ゼイリブのレビュー・感想・評価
全6件を表示
さすがにジョン・カーペンター監督だ、面白すぎ
B級映画っぽいけど、さすがジョン・カーペンターだ、意外に面白かった。特にエイリアンを見分ける方法が特殊なサングラスをかけるという発想はなかなかいい。間接的に、貧富の差を生じさせている資本主義社会、政治家を痛烈に皮肉っているようでもある。
テーマに惹かれての鑑賞です
内容よりもテーマに惹かれて鑑賞。
人類を支配しているのがアンドロメダ由来の宇宙人だという設定が興味深い。
サングラスを掛けることで視覚化できるものとして
・人類に紛れた宇宙人を看破(視覚的に化けの皮をはぐ)
・広告や資本主義的産物(金、本)の本性(or目的)を文字化する
という表現が面白い。
視聴途中にリアルを思い起こして再認識するのは、
常識や普通の幸せっていうのはその社会システムの中から見ると普遍的な真理
であると思い込んでしまいがちだけれども、所詮人類を支配する資本主義システム
により押し付けられた固定観念にすぎないということだ。
脱線するが、羞恥心、原罪意識、責任感、自己責任、恋、ファッション、性風俗、人間関係における上下関係全ては確かに押し付けられたものであり、そうでありながら自動でそれに従っている(周りが決めたルールが内在化してしまっている)のはどうしようもないことだから、それを自覚して、自分の感情の動きを客観的に見ながら、感情の由来を見極めながら生きていくことが必要だと思う。だからと言って、全てを否定して修行僧のように生きる行き方が幸せかと言われるとそれは人によるとも思うし、押し付けられたルールをそれはそれとして楽しむべきだとも思うが。
そしてもう一つ、オカルト好き(陰謀論が好き)な自分としては、監督が現実の何を
見てこの作品を作ったかを知りたいなというかなわない思いが残る。支配者は
アンドロメダから来てるって思ったのは何でですか監督?
「格差社会」「情報社会」SF。リドリー・スコットとかが撮ったらもっとストレートで怖いSFスリラーになるかも。でも、どこかもっさりした脚本と演出とで却って深読み出来るカルト映画になっているのかな…
①初めて頭から通しで観た。いつの間にか地球にやって来ていたエイリアンたち。金と権力とがある地球人たちはその金銭欲・権力欲を満たすことで僕(しもべ)にし、金と力のない地球人たちは目や耳を通したサブミナル効果で知らず知らずのうちに操るという、地球人の業をよく理解しているクレバーなエイリアンだわ。②深刻にしようと思えばいくらでも深刻に出来る題材ながら、サスペンスフルな展開はなく、どこかのどかな空気が漂う。情報量が足りないわりには変な台詞が多くシンプルなのか適当なのかわからない脚本、如何にも費用をかけていないロケーション、チープなセット、シャープとはお世辞にも言えないジョン・カーペンターの演出。この辺りに起因しているんでしょうね。③いくらイケメンのプロレスラー、ロディ・パイパーが主演だからって、たかがサングラスを掛ける掛けないで、あれだけ格闘シーンに尺を取るんだもの、ハラハラドキドキさせる映画に鼻からする気はないなと思います。④
安いセットや緩い演出の中で一生懸命アクションしてる主演の二人に健気ささえ感じます。⑤基本的にはB級の乗りで撮っている映画なので余りとやかく言うのは野暮だし、深読みすれば自由主義であろうと社会主義であろうと、金や権力に対する欲が人間社会から無くならない限り存在し続ける格差社会をSFの形を借りて風刺しているととれないことはないね。あと情報が有りすぎて良い情報と悪い情報とを判別できなくなっている現代を先取りしていた、と言えるかも知れない。
映画史に残る死闘! ルール無用の「サングラス・デスマッチ」!
不思議なサングラスにより本当の世界を認識することができるようになった、日雇い労働者ネイダの闘いを描くSF・スリラー。
監督/音楽/脚本を手掛けたのは『ハロウィン』シリーズや『遊星からの物体X』の、ホラー映画界の巨匠ジョン・カーペンター。
30年以上前の作品でありながら、今なお一部の層から熱烈な支持を集めるThe・カルト映画。
強烈な物質中心主義とマスメディアへの批判的メッセージは、今でも全く古びていない。
むしろインターネットでの情報操作や多国籍企業による富の集中が問題視されている現在において、この映画のメッセージはより鋭さを増しているのかも知れない。
偏見を持って物事を見ることを「色眼鏡で見る」というが、本作ではその逆で、サングラスをかけることで真実が見えるというのは面白い。
アメリカでも偏見のことを色眼鏡というのかしらん?
サングラスをかけると映像がモノクロになるという演出はクール!
エイリアンのチープな見た目も相まって、昭和特撮を観ているような気分になってくる。
サングラスをかけて企業の看板や雑誌をみると…
いや、このインパクトは絶大。最高にクール!!
「従え」
「眠ったままでいろ」
「結婚して出産しろ」
「考えるな」
「消費しろ」…
ここまで正直に、世界の真実をぶちまける作品がかつてあったのだろうか?
