劇場公開日 2005年8月6日

ターネーション : 映画評論・批評

2005年8月9日更新

2005年8月6日より渋谷シネ・アミューズほかにてロードショー

映画を撮ること自体のための映画

ターネーション」は、監督のジョナサンが11歳から撮りためたスーパー8やビデオの映像、スナップやスクラップ、留守番電話のメッセージなどを素材に、母親と自分の軌跡を描き出す異色のドキュメンタリーだ。精神を病んだ母親は、出口のない悲惨な闘病生活のなかで人が変わり、そんな母親との関係や里親の虐待などで崩壊の危機に立たされた彼は、ゲイ・カルチャーにのめり込み、故郷テキサスからニューヨークへと逃避する。

この作品でまず注目したいのは、家庭用の編集ソフト“iMovie”が駆使されていることだ。それは、誰もが容易に自分の映画を作れる時代の到来を告げているだけではない。ここで重要なのは、利便性よりも目的だ。

ジョナサンの目的は、導入部にそのヒントがある。この映画は、離れて暮らす母親が治療でリチウム中毒になったという知らせ受け、彼が取り乱すところから始まる。この場面は事実そのものではなく、目的を示すための事実の再現に違いない。つまり彼は、これまで目を背けてきた母親と向き合うために、過去を再構築し、それを受け入れることで、新たな関係を築き上げていく。この映画を作ることは、彼にとってセラピーやイニシエーションとなるのだ。

(大場正明)

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