劇場公開日 2000年12月2日

サイレンス(2000) : 映画評論・批評

2000年11月1日更新

2000年12月2日よりシブヤ・シネマ・ソサエティほかにてロードショー

本当の“美”を覚醒させるマフマルバフ最新作

2000年はモフセン・マフマルバフの作品がついに日本で劇場公開された年として記憶されるだろう。ヨーロッパではキアロスタミと並ぶイラン映画界の巨匠として高く評価され、日本でも東京国際映画祭などで多くの作品が紹介されたものの、劇場での商業上映という意味では今年7月に公開された「ギャベ」と「パンと植木鉢」が日本初公開であった。その記憶も新しいうちに、1998年の監督作品「サイレンス」がロードショー公開される。多彩なマフマルバフのフィルモグラフィーの中でも、中央アジアのタジキスタンで撮られたこの「サイレンス」は、彼のケレン味が名人芸的に発揮された美しい映画だ。主人公は盲目の少年(実は、少女が演じているという)。音感にすぐれ、調律師として働くこの少年が街中を歩きながら様々な音に耳を傾け、やがてある一つの旋律に魅せられてゆくプロセスがエキゾチックな映像の中に描かれてゆく。市場に並んだ果物、少女のまとう民族衣装、美しい自然の風景……。この夢幻的 な色彩の洪水に圧倒されない者はいないだろう。少年を工房まで案内する少女のなまめかしいまでの美しさも、この映画の大きな魅力の一つである。

(市山尚三)

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