「政治家はどこの国もかっぷくがいい」スミス都へ行く あんゆ~るさんの映画レビュー(感想・評価)
政治家はどこの国もかっぷくがいい
1939年アメリカ映画。129分。フランク・キャプラという監督の名前は今まで知りませんでしたが、知る人のなかでは「キャプラ的」という表現が成立してしまうほどの凄い人だそうです。本作はそんなキャプラ監督の代表作であるポリティカル・コメディでございます。
内容は田舎から出てきたドンキホーテ、若きスミス上院議員が、それまで心に暖めていた「児童キャンプ法案」を議会提出し、夢を叶えようするお話。だがその候補となる場所は、彼の恩師であるベテラン上院議員がダム法案を施行させようとしている場所。
かくして見るに忍びない「スミスつぶし」が始まり、それに猛然と闘う主人公とその秘書の姿が描かれている按配でございます。
そのつぶし方がなかなかおぞましいのですが、こういうのって本当なのだと思う。政界の影のドンがありとあらゆるメディア工作で世論を扇動していく様を見ていると、洗脳というのは権力の賜なのだと思います。
世の中みんながそろって洗脳されている内は幸せとはいえますが、そこに違いが生まれると「人間性」(これわたくしの嫌いな言葉です)すらも否定されなねないところが、社会生活する上でもっとも恐れることの一つだと思います。
展開がいささか劇的すぎるとは思いましたが、キャプラ監督は笑わせながら本質に鋭くメスをいれてきます。お見事な手腕でした。
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