなと思ってもしまう。しかし、そのアンバランスこそがこの映画の魅力。つい偏愛してしまうのよね。
(渡辺麻紀)