劇場公開日 2022年1月7日

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「【中心と周辺】」ゼイリブ ワンコさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0【中心と周辺】

2022年1月16日
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先般、アメリカで問題になっている陰謀論の中心・Qアノンの大元の発信者が日本の北海道札幌市に居住していて、アメリカ人男性の名前も特定している記事を読んだ。22年の中間選挙で、共和党の上院候補として立候補するのではないかと報じられていた。

この作品は、こうした陰謀論者が喜びそうな内容なのだけれども、ロディ・パイパー演じるネイダが、それらと戦う者だとすると、如何にも短絡的で感情的、行き当たりばったりの無計画で、先を見通すことのできないマヌケな感じだ。

僕は、影で世界を操ろうとするディープ・ステートがあるとか、陰謀論者ではないのだけれど、国際政治学の世界には、搾取と貧困と云う問題を明らかにしようとする学説があって、これを曲解すると、また陰謀論者が喜びそうな内容かもしれないと、ふと考えたりした。

国際政治学を勉強していると、中心周辺理論(Center とPeriphery の頭文字を取ってCP理論ともいう)に触れることがある。

世界には経済的に豊かな中心(つまり先進国)と、中心に搾取され貧困が放置されている周辺(発展途上国)があるというのだが、更に、中心(先進国)には、更にその中心に属する階層(政治家とか企業とか超富裕層)と、それに付き従う周辺と考えられる階層(一般市民)が、周辺(発展途上国)には支配層である中心(支配階級)と、それに付き従わざるを得ない階層の周辺(一般の人々)があって、中心(先進国)の中心と周辺(発展途上国)の中心は結託して、それぞれの一般市民や、一般の人々を搾取し、特に、発展途上国の一般の人々は貧困に追いやられる構造になっているというものだ。

この映画は、アメリカが舞台なので、先進国の話になるのだけれども、一般市民の中にも選ばれて、支配層然と振る舞い、一般市民の搾取はやむを得ないと考えるものがいたりして、この国際政治学のCP理論と似ているななんて考えた。

この作品には、ちょっとした思い出がある。

当時、付き合っていた彼女と別れたばっかりで、新しい彼女と付き合い始めたのだが、その女性は実は、その元カノの友人で、どちらかと云うと身体を重ねることが多い関係だった。

その彼女が、この「ゼイリブ」を観たいと言ったのだ。
当時は、ジョン・カーペンターなんてホラー映画監督じゃんとか、少し軽い感じで考えていたし、日本とタイトルについても、平坦にゼイリブって発音しないで、”ゼイ”・”リブ”ってちゃんと言えとか、色々いちゃもんをつけたい頃だった。

しかし、映画を観て、ちょっとゾッとした。

僕は、この彼女と付き合いながら、僕が元カノを忘れられないでいると見透かされているような気がしたからだ。

まあ、何十年も経って鑑賞すると、いろんなスキルが身に付いて、あれこれ様々な角度から映画を観れるようになるもんだと改めて思う。

ワンコ