劇場公開日 2006年9月23日

サムサッカー : 映画評論・批評

2006年9月19日更新

2006年9月23日よりシネマライズにてにてロードショー

悩める現代人の日常をリアルに描写

マルチなクリエイターとして活躍するマイク・ミルズは、この長編初監督作品で、彼のガールフレンドであるミランダ・ジュライが監督した「君とボクの虹色の世界」と同じように、自分の思い通りにならない人生に悩める人物たちの迷走を通して、サバービア(郊外住宅地)の日常を実にリアルに描き出している。そんなドラマは、アメリカにおけるコミュニティの崩壊や市民参加の衰退の実態を浮き彫りにしたロバート・D・パットナムの大著「孤独なボウリン」の現実を想起させる。

悩みを抱える登場人物たちには、相談したり、心を開ける人がいない。だから人ではないものに依存し、逃避していく。“サムサッキング(指を吸う癖)”に悩む17歳の主人公は、催眠術、向精神薬やマリファナに次々と救いを求め、挫折を繰り返す。年を取ることを受け入れられない彼の両親は、テレビの人気俳優に夢中になったり、若さを証明するためだけに地元で開かれるレースに出場する。

ミルズは、そんな現実に対して安易な答を出そうとはしない。現代では、誰もが孤立し、依存し、逃避している。主人公がそのことに気づくとき、彼は、世界を相対的に見られるサムサッカーに成長しているのだ。

(大場正明)

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