「NAKATA! 海を越えたオリジナル監督」ザ・リング2 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
NAKATA! 海を越えたオリジナル監督
ジャパニーズ・ホラーの代名詞、『リング』をハリウッド・リメイクした『ザ・リング』の続編。
公開時観に行ったが、まるで覚えちゃいねぇ!
何と言っても話題は、日本版の中田秀夫監督がメガホンを撮った事。
今となっちゃオリジナルの監督がハリウッド・リメイク版も手掛ける事はそう珍しくはないが、当時としては大抜擢。
しかも、アジア人に門が狭いハリウッドで、『THE JUON/呪怨』の清水崇監督に続き全米初登場1位を飾ったのは、天晴れ!
それだけは凄い。それだけは…。
前作は多少アレンジが加えられているものの、比較的日本版に忠実だったが、今回は完全ハリウッドのオリジナル・ストーリー。
サマラの呪いから逃れ、静かな田舎町に引っ越して来たレイチェルとエイダンの母子。
平穏な生活を取り戻したかに思えたが、再びサマラの呪いの事件と遭遇。
が、サマラが狙っているのはレイチェルではなく…。
ナオミ・ワッツとエイダン役のデヴィッド・ドーフマンが続投。
前作以上に母子のドラマが軸になり、親子愛が強調されているが…、
残念ながら話が退屈レベルなまでに面白くない。
そもそも『リング』は、日本版第1作目の話が面白かった。だから、前作も悪くなかった。
日本版とは違うアプローチしたり、新解釈/新展開したりと色々捻ってはいるものの、シンプル・ザ・ベストのオリジナルに遠く及ばない。
そういや日本版も第1作目以外、話の方は…。
では、恐怖演出は?
こちらも残念ビミョー。
サマラによってTVの中に引き摺り込まれたり、バスタブのお湯が宙に逆流したりとハリウッドならではCGを駆使した恐怖演出が為されてはいるが、怖さはほとんど感じない。
前作で蛇足に感じた暴れ馬だったが、今回は暴れ鹿。それにしても、これらは一体何なの??(あるレビュアーさんが言っておられるように、本当に“馬”“鹿”だ)
何だか大分恐怖の質感が違うホラーに…いや、もっと言ってしまえば、呪いのビデオやサマラは登場するが、まるで別物。
あの陰湿でじわじわ煽る『リング』の怖さは何処へ…?
呪いのビデオの映像だけは相変わらず不気味。
せっかく中田監督がメガホンを撮ったというのに…。オリジナルのジャパニーズ・ホラー・マスターの手腕を以てしても…。
中田監督も日本で『リング』以降、『リング』以上の作品を撮れず。怪作や駄作続く。奇しくも今年、久々に“リング・ワールド”に復帰したが、評判はまたしても…。
唯一最近で良かったのは、非ホラーの『終わった人』なのが何だか皮肉。