「物事の終わりにはハッピー・エンドなんてない。『Mr.&Mrs.ピット』で、続編が作れるぞ!」Mr.&Mrs.スミス たなかなかなかさんの映画レビュー(感想・評価)
物事の終わりにはハッピー・エンドなんてない。『Mr.&Mrs.ピット』で、続編が作れるぞ!
お互いの素性を隠して結婚した殺し屋の夫婦が、ある依頼をきっかけに激しい殺し合いを始めてしまう、というアクション・コメディ。
主人公ジョン・スミスを演じるのは『セブン』『オーシャンズ』シリーズの、後のオスカー俳優にして名プロデューサーのブラッド・ピット。
ジョンの妻、ジェーンを演じるのは『17歳のカルテ』『トゥームレイダー』シリーズの、レジェンド女優アンジェリーナ・ジョリー。
ブラピとアンジーが結婚するきっかけとなったことで知られる大ヒット映画。
いかにもアラウンド・ゼロ年代の作品らしい、スーパースターが活躍するお気楽アクション映画である。
本作は三幕構成がすごくわかりやすい作品で、それぞれのパートがちょうど40分ずつに分かれている。
一幕目では、倦怠期の夫婦生活とその終焉が描かれる。
二幕目では、激しい殺し合いと復縁が描かれる。
三幕目では、新しい夫婦関係となった2人のはじめての共同作業が描かれる。
一幕目と二幕目の繋ぎと、二幕目と三幕目の繋ぎのシーンは、共に夫婦関係を象徴するディナールームで展開されており、さらには映画の始まりと終わりが円環構造を成している。
まるで映画の教科書のような、優等生的な構造の作品である。
クライマックスは、絆を取り戻した夫婦が絶望的な戦いに身を投じる、というボニーとクライドのような展開。
これが60'sの作品ならば、最後は2人が撃ち殺されて終劇となるのだろうが、そこは流石アラゼロ作品!
あの状況で敵対する組織を皆殺しにしてしまう、というあまりにも大味すぎる脚本は、むしろ清々しさすら感じられる。
倦怠期の夫婦が巻き起こす離婚コメディと、暗殺者同士の手に汗握るアクションを実に上手く組み合わせてある。
特に、第一幕の終わり、ジョンとジェーンがお互いの腹の中を探りながらディナーをする場面。
ブラピとアンジーの顔が大写しになるクローズアップにより、お互いの緊張感の高まりを演出した一連のシーンは見応えたっぷり😋
ただ、本作のキモはスミス夫婦が如何に争いそして和解するのか、ということであり、vs組織ははっきり言ってオマケ。
そのため、vs組織がメインとなる第三幕目の展開が些か冗長に感じられる。
第二幕目でもう物語的には終わっているので、無理に組織とドンパチやらなくても良かったのではないか、と思ってしまう。
ターゲットであるタンクがスミス夫妻に拉致されて尋問されるシーン。
椅子に縛り付けられるタンクの着ているTシャツのデザインが『ファイト・クラブ』の石鹸🧼だったのには笑っちゃった🤣
『ファイト・クラブ』でも、主人公を演じたエドワード・ノートンがブラピによって椅子に縛り付けられるシーンがありましたよねぇ。
観ている間は楽しいが、観終わった後には特に何も残らない、ジャンクフードのような映画。
しかし、ただただ楽しいだけの映画というのもやっぱり重要であり、その意味では本作は完璧な作品だと言えるのかも。
クライマックスの「10点…。」、本当好き。
結局、倦怠期夫婦がセックス・レスを解消するというだけの話やんコレ!!
ご存知の方も多いだろうが、ブラピとアンジーは2016年に破局。
2021年現在も、子供たちの親権を巡り泥沼の抗争が繰り広げられている。
「物事の終わりにはハッピー・エンドなんてない」というジェーンのセリフが、その通りになってしまった。
『Mr.&Mrs.ピット』というタイトルで、本作の続編を作ればとんでもない傑作が誕生するだろう。
プランBの次回作はコレでどうですか、ピットさん!?
きりんさん、コメントありがとうございます😊
「白い帽子の女」は、チェックはしているのですがまだ観られていません💦
どういう心境でこの映画を作ったのか気になります…🤔
〉プランB
ブラピ・アンジー夫妻の落日は「白い帽子の女」でご覧ください。
⇒この映画のあと二人は離婚ですからねー、 ある意味本作と対をなすものかと思います。
切ないけれどいい映画ですよ。
きりん