「アイノカタチ」トーク・トゥ・ハー ぷにゃぷにゃさんの映画レビュー(感想・評価)
アイノカタチ
はっきり言って、ベニグノは変態男だ。相手は承諾も拒否もできないのに、自分の気持ちだけで暴走する。ただ、彼の献身的な看護で、アリシアは目覚められたとも言える。彼女が自分の身に起こったことを、知っているのか、知ったとしてどう受け止めたのか、そこは描かれていないが、同性としては寒気がする。ベニグノくん、アリシアは人形ではありません。いくら愛してても、対等でなければダメなのですよ。
しかし、マルコがいることで、ベニグノの異常さが美化されているところがある。舞台を観て泣いてしまう、繊細な感性のマルコ。彼は決してベニグノを否定しない。それに、ベニグノが清潔で、ソフトで、知的に表現されていて、観ていて拒否反応が起こらない。一見普通の人だし、同僚からすれば、快く夜勤を代わってくれる、優しい人だっただろう。
闘牛士に女性がいるとは、初めて知った。リディアねえさん、めっちゃかっこいいやないかー。そして、闘牛場へ向かう前の支度がすごい。体にピッタリ合ってて、飾りがたくさん付いた、凝った衣装。死ぬかもしれない危険な仕事に臨む人を、華々しく包む。これはまさに死装束。とても美しかった。しかし、牛を殺す人が蛇を殺せないとは、解せませぬな。
ピナ・バウシュのダンスと、彼女と付き合ってたらしいブラジルのシンガー、カエターノ・ヴェローゾの歌が良かった。
歪んだ愛情でも、実らなくても、愛することは自分で止められない。愛にはいくつもの形がある、というメッセージだと思った。
BS松竹東急の放送を鑑賞。
コメントする