紙幣に描かれていた文字「THIS IS YOUR GOD」のインパクトはやばい。
『ファイト・クラブ』より10年も前に、このような作品が作られていたとは…。
この作品の時代背景は以下の通り。
70年代のスタグフレーション(不況とインフレ)を改善するため、連邦準備制度理事会議長ポール・ボルカーが強烈な金融引き締め政策を行い、失業率がやばいことになった。
第40代アメリカ合衆国大統領レーガン(任期は1981〜1989年)の経済政策「レーガノミクス」により、次第に失業率は改善していったが、富裕層の減税などをおこなった結果、悲惨な格差社会が生み出されてしまった。
ジョン・カーペンターはインタビューでレーガン大統領について「俳優上がりで人気はあったが頭は空っぽ」と発言しており、彼の社会に対する批判的な思想が爆発した結果、このような作品が生まれたのだろう。
イデオロギーの変革という説教くさいテーマ性の作品だが、全体に流れるB級ホラー感がシリアスなテーマ性を中和してくれており、エンタメ作品として楽しめる一作となっている。
映画の出来は低予算なのが丸わかりのチープな感じ。お世辞にもよく出来た作品とは言い難い。
何というか、時間の配分がおかしくないか?
主人公のネイダがサングラスを手に入れるまで、時間がかかりすぎ!
そのくせ、レジスタンスの壊滅からクライマックスまではすごく駆け足…
エイリアンだとわかるや否や、虐殺を始める主人公。もうちょっと落ち着け!
一応ヒロインのホリーに匿ってもらうのだが、不意を突かれて頭をかち割られる。そりゃそうなるよ。
このシーンがあまりに迫真すぎてめちゃくちゃ笑いました🤣
そしてこの映画最大の見所!
今なおファンの間で語られる伝説の「サングラス・デスマッチ」🕶
大の男2人が、サングラスを掛けるか掛けないかで5分以上くんずほぐれつの大乱闘を繰り広げる。
このシーンのテンポ感が面白すぎる🤣
こんなグダグダファイト観たことない!
シリアスな笑いというのはこのことをいうのか、と一人納得していました。
主人公のネイダを演じているのがロディ・パイパーという当時人気だったレスラーなのでこういうシーンを入れたのだろうが、今見ると最高のギャグシーンとして異彩を放っている。
ネイダと死闘を繰り広げる友人、フランクは人生のルールとして余計なことには首を突っ込まず、レールに沿って生きていくことを信条としている男なので、ネイダの言う真実が見えるサングラスなんて絶対に掛けたくない。
この辺りは非常に丁寧に描写されていたので、無理矢理目を覚まさせようとするネイダと対立するのはわかるのだが、やはり時間の配分がおかしいのは間違いない。
手放しで褒められる作品ではないが、インパクトは絶大だしなんだかんだで結構面白い。
好きか嫌いかで言えば間違いなく好きな作品。
クライマックスでネイダが放った「Fuck you」ポーズは最高にカッコ良かった!
人間ならば、一度は見ておくべき映画。
エリアン陰謀説
現代社会の諸問題をエイリアンの陰謀説とする突飛なプロット、彼ら(エイリアン)は地球人に成り済まして、我々の周りにうじゃうじゃ居る、特殊なメガネをかけると髑髏顔が浮かび出るというアナログな仕掛け。B級ホラーの職人ロジャー・コーマン監督へのオマージュなのだろうか、「美女とエイリアン」(1957)ではエイリアンのほうがサングラスをかけていた、なんとエイリアンは白眼だったのだ、また1963年には「X線の眼を持つ男」を創っていました。
身近にいる人間に化けた宇宙人というプロットでは1967年~のTVシリーズ「インベーダー」の方が知られているだろう。
エイリアンがテレビの特殊信号で偽装しているという仕掛けは斬新、真意は大宅壮一のテレビ低俗論、一億総白痴化と同じ警告、風刺なのだろう。
友人同士で延々6分間も殴り合い、どういうことかと思ったら、人間同士の争いごとをエイリアンは楽しんでいるし思う壺と反省しきり、戦争の擬人化とは斬新、はたまた低予算故の工夫だったのか。地球規模の侵略を受けながら戦っているのが町内会のようなレジスタンスしかいないのも情けない。一部の地球人が加担しているのは恐怖心ではなく買収されているとの説明だが流石に曲解に過ぎるだろうがそれもこれも確信犯だろう。
主人公が何かおかしいと気づくまでの30分はバックパッカーの貧困ドラマなので何の映画か戸惑うばかり、エイリアンものとしてはスケールも小さく、チープ過ぎてSFらしさはあまり感じない、人間同様銃器で戦い、撃たれれば普通に死ぬ・・、監督があえて昔馴染みの安手のホラー映画風にしたのは何故でしょう、マスコミの扇動による大量消費時代への警鐘という強いメッセージ性のパッケージにふさわしいと思ったのでしょうか・・。流石カーペンター監督、洒落がきついですね。
全6件を表示