「本当につらいのは、彼女たちかもしれない。」美しき運命の傷痕 旅人さんの映画レビュー(感想・評価)
本当につらいのは、彼女たちかもしれない。
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フランス映画が苦手な人には全く受け入れられない違いない。
『重い』というより、『惨めなくらいに哀しい』作品である。
この映画の主役は、間違いなく母親のである。
ソフィ・セリーヌ・アンナの3姉妹は父親のトラウマとともに、母親の執念が相まって辛く悲しい愛に生きることとなる。
ソフィは、夫の浮気さえなければ普通の女性として生きられただろう。
しかし、夫の浮気をきっかけに異常とも思える浮気への追及が始まる。
その執拗な攻めには、昔の母親の姿がダブって見える。
セリーヌは、父のトラウマから男性不信(もしくは人間不信)に陥る。
母の面倒を見ながら、周りには男の影もない。
アンナは、父への敬慕からか妻子ある男との不倫にはしる。
別れをもとめる男への攻め方は少し異常と思われるものがある。
最後の母の一言に、母親の怖いくらいの執念が感じられる。
その執念が彼女たちを苦しめ、彼女たちを異常な行動に走らせていたのだと気付かされる。最も苦しんだのは彼女たちではないだろうか。
最後に真実が明らかになった時、おそらく彼女たちはほっとしたに違いない。
長年苦しめられたトラウマから救われたように思ったに違いない。
そして、母の最後の一言で再び苦しみに引き戻されたのだろう。
これは、決して美しいものではない。
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