「『私らしく』という呪いに取り憑かれた人々のお話。」THE 有頂天ホテル コバヤシマルさんの映画レビュー(感想・評価)
『私らしく』という呪いに取り憑かれた人々のお話。
内容は、舞台は年の暮カウントダウンを控えた豪華ホテル・アバンティに集まる人々を一つの家族と見立て、そこで起こる様々な出来事を覗き見る事の出来る舞台風コメディドラマ映画。好きな言葉は、『お帰りなさいませ』この様に挨拶をする主人公の役所広司。『たまには厳しい事を言うのも家族です。』代議士をホテルから逃す時に厨房で話す言葉。ホテルを🏨大きな家に見立て覗き見る様な群像劇は、登場人物も多く出来事が山盛りで伏線も随所に散りばめられ考えながら見ていて面白さと同時に、疲労感を覚えるかもしれません。自分的には、群像劇は大好物なので非常に良くできた脚本と舞台であり映画でもある様な独特のリズム🪘には脱帽します。グレムリンの襲撃後みたいやどんなに明るい空の下にも悪魔は居る👿もんですや客前ででまかせに歌って感動させるのはあの人ぐらいや洗顔クリームの3段落ち三種の神器のブーメラン効果などの場面は楽しいです。あまりにも登場人物が多くどの様な視点で観たらいいか分からず面白さも激減してしまうかもしれませんが、サスペンス要素もあり喜怒哀楽のバランスも良く最後にはオールキャストの大団円は皆んなのカタルシス解放が染み入る様に感じられ非常に面白いです。好きな場面は、それぞれの物語が一つの風呂敷に包み込まれる様な大団円も勿論の事ながら、それぞれの問題が解決するところで、津川雅彦(おやじ)が『お名前聞かしてくれませんか?な・お・み』と言う場面でオヤジが自分らしく生きようとする場面。色々な人が、生き残る道を模索し虚像に取り憑かれた見栄っ張りのホテルマン。自分保身しか考えられ無い政治家(クネクネ)。世間体を気にする大企業の社長。寂しがり屋のコールガール。嘘偽りの顔を持つ罪悪感を持つ代議士。自分の夢を挫折しそうなベルボーイ。自分らしく生きようと行動する客室清掃員。夢と現実の狭間で嘘を演じるコンパニオン。スポットライトを極端に怖がる自殺願望の大物演歌歌手。自分の歌を歌いたくても歌えず流される女性歌手。思い通りに操りたいハゲを気にする劇団長。昔の出来事を後悔して時間が経ってしまった元奥様。行間を読む様に何気ない一言が、これほど切なくやるせ無い無力感に包まれるとは思ってもみませんでした。それぞれのキャラクターが上手い具合に噛み合って最後は一つに纏る素晴らしい作品だと感じました。