「良心と知識と自由」白バラの祈り ゾフィー・ショル、最期の日々 talismanさんの映画レビュー(感想・評価)
良心と知識と自由
ドイツの通りの名前に有名人の名が使われることが多い(ゲーテ、シラーなど)が女性はまだ圧倒的に少ない。その中でゾフィー・ショルの名前はよく使われる数少ない例だ。ミュンヒェンに行くとショル兄妹を祈念するモニュメントや展示や建物に多く遭遇する。
ショートカットのかっこいいゾフィー。映画ではセミロングだったが言葉に命があり適役だった。あの時代、女性が大学で哲学なども勉強したというのは本当にインテリの女性であり兄であり彼らを育てたリベラルな両親だった。だからこそ「あなたは恵まれているのに」とゾフィーを尋問する男は言う。自分はもともと服の仕立て屋に過ぎない、と自嘲気味に述べる彼の気持ちは誰もが理解できる事かもしれない。少なくとも人民法廷の裁判官よりマシだった。ベルリンからミュンヒェンまでわざわざ来たというその裁判官は大袈裟で狂ったような物言いをする、裁判場面で唯一の人間だった。あとは忖度と同調圧力とナチスのお陰でキャリアアップしたり過去を許してもらって保身を狙う人々。やましい思いでいっぱいのように見えた。あるいは凡庸(悪い意味ではない)。ナチス政権はそういう人々によって支えられたことがうまく映像で示されていた。最後の5日間に焦点を当てる構成が全体を引き締めていた。
ナチス関連の映画を見るのは辛いがこの映画の構成に惹かれて全部見ることができた。
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