スローターハウス5のレビュー・感想・評価
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"結合中"
時間軸が入り乱れたような複雑さは感じられず、基本的には戦争体験が物語の中心に順を追って描かれており、間にその後の生活を、序盤と終盤に星での生活、主人公の性格からなのか戦争自体を悲観的に描写することもなく、奥さんの死でさえも。
そんな奥さんのキャラが逸品で何度も口にするダイエットに白のキャデラックでの暴走はチョッパー集団までもを蹴散らすコミカルな場面でありながら、夫を愛する気持ちと愛車をプレゼントされ喜ぶ姿から、悲しい気持ちにもなったり。
老け顔なのに肌はピチピチで体にもハリがある年齢不詳なヴァレリー・リッチー・ペリンは『レニー・ブルース』でも同じような印象で!?
原作が反社会的、猥褻などの理由で悪書として排除する動きがあるのには驚いた。
時制が混乱した映画の始祖
時制を自由に操る映画といえば、タランティーノ監督のパルプフィクションが有名だが、実は20年近く昔にやって見せているのが本作だ
タイトルを日本語に訳すと第5屠殺場
劇中で第二次大戦時にドイツ軍が捕虜収容所が不足してドレスデンの第5屠殺場の倉庫を収容所代わりに使ったことに由来する
元々はカートボネガットというそこそこ有名なSF作家の原作によるので、時制の混乱はSF風味の糖衣を被せてある
第二次大戦中の東京大空襲に匹敵する大空襲を受けたドイツの美しい都市ドレスデンの壊滅に居合わせたアメリカ軍捕虜がその惨状に今でいうところのPTSDによる記憶障害と幻覚により時制の混乱に悩まされる
こう書けば実も蓋もない
人は良い時だけを見つめて生きるべきだというのがテーマだろうか?
それは表面的すぎる
ドレスデン空爆は連合軍が軍民無差別攻撃、大量破壊の実行に麻痺していく始まりであった
その野蛮さを恥じてドレスデン空爆の凄惨な有り様を当時は隠していたのだ
しかし、歯止めは効かなくなり翌月には東京大空襲を行い、ついには広島、長崎まで行き着く
これを主人公を遠い宇宙に連れて行った宇宙人から俯瞰した時、この世界の有り様はどうみえるのか?
宇宙人が結合したのか?としつこく尋ねるように
戦争したのか?と尋ねてくるのだろうか?
人気シリーズなんだろうな5があるなんて。やっぱり一作目から見るべき...
世界は瞬間の集合だよ
ボネガットの代表作をジョージ・ロイ・ヒル監督が映画化することを熱望し出来たという今作。
しかしながら興業的には大コケしたという。まあむりもない…。
自分の意思とは関係なしに過去や未来へジャンプしてしまう主人公。映画的にはうってつけともいえるその展開。ほとんど説明を廃し、ジャンプショットバリバリに行ったり来たり。小説を読んでいる人にはよくやってくれた!というスピーディーさだが、未読の人には何だ?何だ?何だ?の連続に違いない。
スター俳優も出ておらず山場らしいシーンもないのでヒットする要因はなかったね…。もう少しケレン味出してもよかったんじゃないかな…。しかし原作を愛している人にはたまらない映画でもあるのだった。
(余談だが、デルトロ監督でリメイクの噂あるのでそちらにも期待が高まる)
なんだかよく分かりませんでした・・・
映画は体験だと思っているため、そもそも映画から意味を読み取ろうという意思があまり私にはないので、映画を観て、よく分からないという感想を持つことってほとんどないのですけど、この作品は、普通に「よく分からん」という感想が口をついて出てしまいました・・・
カート・ヴォネガット原作だからってことなのかもしれませんけど、『明日に向って撃て!』とか『スティング』とかの軽妙さやシンプルさを期待していた私としては、ちょっと予想と違って肩透かしをくらってしまいましたかね。感覚としては、あまり私が好きではない、テリー・ギリアム監督の作品に似てる気がしましたね。
まぁ、意味が分からなくてもいいんですけど、やっぱり映画を体験したって感覚が少ないのが、私的には乗り切れないところでした、はい。
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